日本応用動物昆虫学会誌
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31 巻 , 4 号
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  • 神田 健一
    1987 年 31 巻 4 号 p. 279-284
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アワヨトウの牧草における産卵部位を,オーチャードグラスの刈取り後の再生と関連して調査するとともに,産卵部位別の卵の生存率と天敵との関係について調査した。
    1) 刈取り直後は再生した新葉が少ないこと,刈取りにより上位葉が除かれて刈株の枯葉が露出すること,収穫時に地表面に落ちた葉が枯れることなどから,枯葉への産卵が多かった。刈取り約3週間後の牧草の再生が旺盛な時期には,枯葉への産卵は少なく,再生した未展開葉や重なり合った生葉の間に産卵が多かった。刈取り約6週間後には受光不足により枯死した下葉に産卵が多くなった。
    2) 産卵部位の地表面からの高さは,刈取り後の日数による変化はみられず,生葉で地上約10cm,枯葉で約6cmの位置にあった。
    3) 生葉では産卵された卵の21.9∼88.3%がふ化までに葉の伸長や展開によって葉から露出したが,枯葉では露出する卵はなかった。
    4) 露出した卵と枯葉に包まれた卵を草地の地表面に置いたところ,露出した卵はすべて捕食されたが,枯葉に包まれた卵は一部または全部が捕食されずに生存した。
    5) 露出した卵を地表面から高さで0, 15, 30cmの位置に接種したところ,0>15>30cmの順に死亡率が高く,捕食者としておもにアズマオオズアカアリが認められ,他にキイロシリアゲアリ,ノハラナメクジ,シバスズ,エンマコオロギ,オカメコオロギなどが見られた。
  • 小滝 豊美, 八木 繁実
    1987 年 31 巻 4 号 p. 285-290
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    チャバネアオカメムシPlautia stali SCOTT成虫の休眠発育がどのように進行するかを明らかにするため,20°Cの恒温条件下で日長転換を行い産卵の開始および体色の変化を観察した。成虫期に日長を長日(15L-9D)から短日(12L-12D)へ転換すると産卵の抑制および体色の褐色化が認められ,逆の転換により産卵の誘起および体色の緑色化が観察されたことから,本種は成虫期にも光周期に対する感受性を有することが示された。短日から長日への転換では長い期間短日条件下に置かれた区ほど転換後早く産卵する傾向が示され,羽化後日齢の経過に伴ってしだいに休眠発育が進行することが明らかになった。また,褐色個体の緑色化は休眠発育がある程度進行した段階で引き起こされる現象であると推察された。
  • 近藤 章, 平松 高明, 逸見 尚
    1987 年 31 巻 4 号 p. 291-296
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カンザワハダニのブドウ(マスカット・オブ・アレキサンドリア)寄生個体群(Gp)とインゲンマメ(本金時)寄生個体群(Bp)のブドウおよびマメで飼育した場合の生活史パラメータを調査し,それを個体群間,寄主植物間で比較した。ブドウ葉では,GpのほうがBpよりも幼・若虫の生存率が高く,発育日数が短く,産卵数も多いため,rmはより大きかった。しかし,マメ葉では個体群間に差がみられなかった。また,両個体群ともにマメ葉でのほうがブドウ葉よりもrmがはるかに大きかった。
  • 神田 健一
    1987 年 31 巻 4 号 p. 297-304
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アワヨトウ成虫が1日に摂取するしょ糖量は液の濃度により異なり,低濃度ほど羽化当初の摂取量は少なく,日齢とともに増加した。摂取量の日変化は,高濃度では羽化当初に多量でも,その後は漸減した。しょ糖液濃度が0.1∼10%の間では,摂取したしょ糖液量と産卵数の間には直線的な関係が認められた。成虫の絶食や強制的な飛翔は産卵数を減少させた。飛翔させた成虫のしょ糖液の摂取量は,飛翔させない個体より増加した。オオキンケイギクの花蜜を摂取した雌成虫の卵巣は発育したが,シロクローバやオーチャードグラスでは,ほとんど,またはまったく発育しなかった。
