日本応用動物昆虫学会誌
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41 巻 , 3 号
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  • 山本 晴彦, 本田 善之, 早川 誠而, 大方 保祐
    1997 年 41 巻 3 号 p. 115-119
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    西南暖地におけるイネの主要害虫であるコブノメイガを対象に,幼虫により食害を受けた葉身部分の純光合成速度および暗呼吸速度を測定し,健全部分との比較を行った。先端部の純光合成速度は21.98±2.13μmol・m-2・s-1,基部では21.81±2.15μmol・m-2・s-1で,両者の間には有意な差異は認められなかった.葉の中央に「つと」を巻いた部分における純光合成速度は10.04∼14.23μmol・m-2・s-1で,健全な先端部と基部の純光合成速度の平均値に対して約42∼66%と低い値を示した。葉肉部分に食害を受けた葉の純光合成速度は-1.12±0.31μmol・m-2・s-1できわめて低かった。暗呼吸速度は,健全な部分で0.45±0.23μmol・m-2・s-1であるのに対して,食害を受けた部分では2.05±0.55μmol・m-2・s-1と高い値を示した。食害葉面積率と純光合成速度の間には正の相関関係が認められた。食害葉面積率と暗呼吸速度の関係は,食害葉面積率が増加するにつれて暗呼吸速度がほぼ直線的に増加した。
  • 藤山 静雄
    1997 年 41 巻 3 号 p. 121-131
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    温度の異なった環境下でのドウガネブイブイの生活環の調節を調べるために,比叡山の標高の異なる4地点(標高120m, 300m, 580m, 820m)で飼育実験を行い成長過程を調べ,これとFUJIYAMA and TAKAHASHI (1973a)による本種の各発育段階の有効積算温度に関する資料および地表下10cmの推定地温から求められた生活環とを比較検討した。
    実験個体の発育経過は有効積算温度法則に基づいて理論的に推定された生活環とかなりよく一致した。化性については実験地の標高に関係なく越冬時までに3齢摂食期以降の成長段階に到達しているか否かにより,年1化の生活環と2年1化の生活環に分化した。実験個体群はその性質のままで標高580m付近までは進出でき,この範囲内では野外で生活環を予測することは可能であると思われた。しかし,820mの高標高地では,成虫の羽化季節が適期より後方にずれ,分布は不可能と思われた。
    しかし,この最高の実験地の標高とそれに相当する緯度よりさらに寒冷地に実際には本種は生息しているので,これらは実験個体群とは異なった休眠反応または有効積算温度の定数,耐性限界のいずれか,またはその複数を持つように遺伝的に分化した個体群であると考えられた。
  • 安原 昭江, 桃井 節也
    1997 年 41 巻 3 号 p. 133-139
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    マイマイヒラタヒメバチCoccygomimus luctuosus SMITHを用いて,休眠に及ぼす日長と温度の影響を分析し,兵庫,北海道地域での生活史の展開について基礎的な資料を得るため本研究を行った。
    1. 広食性で蛹に寄生するマイマイヒラタヒメバチは,温度と日長に直接反応して発育の制御を行い,地理的条件に対する独自の適応がみられた。
    2. 兵庫個体群では,20°Cでは産卵から羽化までの発育日数は日長にかかわりなくほぼ一定であるが,温度の低下,日長の短縮にともなって発育がばらつき,遅れて終齢幼虫で発育停滞がみられた。一方,北海道個体群は,20°C, LD 12:12の条件下で90%が終齢幼虫で休眠し,それより長い日長,または,短い日長でも休眠率は低下した。
    3. 両個体群とも,4齢幼虫で短日を感受し休眠が誘導され,その条件が継続することにより休眠が維持された。
    4. 両個体群とも,休眠覚醒には必ずしも低温を必要とせず,短日から長日条件に切り替えると覚醒し,17°Cから20°Cあるいは25°Cの温度変化のみでは覚醒しなかった。
  • 石谷 栄次, 後藤 忠男, 川崎 隆志
    1997 年 41 巻 3 号 p. 141-146
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ツクリタケを加害するクロバネキノコバエの成虫を誘殺するためトラップを考案し,ツクリタケクロバネキノコバエおよびチバクロバネキノコバエについてその誘引性を調査した。
    1) トラップは,成虫を光で誘引し粘着シートで捕獲する型とし,粘着シートの採用により,成虫発生のモニタリングの機能も備えることを図った。
    2) 誘引源としては青色光と紫外線を放射するブラックライトが効果的であり,雌成虫では白色蛍光灯の4∼5倍が誘殺された。無点灯の誘殺数はきわめてわずかで青色光の1/200∼1/50にすぎなかった。トラップの設置場所の違いによる誘殺数の差は認められなかった。
    3) 誘殺成虫の性比は,青色および白色蛍光灯では常に90%以上が雌成虫で著しい偏りが認められ,雌成虫は光に強く誘引されることが示唆された。
    4) 従来利用されてきた電撃殺虫器に比べ,本器は雌成虫で1.4∼5.1(平均2.5)倍,雄成虫では1.3∼2.5(平均2.0)倍の誘殺能力が認められた。
    5) 誘殺雌成虫数に占める産卵雌の割合は34.8∼76.4%(平均57.0%)であり,栽培棟によって変動したが,産卵能力のある雌成虫も強く誘引されることが示された。
