1978年から1986年までダイズ圃場で,カメムシ類の株当り個体数を調査し,空間分布の特性を解析した。
1) マルカメムシの成虫,幼虫,ホソヘリカメムシの卵,幼虫,イチモンジカメムシの幼虫は集中分布をし,ホソヘリカメムシ成虫はポアソン分布に近い分布型を示した。イチモンジカメムシ成虫,マルカメムシ卵塊では,株当り寄生数が高くなると集中分布になる傾向がみられた。イチモンジカメムシ卵塊は分散比からはポアソン分布が推定できたが,さらに詳細に検討したところ集中分布に傾くと推察できた。
2) 集中分布をしたサンプルのうち,ホソヘリカメムシの卵は負の2項分布に近く,マルカメムシ成虫,幼虫,イチモンジカメムシ幼虫,ホソヘリカメムシ幼虫はネイマンA型分布に近かった。
3)
CA指数によって分布の集中度を比較したところ,イチモンジカメムシ幼虫,ホソヘリカメムシ卵の集中度が高く,イチモンジカメムシ成虫,ホソヘリカメムシ幼虫の集中度も比較的高かった。
4)
*m-m回帰直線のα値から分布の特性をみると,1個体または1卵塊が分布の基本集合単位とみられるものは,ホソヘリカメムシ成虫,イチモンジカメムシ成虫,卵塊であり,複数個体が分布の基本集合単位とみられるものは,ホソヘリカメムシ卵,幼虫,マルカメムシ成虫,卵塊,幼虫であった。
5)
*m/mはマルカメムシとイチモンジカメムシの幼虫では卵塊に由来した若齢幼虫が群生している8月21∼31日が大きく,変動も大きかったが,ホソヘリカメムシの幼虫では変動が少なかった。
6) 分布相関指数(ω)の頻度分布から,カメムシの各発育ステージ間の相互関係を見ると,イチモンジカメムシの成虫と卵塊,ホソヘリカメムシの成虫と卵,幼虫と卵では,負の関係が推察されたが,その他の組合せでは正の関係が推察された。
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