日本応用動物昆虫学会誌
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30 巻, 1 号
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  • 仲井 靖, 椿 宜高
    1986 年 30 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    集合飼育されたチャバネゴキブリの幼虫は,単独飼育されたものよりも速く発育し集合効果が認められた。
    集合効果を引き起こす要因を調べるために,七つの飼育実験区(セット1∼7)を設け,単独飼育と集合飼育の幼虫期間と羽化時の生体重を比較した。
    生体重については,雌雄ともに単独飼育幼虫と集合飼育幼虫とで有意な差はなかった。
    糞の除去が発育速度に及ぼす影響をみるために,飼育容器中の糞の除去程度を変えて飼育を行った(セット1∼4)。しかし,単独飼育幼虫と集合飼育幼虫の発育速度の差は,糞の除去程度に対応して変化はしなかった。
    観察者の人為的な刺激によるかく乱に伴いゴキブリが受ける物理的刺激(たとえば接触とか振動)の発育速度への影響をみるため,他のセットより観察の頻度をかなり低くして飼育を行った(セット5, 6)。これらのセットでは,単独飼育幼虫と集合飼育幼虫の発育速度の差は,その他のセットに比べてかなり大きくなった。
    セット7においては,他個体の臭い刺激を与えた単独飼育幼虫と,与えない単独飼育幼虫の発育速度を比較した結果,臭い刺激を与えたほうが速く発育した。
    集合した幼虫の発育を促進する要因として,身体的接触刺激と嗅覚刺激が重要であると考えられた。
  • X. 異なる作物上での増殖の比較
    河合 章
    1986 年 30 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ミナミキイロアザミウマを主要な果菜類10種(キュウリ,メロン,カボチャ,ニガウリ,ナス,ピーマン,トマト,インゲン,オクラ,イチゴ)およびキクについて,それぞれの葉片で飼育し,作物による増殖の違いを検討した。
    1) 羽化までの生存率はキュウリ,インゲン,ナス,ニガウリで高く,オクラ,キクでは低かった。トマト,イチゴでは前蛹まで発育した個体はみられなかった。羽化までの期間はキク,オクラで長かった。
    2) 成虫寿命はキュウリ,カボチャ,ナス,インゲンで長く,キク,トマト,イチゴで短かった。産卵数はキュウリで最も多く,メロン,ナス,カボチャの順であった。
    3) 1世代平均期間は作物間で大差なかったが,1世代当り純繁殖率は作物により大きく異なった。日当り内的自然増加率はキュウリで最大,ナス,メロン,カボチャの順であった。
  • XI. キュウリにおける被害解析
    河合 章
    1986 年 30 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ミナミキイロアザミウマの施設栽培キュウリにおける密度と被害の関係を明らかにするため,ビニルハウス内に4段階の密度条件を設定し,収穫期の密度をほぼ一定に保ち,寄生密度の違いが,生育・収量に及ぼす影響を調べた。
    1) 定植後の生育(草丈・節数)は,高密度区でやや劣った。
    2) 葉当り成虫数と幼虫数の間には高い正の相関がみられ,成虫数のみの調査で幼虫数の推移も代表できるものと考えられた。
    3) 葉当り成虫数と,全収量および健全果収量との間に高い負の相関が認められ,被害果率との間には正の相関が認められた。
    4) 被害許容密度は,全収量の5%および10%減少に対してそれぞれ葉当り成虫5.3頭および10.6頭,健全果収量の5%および10%減少に対してはそれぞれ4.4頭および8.8頭と推定された。
  • 高橋 滋
    1986 年 30 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 栃木県南那須町の牧場で1978年に数万∼数十万匹のトノサマバッタの大発生があった。
    2) 大発生個体群は宇都宮市の完全な孤独相と形態的には有意な差が認められず,転移相までは達していないと判断されたが,集中産卵・食性の変化・群飛と考えられる行動が観察された。
  • 井上 晃一, 芦原 亘, 刑部 正博
    1986 年 30 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 夏季の自然温度に近い条件,あるいはそれ以上にきびしい高温変温条件でも,ミカンハダニの内的自然増加率(rm)はきわめて高く,0.207∼0.277の範囲を示した。
    2) 各試験区のなかでは,1日の温度範囲が27°C (16hr)∼36°C (8hr)の場合が最もハダニの生存率が低かったが,これは孵化率が約70%と低く,雌成虫の寿命が短かったためである。しかし,この場合の1日1雌当り産卵数は対照の25°C恒温区に比べてほとんど差異がなかった。