    恒温室(21.5±1.5°C)とトウモロコシ畑の網室(2×2×2m)に放飼した成虫は,羽化当日は吸蜜せず,初めて吸蜜する成虫数の最も多い日は3日目で,次いで室内では4日目,野外網室では2日目であった。日周的には,日暮と夜明けにピークがみられたが,5日目以降はそれらの時刻以外にも吸蜜する成虫が増加し,7日目には明確なピークは認められなかった。糖蜜を給餌しない網室に放飼した成虫はトウモロコシに寄生しているアブラムシの甘露を摂取し,正常に交尾産卵するのが観察された。
  • 野里 和雄
    1987 年 31 巻 4 号 p. 305-308
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    有翅老齢幼虫をオオイヌノフグリで飼育したコロニーから採集し,シャーレーに入れて室内で1時間ごとに羽化数を調べた。羽化は昼間も夜間も同じように見られた。
    羽化直後の個体を容器内の紙上に接種して飛び立ちを調べた。それらはおもに10∼24時間後に飛んだが,飛ぶまでの時間の範囲は1∼31時間であった。多くの羽化直後個体は日出頃(7:00)から14:00までよく飛んだ。これは昼間から夜間にかけて羽化した個体が翌朝の日出頃から一斉に飛び出したことを示している。
    羽化直後の個体を容器内の新鮮寄主植物に接種して飛び立ちを調べた。その飛び立ちまでの時間は植物がないときよりさらに遅れた。すなわち,その日に飛ぶ個体は少なく,次の日がもっとも多く,その後は経過するにつれてしだいに減少した。その日に飛んだ個体では産子は見られなかったが,1日後に飛んだ個体では40%が産子し,その後はその割合は経過するにつれて高くなり,1成虫当り産子数も経過とともに増加した。
  • 仲盛 広明
    1987 年 31 巻 4 号 p. 309-314
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ウリミバエの大量増殖系統と野生系統の繁殖と生存にかかわる諸形質の変異性を比較した。大量増殖系統は1979年12月に野外より採集し,羽化後3週目の卵のみを次世代虫とする方法で,産卵効率の高い個体を選択し,育成したものである。実験に供するまでに約20世代累代飼育されている。野生系統はニガウリの寄生果を採集し,羽化させた直後の成虫である。比較の対象にした形質は産卵前期間,生存期間中の総産卵数,産卵回数,産卵個体率,産卵後期間,交尾前期間,交尾回数,および雌雄の生存日数である。
    1) 大量増殖系統の産卵前期間,産卵後期間,および雌雄の生存日数はいずれも野生系統よりも短かかった。
    2) 大量増殖系統の総産卵数は野生系統よりも多く,また産卵個体率も高かった。
    3) 産卵回数および交尾回数はいずれも大量増殖系統において野生系統よりも多かった。
    4) 野生系統の産卵前期間,総産卵数,産卵回数,産卵個体率,産卵後期間および交尾回数の変動係数は大量増殖系統よりも高かった。
    5) 交尾前期間,および雌雄の寿命の変動係数は両系統とも近似していた。
    以上の結果,大量増殖系統は野生系統に比べて早熟,多産,早死であり,一般に繁殖と生存にかかわる形質の変異性の低いことが示唆された。
  • 仲盛 広明
    1987 年 31 巻 4 号 p. 315-320
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ウリミバエの飛翔におよぼす成虫の餌条件および交尾,産卵の経験の有無についての実験を行った。羽化後5, 15, 30日齢虫を1∼3日間絶食させると,いずれの日齢虫とも絶食条件を与えなかった個体より低く,絶食期間が長くなるにつれ飛翔時間は短くなった。羽化5日目の若齢虫は羽化15および30日齢の個体ほどには絶食による影響を受けなかった。蛋白加水分解物と砂糖の混合割合を変えた餌を与えると羽化後5日目の若齢個体では蛋白加水分解物の混合割合のいかんにかかわらず,飛翔時間が低下することはなかった。しかし,日齢が経過するにつれて蛋白加水分解物を与えた個体の飛翔時間は与えなかった個体よりも長く,この傾向は雄よりも雌において強かった。雄の飛翔時間は交尾経験の有無によって影響されなかったが,羽化後の日齢の経過した未交尾雌の飛翔時間は,交尾を経験した個体よりも長かった。若齢期には産卵経験の有無により飛翔時間が変わることはなかった。しかし,羽化後の日齢が経過すると未産卵個体の飛翔時間は産卵個体よりも長い傾向を示した。
