日本応用動物昆虫学会誌
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36 巻, 2 号
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  • 安田 慶次, 杉江 元, R.R. HEATH
    1992 年 36 巻 2 号 p. 81-87
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 日本に分布するアリモドキゾウムシCylas formicarius (FABRICIUS)に対する合成性フェロモン(Z)-3-dodecenyl (E)-2-butenoateの雄成虫に対して誘引性をもつことを確認した。
    2) 幾何異性体(E)-3-dodecenyl (E)-2-butenoateの混入率が10%以下であれば誘引力に影響しないと考えられた。
    3) 純度96%の合成性フェロモンのゴムセプタムへの含浸量は1mgが適当と判断された。その有効期間は1か月程度と考えられた。
    4) フェロモントラップは,地上に置いた場合最も捕獲効率が高く,アリモドキゾウムシ雄成虫は歩行してトラップに到達することが観察されることから,地上に設置するのがよいと考えられた。
    5) フェロモントラップは風下側の雄成虫をより多く誘引し,風上側とは顕著な差が認められた。
    6) 捕獲虫数は日中は少なく,15時ごろより増加し,19時ごろをピークとしてその後しだいに減少し,夜明けとともに激減した。
    7) トラップの型式は,ロート型,水盤型,粘着型が適していた。
  • 城所 隆
    1992 年 36 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 1990年の6月から7月にかけて,宮城県内の水田でイチモンジセセリ第1世代の幼虫が広範囲に発生した。発生確認地点は県南部で多く,北へ向かうにつれて減少した。これまで,本県で第1世代幼虫の発生が確認されたことはなかった。
    2) 有効積算温度を用いた推定では,産卵は5月中旬から6月上旬ころにかけておこなわれたものとみられた。本県の気象条件や,他県における発生時期の知見を検討した結果,当地域内で越冬した個体群による産卵とみるには時期が早過ぎると考えられた。越冬世代成虫が,より温暖な地域から飛来した可能性を指摘した。
  • 積木 久明, 武 智広, 兼久 勝夫, 斎藤 哲夫, 朱 耀沂
    1992 年 36 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    西螺,斗南,屏東で採集された台湾産ニカメイガ幼虫の光周反応を調査し,下記の結果を得た。
    1) 本実験に用いたいずれの個体群とも25°Cで10L-14Dあるいは8L-16Dのような短日条件で飼育することにより,5齢以後の幼虫期間が延長した。個体群によって延長期間に差異が認められた。
    2) しかし,8L-16Dのような短日条件で飼育しても,幼虫期間の延長しない個体から非常に延長する個体まで混在していた。
    3) 短日条件での幼虫期間の延長は老熟幼虫期間の延長に起因していたことから,この延長は休眠によるものと思われる。しかし,この休眠は低温を経なくても破れた。
    4) 西螺と屏東個体群の休眠誘起の臨界日長は9∼10時間であり,斗南個体群は11時間前後であった。
    5) 屏東個体群を20°Cで14L-10Dと10L-14D条件で飼育したところ,両日長で蛹化曲線はほとんど変わらなかった。しかし,10L-14D飼育条件で,蛹化がわずかに遅延する個体がみられた。
    6) 台湾で,従来非休眠地帯と推定されていた地域に棲息するニカメイガでも,冬期,一部休眠状態で越冬している可能性について考察した。
  • 第1報 ナスとキュウリに寄生する個体群のアリエステラーゼ活性と有機リン剤感受性
    細田 昭男, 浜 弘司, 鈴木 健, 安藤 幸夫
    1992 年 36 巻 2 号 p. 101-111
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1987∼1990年に広島県立農業試験場(東広島市八本松町)内の同一圃場に雨よけビニールハウスと露地区を設けナスとキュウリを栽培し,ワタアブラムシの春季の発生状況,各植物の寄生個体のアリエステラーゼ活性,タンパク量,フェニトロチオン感受性およびフェニトロチオンの防除効果を検討した。
    1) ビニールハウスに設置したポット植えのナスとキュウリ上の春季の初期発生は植物間で異なり,ナスでは急激に増殖したが,キュウリでは一部に寄生が見られたにすぎなかった。また,雨よけビニールハウスおよび露地区のナスとキュウリ上での初期発生も,ナスでは急激な増殖が見られたが,キュウリ上での発生は遅かった。
    2) 雨よけビニールハウス区のナスに発生したワタアブラムシでは,アリエステラーゼ活性の低い個体が優占し,キュウリでは高活性個体が優占した。しかし,ナス寄生個体群の中にも高活性個体が混在し,その頻度は秋期に高まった。また,露地区のナスでは早期から高活性個体の頻度が高かった。
