大分県の森林生態系(高度50m,日本文理大学構内,クロキ,サカキ,ヒサカキ混交林,赤迫,ヒノキ,スギの各単純林,アカマツ,クヌギ混交林;高度300m,御所峠,クヌギ単純林;高度820∼850m,鶴見岳,広葉混交林,ヒノキ単純林,針葉広葉混交林;高度1,050∼1,150m,鶴見岳,広葉混交林)における栄養塩類(P, N, K, Ca, Mg, Na, Al)の分布を調査した。試料は土壌のL, F, H層,植物,昆虫類,アカネズミ,ヘビ類であった。おもな結果はつぎのとおりである。
1) L層のCaの含量とF, H層のAlの含量は高度
が高くなるにつれて減少し,反対にL層のMgの含量は増加した。
2) 樹木類のCaの含量は高度が高くなるにつれて減少した。
3) 昆虫類のKの含量は高度50mの地点でもっとも高かった。
4) アカネズミのCaの含量は高度が高くなるにつれて減少した。
5) 活火山(阿蘇山),休火山(鶴見岳),非火山(越百山)の高度による6元素(Alを除く)の分布を比較すると,活火山はK, Mgが多かった。
6) 休火山は樹木類のPの含量が多かった。
7) 非火山はL, H層のP, K, Naの含量が多く,腐肉食性昆虫のNaの含量と樹木類のCaの含量が多かった。
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