日本応用動物昆虫学会誌
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43 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 大類 幸夫, 水久保 隆之
    1999 年 43 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    北海道を除く東日本のタバコ畑におけるネグサレセンチュウの地理的分布を調査した.151か所のタバコ畑のネグサレセンチュウをPCR-RFLP法で同定した.1ほ場当たり10個体内外の線虫を供試し,rDNAの18Sと28Sの両遺伝子の一部,5.8Sおよび2つのITS領域の個体ごとのPCR産物は,HinfIとAluIで消化処理し,これら2つの種特異的なRFLPパターンで個体ごとに種を同定した.この調査で,Pratylenchus penetrans, P. crenatus, P. neglectus, P. zeaeおよびP. sp. near coffeaeの5種が検出された.P. penetransおよびP. sp. near coffeaeは広範囲に分布し,この2種のおのおのの検出率は非常に高く,それぞれ53.0%および49.7%であった.P. crenatusおよびP. neglectusは散在的に分布し,この2種のおのおのの検出率はそれぞれ2.6%および2.0%であった.P. zeaeは栃木県の1ほ場からのみ検出された.また,東日本のタバコ畑からは,P. coffeaeはまったく検出されなかった.
  • 大野 和朗, 大森 隆, 嶽本 弘之
    1999 年 43 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    土着天敵の働きを明らかにするため,福岡県内のガーベラ施設でマメハモグリバエ成虫の発生消長を黄色粘着トラップでモニターするとともに,潜孔内のマメハモグリバエ幼虫の解剖により,死亡要因を特定し,齢別死亡率ならびに齢別寄生率を求めた.ガーベラ被害葉からはヒメコバチ科の3属6種が得られ,Neochrysocharis formosaChrysocharia pentheusが優占種であり,Diglyphus albiscapusがこれに次いだ.定期的なサンプリング調査から,非選択的農薬が散布された慣行防除施設では土着天敵による寄生率は極めて低く,土着天敵の活動は農薬散布に大きく影響されることが明らかとなった.一方,農薬散布を数ヵ月間中断した施設では,マメハモグリバエ個体群の増加がみられたが,時間とともに土着天敵による寄生率も上昇した.また,寄生率の増加とともに,寄生以外の要因によるマメハモグリバエ幼虫の死亡率が増加する例も認められ,その原因として土着天敵による寄主体液摂取が考えられた.天敵の働きが顕著であった下広川の6月上旬では,2齢幼虫期ならびに3齢幼虫期に高い割合で死亡幼虫や被寄生幼虫が認められ,各齢期での生存率は20∼40%と低かった.以上の結果から,土着天敵による寄生ならびに寄主体液摂取がマメハモグリバエ個体群の死亡要因として大きいことが示唆された.
  • 水谷 信夫, 国見 裕久
    1999 年 43 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    卵寄生蜂カメムシタマゴトビコバチのホソヘリカメムシ卵とイチモンジカメムシ卵塊に対する反応とこれら寄主卵から羽化した蜂の発育と繁殖に関わる諸形質を比較し,以下の点を明らかにした.
    1) カメムシタマゴトビコバチは,ホソヘリカメムシ卵には80%以上,イチモンジカメムシ卵塊には60%以下の雌蜂が産卵し,産卵を開始するまでの時間は,ホソヘリカメムシに比ベイチモンジカメムシで有意に長かった.2種カメムシ卵を同時に与えた場合,ホソヘリカメムシに先に産卵する雌蜂が多かった.以上の点から,本寄生蜂は寄主としてイチモンジカメムシよりもホソヘリカメムシを好み,選好性の差がダイズ圃場での寄生率の差をもたらす要因の一つと考えられた.このホソヘリカメムシに対する選好性は生得的であり,本寄生蜂をイチモンジカメムシで数世代継代しても産卵率は変化しなかった.
    2) ホソヘリカメムシではイチモンジカメムシに比べ,カメムシタマゴトビコバチの子の死亡率が低く,羽化した蜂の寿命が長く,蔵卵数が多く,それぞれ有意な差が認められた.これらの結果から,本寄生蜂のホソヘリカメムシに対する選好性は,子の生存率および繁殖成功度と関連した適応的な行動であると考えられた.
  • 大野 和朗, 嶽崎 研, 山口 大輔, 嶽本 弘之
    1999 年 43 巻 2 号 p. 93-97
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The acaricide milbemectin causes high mortality of newly hatched larvae of the agromyzid leafminer, Liriomyza trifolii (Burgess) on kidney bean plants. A similar effect is observed with use of emamectin, which, like milbemectin, is derived from chemicals produced by soil bacteria. Most of the 1- and 2-day-old leafminer larvae died after application of milbemectin at 20ppm. Even at 7.5ppm, significantly fewer larvae grew to pupa compared to controls. Use of milbemectin did not have any adverse effect on development of the parasitoid Diglyphus isaea (Walker) during the larval and pupal stages nor on the survival rate of the emerged adult wasps. These results indicate that milbemectin can be integrated into IPM programs to control both L. trifolii and mites.
  • 伊澤 宏毅
    1999 年 43 巻 2 号 p. 97-99
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ナミハダニの7月∼8月の有袋栽培ニホンナシ‘二十世紀’への接種によって高率に果面障害果の発生が認められた.本タイプの果面を走査型電子顕微鏡で観察した結果,多数の加害痕が認められたことから,ナミハダニの果面への直接的な加害が果面障害発生の原因と思われた.本タイプの果面障害症状はこれまでに報告されていない「うす墨型」であった.
  • 樋口 博也, 仲盛 広明, 水谷 信夫
    1999 年 43 巻 2 号 p. 99-100
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Egg parasitoids of the bean bug, Riptortus linearis were investigated in a soybean field on Okinawa Island in October 1996. Only one species of egg parasitoid emerged from R. linearis eggs collected in the soybean field and it was identified as the wasp Gryon nigricorne. The wasps also emerged from host eggs placed artificially in the soybean field. In both cases, no other egg parasitoid species was recorded.
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