日本応用動物昆虫学会誌
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3 巻, 4 号
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  • VII. Nezara属およびその近縁属の幼期
    小林 尚
    1959 年 3 巻 4 号 p. 221-231
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Nezara is a genus of world-wide distribution and has been represented in Japan by two species, N. antennata SCOTT and N. viridula (LINNÉ), both of which are well known pests of soy been and other various cultivated crops. This genus is considerably related to Glaucias, Palomena and Plautia, which frequently attack fruit-trees and vegetables. There are six species belonging to the above three genera known in Japan. Among those species, Nezara antennata SCOTT and Plautia ståli SCOTT have already been reported on their larval stages by ISHIHARA (1950) and by the author (1956), but Glaucias subpunctatus (WALKER), Plautia splendens DISTANT, Nezara viridula (LINNÉ) and Palomena angulosa (MOTSCHULSKY) have not been studied yet. In the present paper, the developmental stages of the last two species, together with their ecological notes, are described.
    The diagnoses of the Genus Nezara
    Egg: Cylindrical, with gently curved operculum and vertical wall somewhat thickened in the upper margin. Uniformly pale yellow or pale greenish yellow at an early stage. Chorion white and levigate, without particular structure on surface. Micropylar projections white, rather short, capitate. T-shaped egg-burster light brown or blackish brown, well-chitinized, arms thinly depressed laterally, membraneous appendages mostly transparent except light grayish brown lateral portions or bordered with extremely light grayish tinge infero-laterally. Egg-mass usually consisting of about 50 to 70 eggs which are deposited on the under-surface of host plant leaves, forming a rather regular hexagon.
    Larvae: Body not so much depressed. Stigmata placed interior to the connexiva of second to eighth abdominal segments, those on eighth conspicuously smaller than others. The first instar larva bears dorsally a large, round, orange yellow or pale yellowish brown marking extending from vertex to metanotum. The second to fifth instar larvae bear several conspicuous, large or small, round or oblong, orange yellow or white markings adjacent to postero-lateral margins of dorsal plates. A comparatively large, oblong white marking interior to the connexiva of the first and the second abdominal segments and a round white marking interior to each connexivum of the third to the seventh or to the eighth abdominal segments.
    Key to the species of the Genus Nezara