    3) 日中の37°C (6hr)という異常な高温条件下でもハダニはよく産卵した。
    4) 以上の結果から,盛夏季の高温条件がミカンハダニの増殖に対して抑制因子になることは考えられなかった。
  • 堀川 知廣, 白鳥 長治, 鈴木 孝夫, 曾根 和重, 村松 雅人
    1986 年 30 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 酒粕液(酒粕と焼酎の混合液),清酒では,チャノコカクモンハマキ,チャハマキの雌雄両成虫が誘引されたが,焼酎,エチルアルコール,蒸留水では誘引性は認められなかった。
    2) 酒粕液に誘引される両種の雌雄比は調査時期,調査方法により異なった。酒粕液の誘引数は,性フェロモン剤による誘引数に比べ同等以下であった。
    3) 酒粕液への誘引時刻は,チャノコカクモンハマキでは雌成虫が19時から20時の間に多く,雄成虫は午前2時から5時にかけて多く誘引された。しかし,チャハマキでは誘引数が少なくて明確な傾向はつかめなかった。
    4) 両種の性フェロモンの共通成分である(Z)-11-tetradecenyl acetateを用いて交信攪乱処理を行っている茶園と無処理園に酒粕液トラップを設置したところ,両種の雌雄両成虫が誘引され,雌雄の比率は交信攪乱処理に無関係であった。
    5) 酒粕液には,未交尾雌成虫は誘引されにくく,誘引された個体の大部分は交尾済みであった。また,誘引された大部分の雌成虫は卵を持っていた。
  • 和久 義夫, 北川 全宏
    1986 年 30 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    モンシロチョウ成虫鱗片内部に特徴的に現われる顆粒(おそらくロイコプテリンなどのプテリン類を含む)の形成過程を,電顕観察により追及した。蛹期は7日間であったが,その4日目には将来鱗片となる生毛細胞の鱗片突起に顆粒の始原が出現し,5日目にはこれが成長して完成顆粒となった。始原顆粒は,太さ約10nm,長さ約200nmの細い繊維状構造物がやや粗に集積したものであるが,完成顆粒ではこの集積がさらに密になりかつ大型になる。顆粒の限界膜や顆粒形成の核になるべきものは見られなかった。また顆粒の形成は鱗片突起内に限られ,生毛細胞の本体やその他の細胞ではまったくなかった。さらに顆粒の数は雌よりも雄がはるかに多かった。このような形成過程は他の顆粒では見られない特徴的なものであるので,その意義について論じた。
  • 稲泉 三丸
    1986 年 30 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 冬季におけるワタアブラムシの胎生雌の形態的特徴,モルフ別個体数比率,出生時期,生存期間,世代数などを知る目的で,1983∼1984年および1984∼1985年の2冬季シーズンにおいて,宇都宮市のナズナ上の個体について野外調査と個体別飼育を行った。
    2) 冬季の野外個体群には夏季と同様,無翅および有翅胎生雌虫の幼・成虫が見られるが,2, 3月には有翅の成虫はほとんど見られなくなる。また,2月には若齢幼虫の,3月には中・老齢幼虫の比率が高い。
    3) 冬季個体は体表が白っぽいワックスでおおわれ,触角,角状管,尾片,腿節,脛節などの付属器は短小で,体形は球形に近くなる。これらの特徴は最も寒い2月の個体に顕著に現われる。
    4) 本種は,宇都宮地方では12∼3月の冬季にほぼ2世代を送っており,この間に野外で見られる無翅胎生雌の成虫は11月上旬∼12月中旬に生まれ,11月下旬∼1月下旬にかけて成虫に生育した個体であると推定された。
    5) 2, 3月の気温が平年より低温の年には,第2および第3世代幼虫の死亡率が高いほか,第2世代成虫の産子数も著しく少なく,それらが4, 5月における早春の個体群確立に著しい影響を与えるものと推定された。
  • 讃井 孝義, 湯川 淳一
    1986 年 30 巻 1 号 p. 50-54
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1984年に宮崎県のヒラタケ栽培舎で発見されたタマバエはわが国未記録のMycophila属の一種であり,両性生殖以外に幼生生殖も行うことを確認した。翅長は0.9mm内外の微小な成虫であるが,雌は大卵少数の傾向を示し,長径約0.25mmの比較的大きい卵を4∼6個保有していた。幼虫は体長や体色,胸骨の有無などに変異が見られた。幼生生殖1サイクルの所要期間は25°Cで4∼5日,母幼虫当りの子幼虫数は飼育条件により2∼33匹であった。幼生生殖による増殖率は4段階の飼育温度のうち27°Cの場合が最も高く,21日間で約2,000倍に増殖した。ついで,22°C,17°Cの順であったが,12°Cではほとんど増殖しなかった。本種はヒラタケ以外にもキクラゲやナメコ,マッシュルームなど6種の担子菌類でも活発な幼生生殖を行い,広範囲な食用菌類の害虫になりうる可能性を持っていることがわかった。