    3) ワタアブラムシにはナスに寄生する酵素活性の低いタイプと高いタイプ,キュウリに寄生する酵素活性の高いタイプと低いタイプの4タイプが確認されたが,キュウリに寄生する酵素活性の低いタイプが優占することはなかった。
    4) アリエステラーゼ活性の個体変異に及ぼす薬剤散布の影響は,薬剤散布によって高活性個体の頻度が高まる場合と,その影響が明瞭でない場合とがあった。
    5) ワタアブラムシに対するフェニトロチオンのLC50値は,アリエステラーゼ活性と平行し,キュウリ寄生個体群のLC50値はナス寄生個体群に比べ2∼12倍高かった。フェニトロチオン乳剤の圃場における防除効果も,ナス寄生個体群に対して高く,キュウリ寄生個体群に対して低かった。
  • 朴 春樹, 守屋 成一
    1992 年 36 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    チュウゴクオナガコバチ(Ts),クリマモリオナガコバチの早く羽化する系統(TbE),および遅く羽化する系統(TbL)の成虫の生存期間とクリタマバチ虫えいへの産卵数を自然温度条件と定温条件の実験室内で調査した。
    1) 自然温度条件下での成虫生存期間の長さはTbE>TbL≥Tsで,平均生存期間は雄では1か月以上,雌では1.5∼2か月以上に及んだ。
    2) 10∼25°Cの定温条件下では,TsとTbEの雌雄およびTbL雌の生存期間は低温側で長く(10°C:68∼106日),高温になるにつれて短縮されたが(25°C:9∼23日),TbL雄は15°Cの生存期間(43日)が最長で,10°C(18日)では逆に著しく短くなった。
    3) 自然温度条件下での雌当り平均総産卵数は,Tsでは71.0で,TbEの25.6,TbLの18.8に比べて明らかに多かった。産卵前期間はTbEが12.5日で最も長く,TsとTbLは4∼5日でほぼ同程度であった。
    4) Tsは,死亡直前まで連続的に産卵するのに対し,TbE, TbLの産卵は断続的であった。日当り最高産卵数は,Tsで10.5, TbEで6.0, TbLで9.0であった。
    5) 10∼25°Cの定温条件下では,TsはTbEのほぼ2倍前後産卵した。また,Tsでは,20°C付近が産卵に関する最適温と考えられた。
  • 嶋田 透, 小林 淳, 宮田 保, 永田 昌男, 小林 正彦
    1992 年 36 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アリルフォリンは完全変態昆虫の主要な体液タンパク質である。ヤママユガ科6種(1.エリサン,2.シンジュサン,3.ヤママユガ,4.サクサン,5.クスサン,6.オナガミズアオ),カイコガ科5種(7.カイコ,8.クワコ,9.スカシサン,10.カギバモドキ,11.オオクワコモドキ)について,それらのアリルフォリンが,エリサンとカイコのアリルフォリンの抗血清に対してどの程度反応するかを,OUDINの単純免疫拡散法とOUCHTERLONYの二重免疫拡散法を用いて調べた。抗エリサン血清に対する反応は1=2>3=4=5=6=9≥10=11>7=8の順であった。一方,抗カイコ血清に対する反応は7=8>1=2=3=4=5=6=9=10=11の順であった。以上の結果はエリサンとシンジュサン,カイコとクワコのアリルフォリンがそれぞれ相同性が高く,それ以外の7種のそれはカイコよりもエリサンのアリルフォリンとの相同性が高いことを示す。
  • 安永 智佐, 舟越 正子, 河原 畑勇, 荒武 義信, 岩野 秀俊
    1992 年 36 巻 2 号 p. 127-134
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    シロイチモジヨトウSpodoptera exigua (HÜBNERからNosema属微胞子虫胞子が検出された。本分離株N. sp. Y9101は,宿主であるシロイチモジヨトウに強い病原性を示し,カイコに対する病原性も確認された。N. sp. Y9101はその胞子形態,人工発芽法(苛性カリ,塩化カリ,およびEDTA処理)による胞子発芽率,Antheraea eucalypti培養細胞での感染増殖様式,および胞子表面抗原(モノクローナルおよびポリクローナル抗体感作ラテックスによる凝集試験)によりN. bombycisと同定された。
  • 一田 昌利
    1992 年 36 巻 2 号 p. 135-137
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 金子 順一, 菅原 信治, 遠藤 知二
    1992 年 36 巻 2 号 p. 137-139
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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