    1 (2) In he egg before hatching, red eyespots and dark egg-burster visible through operculum. Egg-burster mostly light brown, membraneous appendages translucent except light grayish brown lateral portions. A large round pale yellowish brown marking extending from vertex to metanotum in the first instar larva. The antero-lateral margins of pronotum of the fifth instar larva not so much curved as an arc of circle, posterior angles more or less protruded laterally beyond the anterior angles of mesonotum. ………Nezara antennata SCOTT
    2 (1) In the egg before hatching, in addition to eye-spots and egg-burster, a large reddish trapezoid marking clearly visible through operculum. Egg-burster mostly black, membraneous appendages mainly translucent, bordered with extremely light grayish tinge infero-laterally. A large round marking extending from vertex to metanotum of the first instar larva orange yellow. The antero-lateral margins of pronotum of the fifth instar larva strongly curved as an arc of circle, its posterior angles not projecting laterally beyond the anterior angles of mesonotum. ………N. viridula (LINNÉ)
    The diagnoses of the Genus Palomena
    Egg: Elliptical, upper part of which is more or less bigger than the under part. At an early stage, the eggs are entirely pale greenish, but later, towards the hatch, eye-spots and egg-burster become visible through the chorion. Chorion whitish
  • 第17報 ハリガネムシの皮膚還元層の分布と感受性
    吉田 正義, 道家 修
    1959 年 3 巻 4 号 p. 232-238_1
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) ハリガネムシの皮膚還元層の機能についての知見をうるため,活動期と非活動期のマルクビクシコメツキ幼虫の皮膚還元層の硝酸銀アンモニアに対する感受性を比較するとともに,非活動期におけるこの虫の酢酸処理や熱湯処理と還元層の感受性との関係,またほかのハリガネムシ類の還元層の感受性などを調べた。
    2) 春秋の活動期におけるマルクビクシコメツキ幼虫の還元層の感受性は非常に鋭敏であったが,夏冬の非活動期では感受性は全く失われていた。またこの虫が耕土の上層と下層の住みかえを行なうときには両者の中間であった。この虫の還元層の感受性の年変化は,吉田(1951)が調べたこの虫の潜土の深さの年変化の傾向と全く一致した。
    3) 年間におけるマルクビクシコメツキ幼虫の還元層の感受性の顕著である期間は,春期の3月下旬∼5月中旬の2ヵ月と秋期の9月中旬∼10月下旬の1.5ヵ月で,非常に短期間であった。
    4) 温度が異常になって耕土の下層に潜入し,冬眠または夏眠にはいっているマルクビクシコメツキ幼虫の還元層は,非還元性物質でおおわれるため感受性はみられなかった。
    5) この非還元性物質は酸処理により溶出されるものであった。活動期のマルクビクシコメツキ幼虫も熱湯処理や青酸処理をしても感受性はやはりみられた。また休眠中の個体を熱湯処理すれば,還元層の上に分泌された非還元性物質は酸に溶出されやすくなった。
    6) 冬期耕土の下層に潜入したマルクビクシコメツキ幼虫を温度を変えて飼育し,還元層の感受性が現われるに要する日数を調べた。25°Cおよび30°Cでは飼育後50日目に感受性がみられたが,15°Cおよび20°Cでは50日後にもなお感受性はみられなかった。
    7) 体水分の喪失速度が速いことが知られているサビキコリ幼虫のほうがマルクビクシコメツキ幼虫よりも還元層の面積が大きく,感受性も高かった。
    8) サビキコリや朽ち木に生息するウバタマコメツキおよびアカハラクロコメツキ幼虫の還元層の感受性は鋭敏であったが,腐葉土の多い山畑や苗ほ場のような比較的乾燥しやすい場所に生息するクシコメツキやアカアシオオクシコメツキの幼虫のそれは比較的弱く,熟畑でしばしば大発生するマルクビクシコメツキやクロクシコメツキ幼虫のそれは両者の中間であった。
  • 高橋 史樹, 藤本 敬明, 町田 明哲, 川原 幸夫, 苅谷 博光, 法橋 信彦, 久野 英二
    1959 年 3 巻 4 号 p. 239-242
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    こん虫の温度選好の実験装置を改良試作した。装置は水流循環法によって,低温部から高温部へかけての温度傾斜の直線性と,装置内の各部位の温度のふれをごく少なくすることを特徴としている。
  • 田村 市太郎, 岩田 俊一, 岸野 賢一
    1959 年 3 巻 4 号 p. 243-249
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    大曲,村上,鹿瀬,松代および秦野産イネカラバエの越冬幼虫を高田に移して飼育し,それらの幼虫およびさなぎの発育を高田産のイネカラバエと比較した結果,次のことがわかった。
