日本応用動物昆虫学会誌
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35 巻, 3 号
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  • 市川 俊英, 岡本 秀俊, 内海 与三郎, 川西 良雄, 壺井 洋一
    1991 年 35 巻 3 号 p. 181-187
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    5年以上害虫防除を行っていない香川県内の4か所のオリーブ園でオリーブアナアキゾウムシ成虫の越冬場所を調査した。園内の地面がすべて雑草と落葉で覆われていた3園には加害を受けて枯死したオリーブが多く,調査樹の樹幹にも多数の成虫脱出孔が認められた。各調査樹とその根元から1mまでの地面を調査した結果,これらの園では生存樹で最少16個体,最高117個体の越冬成虫が発見されたが,調査樹中唯一の枯死樹では2個体しか発見されなかった。これらの越冬成虫の大半は地面に存在しており,存在密度は根元から10cm以内の地面で最も高く,90%以上が根元から50cm以内の地面で発見された。園内がほとんど裸地状態であった残りの1園では,成虫脱出孔が少ないとともに,越冬成虫は最高2個体しか発見されなかった。
  • 筒井 等, 早川 博文
    1991 年 35 巻 3 号 p. 189-195
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    シロモンヤガ成虫の誘殺消長を,北海道農業試験場畑作管理部圃場に設置した誘殺灯で,1973年から1986年に調査した。そのうち1973年から1983年の結果と気象要因等との関係を検討し,1984年から1986年に検証した。
    1) 越冬世代,第1世代の平均50%誘殺日はそれぞれ6月28日,9月3日であった。各世代の平均誘殺数は越冬世代757頭,第1世代5,900頭で,第1世代の多い2山型の誘殺消長を示した。
    2) 各世代の50%誘殺日は,飼育実験より得られた発育零点,有効積算温度を用いた予測よりも,積算温度の変動係数を最小にする臨界温度,積算温度からの予測のほうが誤差が少なかった。
    3) 越冬世代誘殺数と前年第1世代誘殺数,気象要因との関係を変数選択による重回帰分析により求めた。説明変数には前年の10, 12月と当年6月の降水量が選択された。予測は成虫発生時期直前の6月の気象要因を除いて行ったが,実誘殺数と推定値の変動傾向は一致した。
    4) 第1世代誘殺数については,前世代誘殺数,7月平均気温,8月日照時間が変数として選択されたが,これらによっては誘殺数を十分に説明することができなかった。
  • 平尾 常男, 荒井 成彦
    1991 年 35 巻 3 号 p. 197-206
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコの寄主植物であるクワのほかに,比較的よく摂食されるものとしては,シャ,ノニレおよびアキノノゲシ,それにまったく摂食されないものとしては,トウゴマ,シンジュ,サクラ,クヌギおよびフウの合計9種の植物種を選び,それらの植物葉水溶性画分に対する摂食反応と味覚認識パターンとの関連性について解析し,カイコの寄主選択性における味覚認識の役割について検討した。
    1) 植物葉の水溶性画分液を寒天で固めた飼料を用いて植物に対する摂食反応を調べた。その結果,クワに対する摂食反応が最も強く,ついでシャ,ノニレ,アキノノゲシの順に弱くなり,トウゴマ,シンジュ,サクラ,クヌギおよびフウには,摂食反応はまったく示されなかった。
    2) LS, LIおよびR受容細胞の応答を指標として,これらの植物葉水溶性画分に対するカイコ幼虫の味覚応答パターンを調べた。得られたパターンは,LS・LIタイプ,LS・LI・Rタイプ,LS・RタイプおよびRタイプの4種類に分類された。そして,これらの結果を摂食反応と対比させて解析し,引き起こされる摂食反応の強さは,LS, LIおよびRそれぞれのインパルス頻度の相互関係で左右されることが明らかになった。すなわち,基礎的摂食促進性情報としてのLSおよび付加効果的摂食促進性情報としてのLI,それぞれのインパルス頻度をプラス要因とし,摂食抑制性情報としてのRインパルス頻度をマイナス要因として,それらの総合された結果に応じた摂食反応が引き起こされることが確かめられた。
    3) “苦味物質”はR受容細胞を刺激し,摂食抑制性のインパルスを発生させるだけではなく,同時に,LS受容細胞の感受性を抑制し,基礎的摂食促進物質としてのsucroseの含量を実際より少なく感じさせるという,二重の抑制作用をもたらすことが明らかになった。
    4) 今回の実験結果とこれまでの知見をもとに,カイコ幼虫の摂食機構に関して,情報入力(受容認識)から運動出力(具体的行動)への三つの系を提示した。そしてそれらのうちで,味覚受容認識から摂食行動継続への系が,カイコの植物(飼料)選択にとって,もっとも狭いゲートになっていることを明らかにした。
    以上の結果から,カイコの寄主植物選択における味覚認識の役割についての考察を試みた。
  • 大泰 司誠, 内嶋 善兵衛, 山本 昭
    1991 年 35 巻 3 号 p. 207-211