  • 植松 秀男
    1986 年 30 巻 1 号 p. 55-57
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    When jumping on the dorsum of the host, the parasitoid wasp immediately thrusts her ovipositor into the host. This preovipositional stinging which usually lasts 10-100sec has two objectives, i.e., 1) to paralyse the host temporarily during ovipostion, 2) to arrest host molting or pupation after a period of feeding.
  • 森 樊須, 後藤 哲雄
    1986 年 30 巻 1 号 p. 57-59
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Susceptibilities to five chemicals on two different strains of Phytoseiulus persimilis were compared. One was introduced from University of California, Riverside (UCR, susceptible), the other from “Biologische Bundesanstalt für Land- und Forstwirtschaft, Institut für biologische Schädlingsbekampfung” Darmstadt, Federal Republic of Germany, in 1984 through the kindness of Dr. Sherif A. HASSAN (DAS, resistant). Susceptibilities to fenitrothion, carbaryl and chinomethionat were low in the DSA strain. However, susceptibility to acephate was the same and that to permethrin was very high in both strains.
  • I. 地理的分布
    大串 龍一
    1986 年 30 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    3種のロウカイガラムシの地理的分布をアンケート法によって調べた。分布の北限はルビーロウムシが最も南にあり,ツノロウムシ,カメノコロウムシの順に北になる。この北限は水野・村川(1953, 1954)の提示した年平均気温が14°Cおよび10°Cの線とおおまかに対応する。これらの分布を水野らが約25年前に調べた資料とくらべてみると,ルビーロウムシとカメノコロウムシでは,日本海側では分布域がやや北にひろがっている。
  • 高橋 敬一
    1986 年 30 巻 1 号 p. 62-64
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • IV. 成虫の体サイズと堆積穀層からの脱出の難易
    渡辺 直
    1986 年 30 巻 1 号 p. 64-66
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 野田 博明, 宮崎 稔, 橋本 碩
    1986 年 30 巻 1 号 p. 66-68
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Many leaves of rice plant floated on water in paddy fields early in June. This damage was observed in both direct sowing and transplanting fields. The damage was ascribed to feeding of chironomid larvae, because many larvae were found in the water and on the floated leaves, and a similar damage was recognized by releasing the larvae on rice seedlings. Cricotopus trifasciatus was the main species.
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