  • 岩野 秀俊
    1987 年 31 巻 4 号 p. 321-327
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    シバやイネ科牧草の害虫であるスジキリヨトウ野外個体群の密度調節に微胞子虫がどのように関与しているかを知るために,ライトトラップを用いて,採集した成虫における微胞子虫感染率の季節変動を調査した。
    1) 調査地点での成虫の発生消長は,すべて年3化型であり,各世代別の平均感染率は越冬世代が9.2%,第1世代が9.6%,さらに第2世代が14.5%で,世代が進むごとに漸次,高くなる傾向がみられた。
    2) 成虫1頭あたりの検出胞子数の世代別変化は,感染率の増加とは逆に世代の進行とともに検出胞子数の少ない個体が増加していた。
    3) 分離胞子群はその胞子サイズが,l=3.37∼4.46, w=1.85∼2.50μmの分布範囲内に納まり,そのなかには,家蚕の微粒子病病原体であるN. bombycisと近似したサイズを有する胞子も含まれていた。
    4) 分離株のなかには,家蚕に対して感染性を示す株が存在し,そのうちの2株はN. bombycis同様にほぼ全身的に感染した。
  • 積木 久明, 永井 一哉, 兼久 勝夫
    1987 年 31 巻 4 号 p. 328-332
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ミナミキイロアザミウマが冬期の低温に耐えて露地で越冬が可能か否かを明らかにするために,夏期と冬期に採集した2齢幼虫と成虫の0°C, -5°C, -10°Cの各恒温下と,-5°C∼5°C(平均0°C)の変温下での生存期間を調査した。
    冬期個体群は夏期個体群に比べ調査したいずれの低温下でも生存期間は長かった。
    冬期の成虫は-10°Cで最大1日,2齢幼虫は1日以上耐えることができた。-5°Cでは成虫,2齢幼虫とも最大1週間程度生存した。0°C恒温下と-5°C∼5°C変温下で餌を与えた場合,50%死亡日は両温度でほとんど変わらなかったが,95%死亡日と最大生存期間は異なっていた。0°C恒温下で成虫は最大11日,2齢幼虫は2週間程度生存し,変温下では1か月と半月程度生存した。このように,平均温度は同じであっても餌を与えることにより変温下のほうが恒温下に比べ,冬期の一部成虫の生存期間は非常に延びることが明らかになった。
    冬期の野外気温の変化をもとに設定した-5°C∼5°C変温下で,2齢幼虫は脱皮,変態ができなかったことから,ミナミキイロアザミウマは岡山県南部の露地での越冬は,かなりむずかしいと考えられる。
  • 河野 哲
    1987 年 31 巻 4 号 p. 333-338
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ナミハダニのディコホル感受性および抵抗性系統の増殖能力について,インゲン葉を用いたリーフディスク法により20°C, 25°C, 30°Cの温度条件下で検討した。
    1) 両系統間の生存率については,25°C, 30°Cの条件下では感受性系統のほうが高い傾向を示した。また,産卵数については,25°C, 30°Cで感受性系統のほうが多いようにみうけられたが,有意な差ではなかった。
    2) 未孵化率は各温度とも感受性系統のほうが抵抗性系統よりやや低い傾向を示した。
    3) 卵から成虫に発育するまでの日数は,各温度ともわずかに感受性系統のほうが抵抗性系統より短かった。
    4) 第1世代および第2世代の成虫化率は,感受性系統のほうが抵抗性系統よりいくぶん高く,雌当り平均産卵数も25°Cでは感受性系統がやや多かった。
