日本応用動物昆虫学会誌
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40 巻, 2 号
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  • 安田 慶次
    1996 年 40 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    サツマイモを誘引源とするイモゾウムシ成虫捕獲用トラップを試作した。
    1) トラップは,成虫がサツマイモへ誘引された後イモの下側や直下の土壌の隙間に入る習性を利用して埋設型とした。
    2) トラップの誘引源のサツマイモに未交尾の雄または雌成虫を加えても,成虫の捕獲数は増加しなかった。
    3) 圃場におけるサツマイモ塊根および茎葉の生育,繁茂にともないトラップの誘引力は低下した。また,サツマイモ畑ではトラップに一度入った虫が脱出しやすいことが示された。
    4) 野外でマーク虫の再捕率を求めたところ,トラップから放飼点までの距離1mでは再捕率が80%であったのに,10mでは13%と低下し,25mでは14日間の調査期間中に再捕されなかった。
  • 1. 実用化をサポートするモデル
    齋藤 裕, 浦野 知, 中尾 弘志, 網本 邦広, 森 樊須
    1996 年 40 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    施設栽培作物を対象としたチリカブリダニによるナミハダニの生物的防除法のコンピューターによる高速で簡便なシミュレーションモデルを開発した。モデルは状態変数としてそれぞれ17のステージに分けたナミハダニとチリカブリダニの個体数を,従来の多数の論文から得た率変数によって1/2日間隔で差分方程式によって計算するものである。温度と発育,産卵あるいはチリカブリダニの機能の反応等の主要な関係は,従来の論文に沿ってモデルに組み込むことができたが,捕食率の決まり方,チリカブリダニのステージ間の共食い頻度,餌密度に反応した分散率等にまだ不確定な部分が残された。これら不確定な部分については,できるだけ現実に近い仮定によって構成し,また今後の実験によって決定された場合に,それらを係数によって変更できるような形で,モデル内に組み込んだ。
  • 2. モデルの適合性と必須データ
    齋藤 裕, 浦野 知, 中尾 弘志, 網本 邦広, 森 樊須
    1996 年 40 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    前報(齋藤ら,1996)で開発された差分型のチリカブリダニ-ナミハダニの生物的防除予測シミュレーションモデルの適合性を高度施設園芸設備で栽培されたイチゴとビニールハウス栽培キュウリの2環境における防除実験に基づいて検討した。その結果,イチゴではカブリダニの捕食率を実験値よりも13%落とし,チリカブリダニ雌:ナミハダニ雌の比が約1:7でチリの分散が起きるとおくと良い一致が得られ,またキュウリでは捕食率を30%低下させ,導入時の定着率を0.8とした時に良い一致がみられた。これらの率変数の変更は,それぞれの植物のサイズや形態および実験方法からみて妥当なものと考えられ,それゆえに本モデルは今後の防除実用化に有用である。また,シミュレーションの過程でチリカブリダニ利用にとって必須であると考えられたいくつかの調査項目について検討した。
  • 望月 雅俊
    1996 年 40 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ハダニ類の重要な捕食性天敵であるケナガカブリダニについて,茶園から得られた合ピレ剤-有機リン剤-カーバメイト剤抵抗性系統(SEL10)を含め,日本各地から採集した系統の発育,産卵能力,休眠性を比較した。また優良系統育種の可能性を,系統間の生殖的親和性の面から検討した。25°Cでの雌の発育期間は5.0∼5.5日で,系統間差異は小さかった。日齢のそろった雌成虫10個体の3日間当たり産卵数を指標にした産卵能力の比較によれば,SEL10系統の産卵能力は他系統に比べ劣っていなかった。また産卵数には明らかな系統間変異が認められた。短日条件下(9L-15D)では,温度が低下するほど,また採集地点が高緯度になるほど休眠率が上昇した。系統間交雑で得られた卵の孵化率,幼若虫期間の生存率には系統内の場合との差は検出されず,系統間の生殖的親和性は高かった。以上の結果は,SEL10系統に代表される薬剤抵抗性系統を素材として,交雑と選抜により抵抗性系統の適応性が改善された優良系統を育種できることを示唆した。
  • 西東 力, 池田 二三高, 小澤 朗人
    1996 年 40 巻 2 号 p. 127-133
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    マメハモグリバエの生物的防除法を開発する一環として静岡県における寄生バチの発生実態を調査し,あわせて各種殺虫剤の散布が寄生バチに与える影響を圃場試験で検討した。
    1) マメハモグリバエの寄生バチは各地の露地および施設栽培圃場から採集されたが,殺虫剤の散布後まもない圃場からはほとんど採集されなかった。
    2) マメハモグリバエの寄生バチとして,コマユバチ科で3種,コバチ上科で13種(ヒメコバチ科9種;コガネコバチ科2種;ツヤヤドリタマバチ科1種;ツヤコバチ科1種)の合計16種が確認された。
    3) ヒメコバチ科に属するHemiptarsenus varicornis, Chrysocharis pentheus, Neochrysocharis okazakiiおよびN. formosaの4種は各地から広く採集され,これら寄生バチが優占種となっている圃場も多かった。施設栽培ではH. varicornisが年間を通して採集され,最も重要な寄生バチとなっていた。
    4) 非選択的殺虫剤(permethrin, ethofenprox, methomyl, prothiofos)を散布すると寄生バチの寄生率は著しく低下し,その後マメハモグリバエが多発した。一方,選択的殺虫剤(fenpyroximate, dicofol, fenbutatin oxide, pyridaben, buprofezin, flufenoxurone)を散布した場合は寄生バチの寄生率が低下せず,その後マメハモグリバエは減少傾向を示した。
  • 湯川 淳一
    1996 年 40 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1984年に宮崎県のヒラタケ栽培舎で初めて発見された幼生生殖タマバエは,同属の6既知種との比較研究の結果,ヨーロッパや台湾でマッシュルームの害虫として知られているMycophila speyeriと同定された。このタマバエが在来種か外来種であるかを明らかにするために,全国各地でスィーピングにより採集された多数のMicromyini族タマバエの成虫標本を検鏡するとともに,各地の栽培舎やホタ場などで本種の発生状況を調査した。その結果,野外のタマバエが自由に侵入できる開放環境下で袋栽培や箱栽培を行っている栽培舎や森林内のホタ場ではMycophila属タマバエの発生が見られず,スィーピング標本中にも該当する成虫が存在しなかった。一方,ナメコやヒラタケの瓶栽培を行っている閉鎖環境の栽培舎の一部では,幼生生殖タマバエの発生が認められ,しかも,これらの栽培舎では共通の業者から種菌を購入していたことが明らかとなった。瓶栽培の作業過程では,種菌接種のときに瓶中に侵入する可能性があることから,本種が種菌を通じて栽培舎に広がった可能性が示唆された。これらの結果から,本種は従来からわが国に分布していたものではなく,生キノコや種菌の輸入に伴う侵入害虫であると考えられた。
  • 堤 隆文, 山中 正博
    1996 年 40 巻 2 号 p. 145-151
