日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
39 巻, 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 土屋 雅利, 古橋 嘉一, 増井 伸一
    1995 年 39 巻 4 号 p. 289-297
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    光反射シートマルチ下でのチャノキイロアザミウマ成虫の行動を調査した。光反射シートマルチ区内中央部の地上面及び地上1.5mのトラップによる成虫捕獲数は無処理区に比べて少なく,無処理区では地上面の捕獲数が地上1.5mより明らかに少なかったが,光反射シートマルチ区では両者に大差はなかった。茶園に隣接して2m幅の光反射シートを敷くと,シートの両端の地上1.5mに設置したトラップによる成虫捕獲数は,茶園から遠い側が近い側に比べて極度に減少した。ウンシュウミカン幼木の内部に成虫を放飼すると,光反射シートマルチでは黒ポリシートマルチに比べてシート上に落下する成虫数が多かった。地上0.5∼24cmの高さから成虫を放飼すると,光反射シートマルチでは黒ポリシートマルチに比べてシート面上への成虫の落下数が増加し,落下数は放飼する高さが低いほど多かったが,地上50cmでは両シート間の落下数に大差はなかった。光反射シート面上に放飼した成虫は飛び立てず主に歩行移動した。光反射シート面上の遮光した部位に放飼した雌成虫は遮光した部位から歩行して脱出したが,遮光しない部位に放飼した雌成虫は遮光した部位には移動しなかった。
  • 土屋 雅利, 増井 伸一, 久保山 信弘
    1995 年 39 巻 4 号 p. 299-303
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    透明粘着シートを重ねた15色の色板の反射特性(400∼700nm)の測定と測色を行い,ウンシュウミカン園でチャノキイロアザミウマの成虫捕獲数を調査した結果,雌雄とも黄緑色,緑色,黄色の誘引数が多く,このうち黄緑色の捕獲数が最も多い傾向があった。選好色の分光曲線には,反射率が400nmから450nmまでは低く,480nmから540nmまでは増加し,540∼580nm付近の反射率が高い特性が含まれると考えられた。ウンシュウミカンの葉や幼果の分光曲線にはこれらの特性が含まれていた。未硬化葉の分光曲線は,幼果や硬化葉より480nmから540nmまでの反射率の増加が大きく,540∼580nm付近で高い反射率を維持していることから,これらより本種の選好性が高いと考えられた。
  • 土屋 雅利, 増井 伸一, 久保山 信弘
    1995 年 39 巻 4 号 p. 305-312
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ウンシュウミカン樹に白色剤(平均粒径0.7μmの炭酸カルシウム4%水溶液)を散布して,チャノキイロアザミウマ成虫のトラップによる捕獲数と寄生果率及び寄生虫数の変化を,光反射シートマルチの処理区域と無処理区域で調査した。マルチ無処理区域で樹全体に白色剤を散布処理した区では,樹内トラップによる成虫捕獲数が減少し,果実への白色剤付着の有無にかかわらず寄生果率及び果実寄生虫数が減少し,果実被害は許容水準未満になった。白色剤が散布された葉では400∼700nmの分光反射率が全体に高まるとともに,600∼700nmより400∼500nmの反射率増加が大きいため青みを帯びた色になった。この色の変化は散布48日後まで認められた。葉色に近い色のシートに白色剤を浸漬処理すると白色剤が散布された葉と同じ傾向の色の変化が認められ,これに重ねた透明粘着シートによる成虫捕獲数は有意に減少した。樹に白色剤だけ処理した場合には光反射シートマルチだけ処理した場合と同等の実用的な防除効果が認められた。白色剤と光反射シートマルチの併用では,光反射シートマルチだけ処理した場合や白色剤だけ処理した場合に比べて被害果率及び被害度はともに低かった。
  • 土屋 雅利, 増井 伸一, 久保山 信弘
    1995 年 39 巻 4 号 p. 313-319
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    透明粘着シートを重ねた22色の色板の反射特性(400∼700nm)の測定と測色を行い,ウンシュウミカン園でミカンキイロアザミウマの成虫捕獲数を調査した結果,桃色,赤紫色,紫色,青紫色の誘引数が多かった。また,雌雄の誘引数が多い色は共通していた。選好色の分光曲線には,反射率が,(1) 400nmから440nmまでは増加して450nm付近で最も高くなり470nmから530nmまでは減少して550nm付近で低くなる特性と,(2) 560nmから600nmまでは増加して610nm付近で高くなる特性が含まれると考えられた。(2)の特性は単独では作用せず(1)の特性に対してプラスに作用すると考えられた。ウンシュウミカンの果皮の分光曲線には,着色前,着色後ともに選好色の特性は認められなかった。
  • 成虫の行動特性
    霜田 政美, 木口 憲爾
    1995 年 39 巻 4 号 p. 321-328