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    静岡県金谷の茶園で,チャノコカクモンハマキに対して,合成性フェロモン成分,Z-11-tetradecenyl acetateを使って交信攪乱を行い,Z-11-tetradecenyl acetateの大気中の濃度とつなぎ雌の交尾率の関係を求めた。その結果,Z-11-tetradecenyl acetateの濃度が高まると交尾率は低下し,両者の関係は両対数で直線的な関係を示した。一晩当りの交尾率を約30%(従来の小面積防除試験で防除効果が得られた場合の平均的な値)に低下させるためには,20ng/m3程度の濃度が必要と考えられた。また,30ng/m3以上の濃度であれば,一晩当りの交尾率を20%以下に抑制することが可能であることが示唆された。さらに,Z-11-tetradecenyl acetateの濃度は,風速によって影響され,平均風速1.9m/秒の8月6∼7日の濃度は,平均風速2.2m/秒の7∼8日よりもすべての地点で高い値を示した。
  • V. 産卵に及ぼす新芽と成熟葉の影響
    井上 大成
    1991 年 35 巻 3 号 p. 213-220
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ヘリグロテントウノミハムシ成虫の産卵活動に,餌としての新芽と成熟葉が及ぼす影響について実験的に調査した。
    1) 成虫は寄主植物の新芽にしか産卵しない。成虫が産卵するためには,新芽からの刺激を受容することが必要であると考えられた。
    2) 土中から掘り出した羽化直後の成虫に新芽を与えると,比較的短期間のうちに産卵する個体が現れた。このような個体では,羽化直後の短期間に新芽に出会う機会に恵まれれば,年内に繁殖活動を行う可能性が高い。
    3) 成虫は,成熟葉より新芽を選好した。
    4) 産卵を開始した成虫に成熟葉を与えると産卵が中断された。しかし,この状態の成虫に新芽を与えると,短期間のうちに産卵が再開された。産卵している成虫の卵巣内には多数の成熟卵がみられたが,産卵を中断した状態の成虫の卵巣内には成熟卵はみられなかった。これらのことから,成虫は不適な条件では産卵を一時的に中断することができると考えられ,産卵部位や幼虫の摂食部位が限られている本種にとってきわめて巧妙な機構であるとみることができた。
  • II. 幼虫の発育経過
    丸山 威, 真梶 徳純
    1991 年 35 巻 3 号 p. 221-230
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ツゲノメイガGlyphodes perspectalis (WALKER)の生活史を解明するため,非休眠世代と休眠世代の幼虫の発育経過を調査した。
    1) 25°Cで個体飼育された非休眠幼虫は6齢期を経過した。また,各齢期の発育期間は1∼5齢は3日前後,6齢は約8日であったが,雄の6齢幼虫期間は雌より約1日短かった。
    2) 3種のツゲを用いて20°Cで個体飼育した非休眠幼虫は,餌によって経過齢数が5∼7齢期に変化した。平均経過齢数はクサツゲが5.6齢,セイヨウツゲが5.9齢,チョウセンツゲが6.0齢となった。また,雄に比べて雌の経過齢数が多い傾向にあった。
    3) 室内条件下で休眠誘導した幼虫は,20°Cではほとんどのものが4齢期であり,これは餌によって変化しなかったが,日長時間が長くなるにしたがって,5齢幼虫の割合が増加した。一方,15°Cと25°Cでは5齢幼虫で休眠に入るものが半数以上を占めた。また,これらの休眠幼虫の頭部の大きさは同齢期の非休眠幼虫より明らかに小さかった。
    4) 休眠に至るまでの幼虫発育日数を調査したところ,若齢幼虫の発育期間は非休眠幼虫との間に差はみられなかったが,休眠直前の齢期すなわち休眠繭を形成するステージで発育遅延がみられ,非休眠幼虫のおよそ2倍であった。
    5) 野外で越冬した幼虫を用いて,その後の発育経過を観察したところ,越冬世代幼虫は,非休眠世代より1齢期多い7齢期を経過することが明らかとなった。
  • 大井 正典, 本山 直樹
    1991 年 35 巻 3 号 p. 231-239
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    有機リン剤抵抗性のイエバエに対して相乗作用をもたらす薬剤の組合せを殺虫試験のレベルで探索した。その結果,ダイアジノンとカルボフランの組合せはきわめて高い相乗作用を示し,相乗作用の最も大きくなる混合比はLD50の比に等しかった。一方,ダイアゾクソンとカルボフランの組合せでは相乗作用が認められなかった。またカルボフランはダイアゾクソンの解毒には影響しなかったので,ダイアゾクソンの解毒はダイアジノンとカルボフランの相乗作用のメカニズムには関与していないことを示唆した。これとは逆にダイアジノンとカルボフランの混合液を注射投与したところ,ダイアジノンはLD50(注射投与)以下の薬量でカルボフランの解毒を阻害し,カルボフラン消失の1次速度定数は3.4倍低下した。さらにin vivoにおいてダイアジノンとカルボフランの混合液の処理によって阻害されたAChEの脱アシル化速度と,in vitroにおいてダイアゾクソンまたはカルボフランによって阻害されたAChEの脱アシル化速度を比較した結果,in vivoにおけるAChEの阻害のほとんどはカルボフランによって起こっていることが示された。したがって,この相乗作用の機構は,ダイアジノンがそれ自体では毒性を発揮しないような薬量でカルボフランの解毒を阻害した結果,カルボフランの体内濃度が増加しAChEの阻害力を高めたことによることが明らかとなった。
  • 茅 洪新, 国見 裕久
    1991 年 35 巻 3 号 p. 241-245