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 昆虫病原性糸状菌Beauveria brongniartii GSES株を培養した不織布シートのキボシカミキリ成虫に対する殺虫効果を実験室内と野外のイチジク圃場で検討した。
    2. 生存分生子数7.1×107/cm2の分生子浮遊液を虫体の一部に塗布し感染経路を調査した。触角,腹部および〓節へ塗布した成虫は高率に死亡したが,口器へ塗布した成虫は死亡率が低かった。
    3. 生存分生子数が2.5×106個/cm2以上の不織布シート上を5秒間歩行した成虫は高率に死亡した。しかし,2.5×106個/cm2のシートの場合,死亡までの期間が1.6×107個/cm2以上のシートに比べて遅延した。
    4. 野外のイチジク圃場に施用した不織布シート上の生存分生子数は,施用後31日目には施用前の約1/10 (106個/cm2)に減少した
    5. 不織布シート施用後10日目に野外のイチジク圃場から採集したキボシカミキリ成虫は84%が死亡し,77%の成虫に菌糸の叢生がみられた。しかし,施用後31日目には採集虫の死亡率および菌糸を叢生した虫率が低下し,不織布の殺虫活性維持期間は1か月程度であるものと考えられた。
  • 水谷 信夫, 和田 節
    1996 年 40 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Ooencyrtus nezarae females emerging in the laboratory from three major host species were classified into two groups according to their fore-wing length. One group emerged from the eggs of Piezodorus hybneri and Riptortus clavatus, and the other from the eggs of Megacopta punctatissimum. From the discriminant function based on the results from laboratory-reared females, an attempt was made to infer the host species from which females collected in soybean fields had emerged. The validity was evaluated by comparing annual and seasonal changes in the estimated composition with the actual composition of wasps emerging in the fields.
  • 金城 美恵子
    1996 年 40 巻 2 号 p. 157-159
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    A bioassay method was established to identify the sex pheromone of the sugarcane shoot borer, Tetramoera schistaceana SNELLEN (Lepidoptera: Olethreutinae), an important sugarcane pest in Okinawa. The bioassay method was based on observation of the mating behavior of male moths in a small glass flight tunnel. Before the experiment, male moths were kept after emergence at 25°C under continuous light. Four hours before the bioassay, the light was switched off and the temperature was decreased to 20°C. Male moths could be used four times for this bioassay. These moths were kept at 25°C under continuous light for 2 days before the next bioassay.
  • 安田 慶次
    1996 年 40 巻 2 号 p. 160-161
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Many more adults of the West-Indian sweet potato weevil, Euscepes postfasciatus (FAIRMAIRE), were attracted by tubers and stems than by leaves of the sweet potato in a wind tunnel. Tubers damaged by larvae were much less attractive than undamaged tubers.
  • 南島 誠, 杉江 元, 望月 文昭, 野口 浩
    1996 年 40 巻 2 号 p. 162-164
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The disruption effect of Z11-14: Ac on Pandemis heparana was evaluated in the laboratory. The mating percentage without the chemical was 85%. When 100ng of Z11-14: Ac was used as a disruptant, the mating percentage fell to 24%. Moreover, when 1, 000ng and 10, 000ng were used, the mating percentage was less than 5%. This result indicates that Z11-14: Ac causes mating disruption in P. heparana. This laboratory bioassay method was effective to estimate mating disruption effect.
  • 野田 隆志, 宮井 俊一, 山田 慎, 小西 和彦
    1996 年 40 巻 2 号 p. 164-167
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Seven primary parasitoids, three facultative secondary parasitoids, and seven secondary parasitoids were recorded from larvae and pupae of the diamondback moth Plutella xylostella in cabbage fields in Morioka, North Japan. Among the parasitoids, Cotesia plutellae, Diadegma niponica, Diadromus subtilicornis, and Oomyzus sokolowskii were dominant. O. sokolowskii was the parasitoid of C. plutellae, i.e. the secondary parasitoid of P. xylostella.
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