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    エビガラスズメの成虫を木製飼育箱を用いて16L-8Dの日長条件下で飼育し,赤外線ビデオカメラ装置を用いて行動を観察した。登壁,飛翔,吸蜜,求愛,交尾および産卵の6行動を判別して,それぞれの活動量を計測した。成虫は完全な夜行性で,寿命は4∼12日であった。登壁行動は消灯1時間以内に観察され,pre-flight warm-upの一部と考えられた。飛翔行動は羽化後の第2暗期から活発となり,集団で飼育すると消灯後3∼5時間後に明瞭なピークを示した。未交尾雌は定位して求愛行動を行うために飛翔行動は雄の約4分の1にとどまった。既交尾雌は産卵のために甘藷付近を活発に飛翔し,未交尾雌の約8倍の飛翔行動を示した。吸蜜行動は消灯直後から活発化し,70%は暗期前半に観察された。蔗糖液(20%)を与えた場合と同様に,水給餌や無給餌でも良好な交尾・産卵行動が観察された。多くの雌は消灯3時間後頃より求愛行動を開始し,消灯直前まで継続した。交尾行動は主に暗期後半に観察され,交尾時間は40∼100分であった。産卵行動は消灯直後から活発で,その後徐々に減少した。産卵数は400∼700粒/雌で,約80%を交尾翌日の暗期に産卵した。これらの結果から,成虫の行動様式が日齢によって変遷すること,各行動は特有の日周変動をすることが判明した。
  • 秋野 順治, 鶴島 鉄, 山岡 亮平
    1995 年 39 巻 4 号 p. 329-333
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    クロクサアリLasius fuliginosus LATERILLEの大顎腺には,セスキテルペン骨格をもつ抗菌活性成分:3-ホルミル-7, 11-ジメチル-(2E, 6Z, 10)-ドデカトリエン-1-アールが含まれている。今回の発芽抑制試験によって,この化合物がウリ類炭疽病菌Colletotrichum lagenariumをはじめイネいもち病菌Pyricularia oryzae CAVARA,フザリウム病菌Fusarium oxysporum SCHLECHTENDAHLなどの植物病原菌,黒きょう病菌Metarhizium anisopliae F126,白きょう病菌Beauveria bassiana F18などの昆虫病原菌,大腸菌や枯草菌などの種々の土壌細菌に対して抗菌活性を示すことが明らかになった。また,ファルネソールおよびファルネサール,デンドラシンに関しても抗菌活性を同様に測定したところ,デンドラシンには全く活性が認められず,ファルネサール,ファルネソールは,3-ホルミル-7, 11-ジメチル-(2E, 6Z, 10)-ドデカトリエン-1-アールのおよそ1/100程度の抗菌活性を示した。このことから,二重結合と共役した2つのアルデヒド基の存在が抗菌活性に大きく関係している可能性が推察される。
  • 高橋 章夫
    1995 年 39 巻 4 号 p. 335-338
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 伏見 進, 井関 聡, 中村 和雄
    1995 年 39 巻 4 号 p. 338-340
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 曽根 晃一, 森 健, 井手 正道, 瀬戸口 正和, 山之内 清竜
    1995 年 39 巻 4 号 p. 341-344
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    We surveyed galleries of the oak borer, Platypus quercivorus (Coleoptera: Platypodidae), using computer tomography. We could trace the complex galleries consisting of forked mother and larval galleries, irregular ladder galleries, and ladder galleries.
  • 桑原 雅彦, 井村 治
    1995 年 39 巻 4 号 p. 345-346
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Field colonies of the almond moth, Ephestia cautella, were tested for susceptibility to organophosphates and synthetic pyrethroids. There were no clear indications of resistance in the moth to these insecticides. The insecticidal activity of pyrethroids with cyclic propane in the structure was distinctively stronger than those with no cyclic propane structure.
feedback
Top