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1989∼1990年の2年間にわたり,東京都瑞穂町の農家の茶園および東京都府中市の東京農工大学農学部付属農場茶園からチャハマキ蛹を採集し,寄生性昆虫と病原微生物による死亡率を調査した。
    1) チャハマキ蛹の寄生性昆虫としてヒメバチ科の7種,アシブトコバチ科の2種およびヤドリバエ科の2種の昆虫が記録された。また,死亡した蛹からは,昆虫疫病菌(Erynia radicans (BREFELD)),細胞質多角体病ウイルスおよび昆虫ポックスウイルスが分離された。
    2) 府中茶園における寄生性昆虫によるチャハマキ蛹の寄生率は,20.0∼78.1%の範囲で変動し,第1・第2世代で増大した。瑞穂茶園での寄生率は3.7∼55.1%の範囲で,ほとんどの世代において府中茶園でのそれと比べて低かった。
    3) 寄主個体群の世代によって捕食寄生者の種構成が異なり,越冬世代においてはマツケムシヒラタヒメバチとヒメキアシヒラタヒメバチが,その他の世代においてはキアシブトコバチとチビアシブトコバチが優占した。
    4) E. radicansによる蛹の死亡率は,0∼15.8%の範囲で,調査地域および世代により著しく変動した。また,瑞穂茶園で採集した蛹の一部は,ウイルス病により致死したが,その死亡率は調査期間を通して4%以下と低かった。
  • 金子 順一, 吉田 忠, 大和田 啄也, 喜多 孝一, 丹野 皓三
    1991 年 35 巻 3 号 p. 247-251
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 瀬戸口 脩, 中村 洋一, 久保 義昭
    1991 年 35 巻 3 号 p. 251-253
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 田中 寛, 木村 裕
    1991 年 35 巻 3 号 p. 253-255
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The susceptibility of diamondback moths Plutella xylostella collected from three sites in Osaka prefecture to BT formulation (Toarro CT®) was determined by the leaf-dipping method using 3rd instar larvae. Larvae from a greenhouse growing watercress in the Kohno area have shown a high level of resistance (LC50>280ppm) to the insecticide from October 1988. The development of high BT resistance in the Kohno population has probably occurred because watercress is grown throughout the year with frequent spraying of the BT formulation (15-20 times a year) and also because there is very little immigration of the moth into the greenhouse.
  • 橋本 庸三
    1991 年 35 巻 3 号 p. 255-258
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 清水 恵子, 戒能 洋一, 田付 貞洋
    1991 年 35 巻 3 号 p. 258-260
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The diurnal searching activity of adult Ascogaster reticulatus WATANABE (Hymenoptera: Braconidae) was observed in a tea field by walking along the rows of tea plants and capturing all adult parasitoids found on the plants. The peak number of insects was collected at 07:00 or 08:00 and the number decreased in the late morning to afternoon. The sex ratio of these adults was male-biased (86% male). Adults spent most of the time in searching by walking on leaves rather than by flying from leaf to leaf. The average flight distance between leaves was about 15cm. The tendency to spend a lot of time in searching on a leaf is well correlated with the oviposition and mating behavior of this species.
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