マメハモグリバエの寄生蜂
Diglyphus isaeaおよび
Dacnusa sibiricaに対する殺虫剤,殺菌剤,殺ダニ剤の影響を室内試験(壁面接触法,散布葉接触法)により調べた.
1. 2種寄生蜂の成虫に対して,有機リン,合成ピレスロイド,カーバメート,ネライストキシン系殺虫剤の殺虫作用はきわめて強く,クロロニコチニル系殺虫剤の殺虫作用も強かった.殺ダニ剤では,剤の種類により異なり,bromopropylate, dicofolおよびfenbutatin oxideは弱く,hexythiazoxはなかった.一方,IGR, pymetrozine, BT, sodium oleateの殺虫作用はなかった.殺菌剤の殺虫作用は総じて弱かったが,
D. isaeaに対してcaptanとzinebが,
D. sibiricaに対してcaptanとtriadimefonが殺虫作用を示した.
2. 2種寄生蜂の成虫に対し,有機リンの散布剤(acephate, isoxathion)と粒剤(acephate, fosthiazate)には1か月半以上の残効が認められた.また,ethofenprox, pyridabenおよびcartapは,いずれも2週間以上の残効が認められた.一方,imidaclopridの散布剤は約2週間の残効を示したが,粒剤は残効を示さなかった.
3.
D. isaeaの老熟幼虫に対し,Methomyl, ethofenproxおよびthiocyclamには強い羽化阻害作用が認められたが,IGR剤,BT剤,殺ダニ剤,imidacloprid, pymetrozineおよびsodium oleateでは影響は認められなかった.殺菌剤の影響は認められなかった.
4. Ethofenprox, imidacloprid, pirimicarbおよびpymetrozineは,
D. isaea成虫の寄生行動を抑制する作用が認められたが,sodium oleate, IGR剤,BT剤,殺ダニ剤および殺菌剤にはこうした抑制作用は認められなかった.また,imidacloprid粒剤の寄生行動に及ぼす影響は,処理後約3週間経過すると消失した.
5. Ethofenproxとpirimicarbは,
D. sibiricaの寄生行動を抑制する作用が認められたが,pymetrozine, imidacloprid, sodium oleate, IGR剤,BT剤および殺ダニ剤にはこうした抑制作用は認められなかった.
6.
D. isaeaの雌成虫にIGR剤を処理した場合,産下された次世代幼虫の生存に及ぼす影響は認められなかった.
7. 以上のことから,IGR剤,BT剤,pymetrozine, sodium oleateおよび多くの殺菌剤は,寄生蜂
D. isaeaおよび
D. sibiricaを用いた総合防除体系に組み込むことが可能と思われた.
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