    5) 内的自然増加率(rm)は,両系統とも30°C>25°C>20°Cの順に小さくなり,いずれの温度でも感受性系統が抵抗性系統より高かった。
    6) 以上の結果から,ディコホル抵抗性個体は,薬剤淘汰圧のない条件下では感受性個体に比べて増殖能力が劣り,このこととディコホル抵抗性の遺伝様式とが関係して,ナミハダニ個体群のディコホル抵抗性レベルは徐徐に低下し,感受性への復元が期待される。
  • 朝加 明宜, 佐藤 安夫
    1987 年 31 巻 4 号 p. 339-343
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) スクミリンゴガイに対するカルタップおよびベンスルタップ原体のLC50値は,中型成貝で2ppmと10ppm以上,大型成貝では1.9ppmと10ppmであった。
    2) 中型成貝によるイネの摂食を完全に阻害するカルタップおよびベンスルタップ原体の最低濃度はイネで0.31ppm以下と0.31ppm,大型成貝では0.20ppmと0.63ppmであった。
    3) 10a当り4kg相当のカルタップおよびベンスルタップ粒剤をポットの水中に施用すると,中型成貝による食害は施用後15日間完全に防止された。
    4) 育苗箱当りカルタップ粒剤を60gおよび100g施用すると,中型成貝の食害は移植後14日間,大型成貝では21日間ほぼ完全に防止された。
    5) 以上の結果から,水田における貝の食害はカルタップおよびベンスルタップ粒剤を水中に4kg/10a,あるいは育苗箱に60g/箱以上,施用すれば約3週間防止できることが示唆された。
  • 河口 豊, 紫藤 光一, 藤井 博, 土井良 宏
    1987 年 31 巻 4 号 p. 344-349
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコ大卵突然変異(Ge)の卵に関する性状ならびに卵形成過程における蛹体重と卵巣の発育状況,卵巣(卵)タンパク質含量の経時的変化について正常との比較分析を行った。
    1) Ge卵は正常に比べ卵形(卵殻の長径と短径),卵重,卵黄タンパク質含量のいずれも大であるが,卵黄タンパク質成分組成には差異は認められなかった。Ge雌成虫の造卵数は少なかった。
    2) Geにおける卵巣生重,卵巣(卵)タンパク質含量ならびに蛹体重に対する卵巣生重割合の経時的変化はいずれも正常のそれと同じであった。
    3) Geにおける卵形の大形化と卵内容物の増加は卵形成のための素材料が一定であるという制約下にあって,必然的に造卵数の減少をもたらすと考えられた。すなわち,個々の卵構成物質量と卵数とを調節する機構が強く作動しているものと判断された。
  • 行徳 政比古, 伊藤 國彦, 中筋 房夫
    1987 年 31 巻 4 号 p. 350-358
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本調査では,マイグレーション・トラップを用いて鱗翅目昆虫移動の調査を行った。
    イチモンジセセリの移動を奈良県葛城山で調査した。イチモンジセセリの捕獲は,多くの観察例から予測されたように,明らかに南西方向への飛翔に有意な片寄りがみられた。移動個体数は0.12∼0.43匹/m2/時程度であると推定された。
    鱗翅目昆虫一般を対象として,岡山市近郊の3地点(岡山大学附属農場,津高牧場,半田山演習林)に定期的に東西,南北両方向にトラップを設置して調査した。全体で82種の鱗翅目昆虫が捕獲された。捕獲された昆虫のうち,個体数が多く飛翔方向に有意な片寄りがみられた種は,コブノメイガ,スジキリヨトウ,シロオビノメイガ,アワノメイガ,フタテンヒメヨトウ,アワヨトウの6種であった。いずれも夏季あるいは秋季に西方向へ片寄った飛翔がみられた。このうち,従来移動性であるといわれているコブノメイガ,シロオビノメイガおよびアワヨトウでは,いずれも秋に西方向へ有意に片寄った飛翔がみられ,方向移動の可能性が示唆された。
  • 中尾 弘志, 斎藤 裕, 森 樊須
    1987 年 31 巻 4 号 p. 359-368