    1) 春季発育開始後における幼虫発育は高田産のものが最も早く,秦野産がこれにつぎ,大曲,村上,松代産ははるかにおそかった。
    2) 第1化期成虫羽化時期も高田産が最も早く,秦野産がそれについだが,半数羽化日では高田産より約10日おそかった。他地点のものは更に遅れたが,松代,村上,鹿瀬産のものは羽化期間が長くかつ不斉であった。
    3) 越冬幼虫を温室に置いて稲の幼苗で飼育した結果,高田産が最も早く羽化し,秦野産がこれにつぎ,村上,大曲産は最も遅れた。
    4) 越冬世代虫のよう期間も高田産は約10日,秦野産は約11日,大曲産は約12日,村上,鹿瀬産は約12.5日であった。
    5) 第1化期幼虫期間も高田産は30日以下で最も短く,秦野産がそれにつぎ,大曲産は最もおそくて,すべて51日以上を要した。松代,鹿瀬産は高田産に近いものから大曲産に近いものまで,変異が非常に大きかった。
    6) 1956年秋大曲産越冬幼虫を高田に移し,以後同地で3世代を経過させた1958年春の第1化期成虫羽化時期は,1957年秋高田へ移した大曲産の成虫羽化時期と大差なかった。
    7) 以上の諸実験から,イネカラバエの発育に関しては顕著な地方的差異がみられ,それらのうち高田や秦野産のものが属する3化地帯産のものと,大曲産で代表される2化地帯産のものはたがいに別の生態的系統に属すとみなしうる。しかし同じく3化性の系統に属するものでも地方によってかなりの変異が予想される。
    8) 高田産第1化期雌成虫と大曲産第1化期雄成虫を交配した次世代幼虫の発育期間の変異は大きかったが,その変異は鹿瀬や松代産幼虫のそれに似ていた。このことからいわゆる2, 3化混発地帯においては,両系統の自然交雑に由来する集団が生息しているものと考えられる。
  • III. 休眠性の弱い個体を休眠に入れる条件としての高温
    辻 英明
    1959 年 3 巻 4 号 p. 250-254
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    一般に,ノシメコクガは約20°Cで飼育すると終令幼虫で休眠にはいり羽化はおくれる。一方羽化の早いものを選んで飼育を続けると,休眠せずによう化羽化してくる休眠性の弱いストックをうることができる。このストックに及ぼす高温の影響を調べた。
    発育初期(卵∼1・2令幼虫)をある期間(少なくとも2日以上)30°Cで飼育してから20°Cに戻すと休眠する。あまり長く30°Cで飼育すると4∼5令(終令)またはそれ以上に発育して休眠しなくなる。
    卵から成虫になるまで,またはそのうちの後半のみを30°Cで経過させ,その羽化虫をすぐ20°Cに移して産卵させるとふ化幼虫は休眠にはいらず成虫となる。また次の世代でも休眠にはいらない。すなわち当世代の発育初期の高温は休眠を起こさせるが,前世代以前の時代の高温はほとんど効果がないように思われる。しかし幾世代も高温で経過させた場合の結果はまだ明らかでない。
    発育初期に30°Cに触れさせて休眠にはいらせたものをそのまま放置して羽化させ,その次世代を20°Cで経過させたが休眠個体は生じなかった。すなわち休眠したこと自体が次世代に影響することはほとんどないらしい。
    このストックは以上のような休眠上の性質を持っているが,このようなストックの生成がどのような機構で起こるかはまだ明らかでない。
  • 宮尾 嶽雄, 北沢 徹郎, 両角 源美
    1959 年 3 巻 4 号 p. 255-258
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ネズミ科およびキヌゲネズミ科に属する8種のネズミのせきつい骨数を算定した。結果は第1表および第1図に示すとおりである。
    せきつい骨数はネズミ科に属する種で多く(平均61.08),キヌゲネズミ科に属する種で少ない(平均48.63)。この両科はせきつい骨数によっても明らかに群別される。
    Rattus属のドブネズミとクマネズミでは,前者でせきつい骨数が少なく,差は有意である。またApodemus属のホンドアカネズミとホンドヒメネズミの両者にもせきつい骨数に有意の差がみられ,前者で少ない。
  • 深見 順一, 中津川 勉, 楢橋 敏夫
    1959 年 3 巻 4 号 p. 259-265
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ロテノンは戦後現われた有機合成殺虫剤と違って人畜に対し低毒性で,また植物に対する薬害も少ない優秀な天然殺虫剤の一つである。すでに筆者らは,ロテノンはこん虫体内で神経および筋肉の細胞呼吸を抑制し,死に至らしめるが,その細胞呼吸抑制の一部はL-グルタミン酸脱水素酵素系の抑制によるものであると結論した(深見・富沢,1956)。さて今回はロテノンの化学構造と殺虫力との関係を知るために,こん虫筋肉L-グルタミン酸脱水素酵素阻害力,殺虫力およびこん虫神経の興奮伝導抑制力を,ロテノンおよび34種のロテノン誘導体について比較検討した。
    こん虫L-グルタミン酸脱水素酵素としては,カブトムシ筋肉のミトコンドリアを材料として,グルタミン酸添加時の酸素吸収量を測定した。殺虫試験としてはアズキゾウムシを使用し,常法によって実験を行なった。またこん虫神経の興奮伝導は,ワモンゴキブリ腹部神経索の単一刺激による活動電位を,オシログラフを用いて測定した。使用したロテノン誘導体は東大農学部有機化学教室より供与されたものである。そのうち17はすでに化学構造が明らかにされていたが,残り17は新しく作られたものである。
    これらについて酵素阻害力,興奮伝導抑制力および殺虫力の間に明らかな平行関係がみられた。殺虫力と酵素阻害力との関係については,METCALF & MARCH (1949)が有機リン殺虫剤のコリンエステラーゼ阻害力と殺虫力との間の平行関係を見いだして以来,他の殺虫剤では初めてである。また化学構造と殺虫力との関係については,従来密接な関係があるといわれていたchromano-chromanone核は必ずしも必須条件ではなく,chromano-chromanol核も有望である。さらに11位がアセチル化されたアセチルロテノンも殺虫性があった。ロテノンの殺虫性においては,また7位および8位におけるトランス構造のほうがシス構造よりも重要であった。
  • 加藤 勝, 三浦 克己
    1959 年 3 巻 4 号 p. 266-271
