産生細胞の異なる
B. mori NPVおよび
X. c-nigrum NPVのNOV間で交差中和試験を行った。
S. frugiperda細胞で産生されたNOV (TC)より調製された抗
X. c-nigrum NPV NOV (TC)血清は,S.P.C. Bm 36細胞および
B. mori感染幼虫で産生された
B. mori NPVのNOVを同種抗原と同様に中和した。また,S.P.C. Bm 36細胞で産生されたNOV (TC)より調製された抗
B. mori NPV NOV (TC)血清はS.P.C. Bm 36細胞および
S. frugiperda細胞で増殖させた
X. c-nigrum NPVのいずれのNOVも同種抗原と同様に中和し,
B. mori NPVの感染幼虫体液中NOV (IH)も同様に中和した。さらに,感染幼虫体液中NOV (IH)より調製された抗
B. mori NPV NOV (IH)血清も同様に各NOVを中和した。これらのことより,類縁関係が遠いと考えられていたこれらのNPVのNOVには,培養細胞への感染に関与する共通抗原が存在することが認められたが,この共通抗原が産生細胞由来である可能性は低いと考えられた。
また,従来困難とされていたNPVのOVによるプラック形成に成功し,
B. mori NPVのOVと各NPVのNOV間で交差中和試験を行った。
B. mori NPVの抗OV血清は,同種抗原を強力に中和したが,NOVに対する中和作用はまったく見られなかった。しかし,抗
B. mori NPVの抗NOV血清は,NOV (TC)およびNOV (IH)ともわずかにOVを中和し,
B. mori NPVのNOVには,OVの感染に関与する抗原と共通の抗原がわずかながら存在していることが示唆された。一方,抗
X. c-nigrum NPV NOV血清は,
B. mori NPVのOVを中和しなかった。これらのことより,
B. mori NPVのOVと
X. c-nigrum NPVのNOVの間には,感染に関与する共通抗原が存在しないことが示唆された。
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