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ビニールハウス栽培キュウリのハダニ防除を,他害虫防除用農薬と薬剤抵抗性チリカブリダニ(DAS系統)とを併用して実施し,さらに防除の効果とそのプロセスをシミュレーションモデルと比較した。
    DAS系統はfenitrothion散布を繰り返すことにより,それに対する感受性が低下した。しかし,4∼6か月の薬剤選抜停止によって感受性の復元が認められた。
    殺菌剤7回,fenitrothion 4回散布条件の下で,DAS系統チリカブリダニ雌をナミハダニ雌に対して約1:10の比率で放飼したところ,ハダニは十分に抑制された。とくに,カブリダニ放飼後7日あるいは10日目に初めてfenitrothionを散布した場合に,薬剤無散布区とほぼ同様の被害抑制効果があった。これらの場合の葉の被害指数は放飼時点で1.3であり,最高でも2.0を上回ることはなかった。しかし,経済的被害許容水準を考慮すれば,適正な放飼時期は被害指数の低い(1.0前後)時点であると考えられた。
    シミュレーションによって実験結果をよく再現するためには,ハウス内で測られた平均気温およびチリカブリダニの定着率の修正が必要とされた。
    この二つの修正が妥当かどうかは今後の課題であるが,修正後のモデルによる理論値は全実験において実測値とほぼ一致した。これによって,今回のモデルで薬剤散布条件下のカブリダニによるハダニの防除結果をある程度予測できることが示唆された。
  • 斉藤 修
    1987 年 31 巻 4 号 p. 369-374
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. トウモロコシの生育に伴う含窒素化合物と炭水化物の消長と,アワノメイガ幼虫の発育との関係を検討した。
    2. 生育ステージ別,部位別に加圧蒸気殺菌したトウモロコシを食餌とした幼虫の体重は子実を摂食した場合に重く,葉身,巻葉,雄穂を摂食したそれは中程度で,生育ステージによって大きな差はないが,葉鞘や稈を摂食した幼虫は開花前には軽く,開花後に重くなった。幼虫の発育速度は,葉身,巻葉,雄穂,子実ではトウモロコシの生育ステージによる差は小さいが,葉鞘や稈では開花後,速くなった。また,生存率はほとんどの部位で開花後に高まる傾向がみられた。
    3. トウモロコシの含窒素化合物として全窒素,蛋白態窒素,水溶性蛋白,遊離アミノ酸について定量したところ,各成分とも開花前に多く含まれ,開花後には減少した。炭水化物は全可消化炭水化物,全糖,還元糖について定量したが,各成分とも開花前に少なく,開花後に多かった。
    4. 以上の結果から,各成分単独では幼虫の発育と密接な関係は見いだせないが,C/N比(全糖⁄粗蛋白)を基準にすると,比1∼2付近で幼虫体重が最も重く,その前後で軽くなった。また,C/N比と幼虫発育速度との間に負の相関関係が認められた。
  • 氏家 武
    1987 年 31 巻 4 号 p. 375-380
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    グロスキャビネットを使用した定温,定日長条件下で,キンモンホソガの休眠誘起に対する光周反応の世代間差について調査した結果,次のことが明らかになった。
    1) 盛岡個体群第1世代の15, 20, 25°C短日(12時間日長以下)条件下における休眠率は50%あるいはそれ以下であり,第2世代以降に比べて著しく低かった。
    2) 越冬世代と第1世代の交配F1の光周反応は,母親に越冬世代を用いた場合は第1世代の日長時間-休眠率曲線に類似し,逆交配の場合は第2世代のそれに類似した。
    3) 第1世代にみられた休眠抑制機能は,越冬世代の母親から受け継がれるものであり,この情報は母体内の卵母細胞あるいは卵細胞内に形成され,細胞質を通じて次世代に伝わるものと推定された。なおこの影響は1世代限りで消失した。
    4) 第2世代も第3世代に比べると,短日域で非休眠蛹が生じる比率が若干高かった。これらの原因としては寄主植物の葉齢,無脚幼虫期の経過齢数の違いが考えられた。
    5) 日長感受性の世代間差は盛岡個体群のほか旭川,須坂,金沢,浜松,甘木の各個体群にもみられ,普遍的に存在するものと考えられた。