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    -S-S-型であるアリチアミンがSH基によって還元され,チアミン(ビタミンB1)を遊離する原理を応用し,体液中にみられるSH基を定量した。したがって対照区にみられる遊離型チアミン量よりもアリチアミンの添加によって得られた実験区のチアミン量が多い場合,この差異をもって体液中のSH基の量とした(チアミンの定量はイオン交換樹脂を用いるチオクローム法によった)。この方法に従って,カイコの3品種とエリサンとの変態時における体液中の遊離型SH化合物ならびにタンパク中のSH基の消長を調べた。
    その結果,もともと体液中に存在している遊離型チアミン量はカイコに多く,エリサンに少なく,SH基はカイコに少なく,エリサンに多いことが判明した。この原因については不明であるが,少なくとも変態期のSH基とチアミンに関しては,種的特異性があるように思われる。またエリサンでは,PCMBと特異的に反応するSH基とそうでないSH基とがこの期の体液に存在することが判明したが,これはR-SHのR部分の立体的構造の相違に基づいているものと推定される。
  • VII. 有し型から有し型が出現しにくいことについての一知見
    野田 一郎
    1959 年 3 巻 4 号 p. 272-280
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    キビクビレアブラムシおよびトウモロコシアブラムシにおいては無し(翅)型からは有し(翅)型が出現しやすいが,有し型から有し型は出現しにくい。しかしムギヒゲナガアブラムシにおいては有し型からも有し型が容易に出現する。したがって前二者においては有し型からのし(仔)虫(O-W)と無し型からのし虫(O-UNW)とはそれぞれ異なった生理的性質をもっており,後者では両し虫の性質にほとんど差がないのではないかということが考えられる。そこでこのことを明らかにするために,まずいろいろな定温下で両し虫の各令における生育速度を調べてみた。その結果は次のとおりである。
    1) 前二者ではO-WとO-UNWとの間に2∼4令における生育期間にほとんど差が見られなかった。
    2) 前二者のO-Wにおける1令の生育期間はO-UNWのそれに比べ一般に著しく長かった。特に15∼30°Cの場合O-Wの中には温度の高低に左右されることなくほとんど同じ速度でゆっくりと成長するものもあれば,O-UNWと同じようにすみやかに成長するものもあった。すなわちO-Wの1令ではその生育期間に著しい個体差が見られた。
    3) (2)で述べたような諸事実は,O-UNWの1令では決してみられなかった。
    4) 以上の事実から前二者のO-Wではその1令期間中,あるいはおそくとも型決定の臨界期が過ぎ去るまで直接または間接にし(翅)芽の発達を抑制するホルモンまたはホルモン様物質が分泌されているものと思われる。かつ,この抑制物質が量的にある一定限度を越えるときにはし芽ばかりでなく体の残りの部分の成長をも抑制するようになるのではないかと考えられる。また上述のようにO-Wの1令の生育期間に著しい個体差を生ずるのは,このものの量的な差に基づくのではないかと考えられる。
    5) しかし後者では1令から4令までO-WおよびO-UNW間に生育速度の差が見られなかった。すなわちムギヒゲナガアブラムシではO-Wの1令期間中でもし芽抑制物質の分泌はほとんど行なわれていないものと考えられる。
  • 貯穀害虫の生態学的研究 第4報
    吉田 敏治, 宅万 敏和
    1959 年 3 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    訪花コクゾウの個体数が季節的にどのように変動するかを調査した。訪花は4月初旬に始まり,5月末∼6月初めに終わる。多数のコクゾウが継続的に訪花するのは一年を通じてこの時期だけである。日日の訪花数は花の状態,および天候によって左右されるようである。農家の多い地域では驚くほど多数のコクゾウが訪花している。春の訪花は,南九州で農家を生活の本拠としているコクゾウにとっては,その生活環の構成に欠くことのできないものであり,コクゾウは吸蜜によって増殖率を増し,寿命も延長されると思われるから,これがムギのとりいれにともない農家に帰るとすると,応用的にも重要な意義をもってくる。
  • I. 合成飼料による幼虫の無菌的飼育
    玉木 佳男
    1959 年 3 巻 4 号 p. 286-290
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    こん虫の栄養要求,あるいは一般代謝機構を究明するにあたって,そのこん虫の合成飼料による無菌的飼育法の確立は,一つの必要な課題であると考えられる。しかし食植性のこん虫については,現在までのところわずかな種類で成功しているにすぎない。
    筆者は茶樹害虫の一種であるコカクモンハマキについて合成飼料を使用した無菌飼育に成功し,更に若干の興味ある結果を得たので報告する。
    基礎飼料は第1表に示したとおりである。これに第2表の処方にしたがって乾燥酵母,および乾燥茶葉粉末を加え殺菌した。これらの合成飼料に殺菌した卵塊を接種し,ふ化幼虫の生育ならびに成虫の羽化に及ぼす影響を調べた。
    基礎飼料に乾燥酵母のみを25.4%添加した場合,幼虫の生育は対照区(殺菌茶葉)に比べて同等または若干すぐれていたが,乾燥酵母25.4%のうち0.9%∼12.7%を茶葉粉末でおきかえると幼虫の生育は更に著しく促進された。乾燥酵母含量が4.2%以下では生育は著しく劣っていた(第3表および第1図)。
    成虫の羽化についてみると,酵母含量21.2%以上,茶葉粉末4.2%以下ではほとんどのさなぎが羽化不能であり,茶葉粉末8.5%以上で正常な羽化が行なわれた(第4表および第1図)。第5表にみられるとおり,この羽化促進効果は茶葉粉末に起因するものであり,その最適含量は飼料乾物中の10%以上であると考えられる。
  • 池本 始
    1959 年 3 巻 4 号 p. 291
    発行日: 1959/12/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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