イチゴハムシの寄主選択機構を解明する一環として,寄主のタデ科植物中に含まれるQuercetin配糖体に注目して以下の三つの試験を行った.
1. Quercetin配糖体のAvicularin, Hyperoside, Isoquercitrin, Peltatoside, Quercitrin, Rutinに対するイチゴハムシの摂食反応をろ紙法により調べた結果,イチゴハムシはPeltatosideを除いた5種類のQuercetin配糖体によって摂食を刺激された.
2. タデ科植物11種それぞれに対するイチゴハムシの摂食量を調べた.イチゴハムシはソバを最も多く摂食し,ついでギシギシ,スイバ,ミチヤナギ,エゾノギシギシ,イヌタデ,ミゾソバ,イタドリ,オオイタドリ,ヒメスイバ,イシミカワの順となった.
3. 2.の摂食試験で用いたタデ科植物11種について,Quercetin配糖体に関する成分分析を行った.ソバ,ギシギシ,スイバ,ミチヤナギ,エゾノギシギシ,イヌタデ,ミゾソバ,イタドリ,オオイタドリの9種には,Avicularin, Peltatosideを除く4種類のQuercetin配糖体Hyperoside, Isoquercitrin, Quercitrin, Rutinの含有が示唆された.しかし,イチゴハムシの摂食量が最も少なかったヒメスイバおよびイシミカワには,摂食刺激物質である5種類のQuercetin配糖体はいずれも検出されなかった.
以上から,タデ科植物中のQuercetin配糖体は,イチゴハムシのタデ科植物に対する寄主選択行動において,摂食行動を誘導・刺激する重要な物質の一つとして作用していると結論される.
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