  • 阿部 広明, 渡部 仁
    1987 年 31 巻 4 号 p. 381-384
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    2種類のカイコ濃核病ウイルス,DNV-1とDNV-2を両ウイルスに感受性のカイコ幼虫に接種し,両ウイルス間の相互関係を調べた。両ウイルスを同時,あるいは時期をずらして接種したいずれの場合も,干渉現象が認められた。感染率100%をもたらす高濃度の両ウイルスを接種した個体のパラフィン切片を作成し,酵素抗体(間接)二重染色法により,中腸組織中のDNV-1とDNV-2抗原の所在を染め分けた。両ウイルスの感染が,それぞれ独立に起こるとすると,ほとんどの円筒細胞が両方のウイルスに感染すると考えられるが,実際には両ウイルスに感染している一部の細胞のほか,DNV-1あるいはDNV-2のみに感染している細胞が存在した。以上の結果から,DNV-1とDNV-2の間には,個体レベルと細胞レベルでの感染において干渉が存在することが確認された。
  • 大野 和朗
    1987 年 31 巻 4 号 p. 385-390
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    チャバネアオカメムシの卵寄生蜂チャバネクロタマゴバチの繁殖特性を16L-8D, 25°Cの恒温条件下で調べ,寄主卵塊サイズとの関連からそれらの結果を考察した。
    1) 羽化直後の雌蜂はほとんど成熟卵を保有しておらず,羽化後1日で平均14.8卵の成熟卵が認められた。また,日齢を経るにしたがい雌蜂の保有成熟卵数は増加したことから,本種の卵巣発育は逐次成熟型であると結論された。
    2) 羽化当日から毎日十分な数の寄主卵を与えた場合,最初の10日間は日あたり産卵数は平均10∼18卵で変動し,また子の死亡率が高く,卵塊から雄蜂が羽化しない例が多数認められた。累積産卵曲線から得られた回帰式より,最初の数日間は寄主卵塊サイズに相当する14卵の産下に約1日を要することが明らかとなった。
    3) 4日齢の雌蜂に毎日14卵の寄主を卵塊として与えた実験では,最初の7日目までは毎日14個近い卵が産下され,寄主卵塊あたり雄1頭,雌13頭が羽化した。また,子の死亡率は低かった。
    4) 以上の結果から,本種の卵巣発育や産卵速度は寄主卵塊の平均的なサイズ14と密接に関連していると推測された。寄主卵塊あたり雄卵1個,雌卵13個すなわち本種の基本的な産卵性比を0.07とした場合,雌蜂が一生の間に利用可能な寄主卵塊(14卵粒)は純繁殖率に換算して8∼9卵塊と推測された。
  • 真梶 徳純, 天野 洋, 布川 美紀, 安蒜 俊比古
    1987 年 31 巻 4 号 p. 391-394
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    約15年生の垣根仕立の並木植えサンゴジュについて,枝上におけるサンゴジュハムシの卵塊の産付位置を調査し,次に示す結果が得られた。
    1) 樹高が3mくらいまでは,高さによる産卵選択はほとんど認められなかった。
    2) 産卵は1年生枝に半数以上が行われ,枝齢の経過に従って産卵割合は減少した。
    3) ほとんどの卵塊は芽から10mm以内のところに産まれていた。これを枝の先端からの距離で示すと,20mmまでのところに半数以上のものが,60mmまでのところにほとんどのものが産付されていた。
  • 真梶 徳純, 安蒜 俊比古, 天野 洋, 布川 美紀
    1987 年 31 巻 4 号 p. 395-397
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    約15年生の東西方向の並木植えのサンゴジュを用いて,新梢の伸びの停止した7月下旬(夏期剪定)と越冬卵ふ化前の3月中旬(冬期剪定)に剪定を行い,越冬卵の付着状態と新葉の被害発生に及ぼす影響を調べた。
    枝の伸びのよい垣根の北面では夏,冬両剪定区において越冬卵密度は低くなり,新葉の被害も明らかに減少した。枝の伸びの悪い垣根の南面では剪定による枝の除去が少なかったことから,卵密度には変化がみられなかった。新葉の被害は冬期剪定区で減少した。