  • 横田 仁子, 安永 智佐, 河原 畑勇, 早坂 昭二, 津田 勝男
    1997 年 41 巻 3 号 p. 147-152
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    昆虫病原性微胞子虫Nosema mesnili NM-HC-A8801株胞子を苛性カリ処理後,4種の鱗翅目昆虫由来培養細胞系(Antheraea eucalypti細胞系,Spodoptera frugiperda SF21AEII細胞系,Bombyx mori BmN-4細胞系,およびTrichoplusia ni hi5細胞系)に接種し,本微胞子虫の細胞感染率および増殖の経時的変化を比較検討した。昆虫培養細胞系によってN. mesnili NM-HC-A8801株の感染の伝播および増殖に差異が認められた。また,胞子接種96時間後の感染細胞あたりの成熟胞子産生数も宿主培養細胞によって明らかに異なっていた。接種120時間後から,N. mesnili NM-HC-A8801株に感染した各昆虫培養細胞系を1週間間隔で継代した結果,A. eucalypti細胞系,S. frugiperda SF21AEII細胞系,およびB. mori BmN-4細胞系で本微胞子虫の持続感染培養系が成立した。特に,A. eucalypti細胞系およびS. frugiperda SF21AEII細胞系では15回の継代にわたって高い細胞感染率が維持された。一方,T. ni hi5細胞系では,N. mesnili NM-HC-A8801株感染は持続せず,継代2回後以降感染細胞は検出されなくなった。
  • 片山 栄助
    1997 年 41 巻 3 号 p. 153-160
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    スミスハキリバチの営巣習性について,1973∼1996年に栃木県北部の各地で調査を行った。
    1) 本種は7月末∼9月中旬に営巣活動をする1化性種で,好適営巣地は植林後間もないスギやヒノキの林,平地の雑木林や管理不良の空き地などであった。
    2) 営巣場所はすべて地中の浅い坑道で,深さ4.9∼12cm,直径は8∼12mmであった。これらの坑道のうち,1例はジグモの古巣の地中のトンネルを利用していたが,それ以外はすべてハチが自力掘坑したものであった。
    3) 完成巣の巣口は葉片や土砂等で密封されず,開口したままであった。1巣当たりの巣室数は1∼3個で,1個の例が多かった。
    4) 本種の巣室では最内側の葉片も,ハチの口部から分泌された粘着物によって接着されていなかった。この点は本種の巣室構造の重要な特徴である。
    5) 巣室作成に使用される葉片の形態は,既知種のそれと大差なかった。しかし本種は地中掘坑性であるのに,巣室底壁に円形葉片(A-3葉片)を使用している点は,他種と異なっていた。1巣室当たり使用総葉片数は平均38枚で,ハキリバチ属の他種よりも多かった。
    6) 貯食,卵,繭の形態などの特徴は,既知のハキリバチ属の他種と大差なかった。
  • 西東 力, 小澤 朗人, 池田 二三高
    1997 年 41 巻 3 号 p. 161-163
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Egg-to-adult developmental times of Hemiptarsenus varicornis females and males at 25°C were 8.8 days and 8.6 days on Liriomyza trifolii, and 9.0 days and 8.8 days on L. bryoniae, respectively. The estimated lower threshold temperatures for development of the parasitoid females and males were 8.5 and 8.9°C on L. trifolii, and 8.4 and 8.2°C on L. bryoniae, respectively.
  • 安藤 幸夫
    1997 年 41 巻 3 号 p. 163-165
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Two distinct waveforms were confirmed to correspond to ingestion from vessel and from phloem, by electro-physiological measurement and examination of salivary sheaths. Another characteristic waveform described as trial phloem feeding was shown to be an indication of actual ingestion from phloem. There was no significant difference in distribution patterns of salivary sheath between rice cultivars. Concentrations of some amino acids, especially aspartic acid, serine, glutamic acid, and arginine, were remarkably lower in the phloem sap of resistant varieties than susceptible varieties.
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