  • 井上 晃一, 刑部 正博, 芦原 亘
    1987 年 31 巻 4 号 p. 398-403
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) カンキツ園とその周辺の防風樹や施設栽培ブドウから採集したカブリダニ類について,methidathion, carbaryl, salithion, manebに対する感受性の調査を行った。その結果,前2薬剤において産地により変異のあることが判明した。
    2) methidathionに対して感受性が低かったのは,ニセラーゴカブリダニでは愛媛県八幡浜市川上産と松山市東野町産のほかに3個体群があり,松山市東野町産(R)と感受性個体群(S)のLC50値でみたR/S比は9.3 (13.0ppm/1.4ppm)であった。コウズケカブリダニでは伊予市八倉産(R)の感受性が低く,R/S比は6.4 (43.0ppm/6.7ppm)であった。ケナガカブリダニの場合,とくに感受性が低い個体群は見いだせなかった。
    3) carbarylに対して感受性が低かったのは,ニセラーゴカブリダニでは松山市東野町産(LC50値が82.0ppm)のほかに7個体群が認められた。コウズケカブリダニの場合は伊予市八倉産(R)の感受性が低く,R/S比は4.7 (53.4ppm/11.3ppm)を示した。
    4) salithionに対しては,供試した岡山市一宮産と広島県安芸津産のケナガカブリダニの感受性はともに低く,LC50値が約400ppmを示した。
  • 井上 雅央
    1987 年 31 巻 4 号 p. 404-406
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 柴田 叡弌
    1987 年 31 巻 4 号 p. 406-409
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 河野 哲
    1987 年 31 巻 4 号 p. 409-411
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ディコホルの淘汰によって,ナミハダニのディコホル感受性は比較的緩慢に低下し,40回淘汰後のLC50値は淘汰前の28.9倍に増大した。それに伴って,ディコホルと類似の化学構造をもつクロルベンジレート,あるいは有機リン剤のフェンカプトンの感受性もかなり低下した。しかし,有機硫黄系のキノメチオネートの50回淘汰後のLC50値は,淘汰前に比べてわずかに低下したにとどまり,テトラジホンでは両者に差がなかった。
  • 積木 久明, 兼久 勝夫, 河田 和雄, 白神 孝
    1987 年 31 巻 4 号 p. 411-414
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The role of free amino acids in the mechanism of barley resistance to cereal aphids was studied. Total free amino acid concentrations in the leaves of the resistant barley lines tested were higher than those of the susceptible lines. Furthermore, the low value of some amino acids, but the high proportion of the aspragine fraction containing glutamic acid appeared to be associated with the resistance to the aphids.
  • 松井 正春
    1987 年 31 巻 4 号 p. 414-416
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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