日本応用動物昆虫学会誌
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43 巻 , 4 号
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  • 小澤 朗人, 西東 力, 太田 光昭
    1999 年 43 巻 4 号 p. 161-168
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    施設トマトのマメハモグリバエに対するイサエアヒメコバチDiglyphus isaeaの単独放飼による密度抑制効果を小規模な温室を用いて検討した.試験は,2月から5月の春期(試験1)と5月から7月の初夏期(試験2),6月から8月の夏期(試験3)の3回行い,試験3では細かな目合いの防虫網を張って隔離条件とした.
    1. 試験1では,寄生蜂の雌成虫0.13頭/株を1週間間隔で5回放飼した.同様に試験2では0.19頭/株を8回,試験3では0.15頭/株を3回放飼した.
    2. その結果,寄生蜂放飼区におけるマメハモグリバエ幼虫密度は,無放飼区と比較して,試験1では約1/4,試験2では1/36,試験3では約1/10に抑制された.
    3. 放飼区におけるマメハモグリバエ幼虫の死亡率は,試験1では90.9%,試験2では98.4%に,試験3では100%に達した.
    4. 放飼区における空の潜孔密度は,試験1では無放飼区の約1/6以下の1.3個/葉,試験2では約1/16の2.2個/葉,試験3では約1/6の3.4個/葉であった.
    5. 放飼区における蛹トレイへの落下蛹の総数は,試験1では無放飼区の約1/10,試験2では約1/200であった.また,試験3における黄色粘着トラップへのマメハモグリバエ成虫の誘殺数は,放飼区は無放飼区の約1/20であった.
    6. 寄生蜂の種類とその寄生率は,試験1ではイサエアヒメコバチのみが確認され,その寄生率は放飼区では86.5∼92.3%,無放飼区では0∼2.1%であった.試験2では,イサエアヒメコバチ以外の土着種が優占種となり,イサエアヒメコバチを含めたこれらの寄生率は38.9∼86.7%であった.一方,無放飼区は0%であった.試験3では,イサエアヒメコバチのみが確認され,7月下旬の放飼区の寄生率は95.1%,無放飼区は88.2%であった.
    7. 以上から,春から夏にかけての高温期における施設トマトのマメハモグリバエに対するイサエアヒメコバチの実用性は高いことが示唆された.
  • 南 智子, 石井 実, 天満 和久
    1999 年 43 巻 4 号 p. 169-174
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    里山と都市緑地におけるマイマイガLymantria dispar L.の寄生性天敵相の違いを知るために,大阪府能勢町の三草山と堺市の大阪府立大学構内(府大構内)を調査地として,1997年5∼7月にマイマイガ幼虫を採集し,個別飼育を行うことにより,脱出する寄生者を記録した.
    三草山ではマイマイガ幼虫の21%から,府大構内では31%から,それぞれ捕食寄生者が脱出した.ハチ目では,両調査地でHyposoter sp.(ヒメバチ科)が,それらに加えて三草山からはブランコサムライコマユバチ(コマユバチ科),ブランコクロカモドキバチとProtapanteles sp.(コマユバチ科)およびヒメバチ科の1種が,府大構内からはギンケハラボソコマユバチ(コマユバチ科),Cotesia melanoscela(コマユバチ科)が,それぞれ確認された.ハエ目では,府大構内でブランコヤドリバエとムラタヒゲナガハリバエ(ヤドリバエ科)が確認された.両調査地における優占種は,府大構内でブランコヤドリバエで全寄生者の約7割を占めたのに対して,三草山ではブランコクロカモドキバチであったが全寄生者の約2割にすぎなかった.各捕食寄生者による寄主の死亡個体数より算出した種多様度(1-λ)は,府大構内(0.55)より三草山(0.80)の方が高かった.
  • 藤原 千宴, 野村 昌史
    1999 年 43 巻 4 号 p. 175-179
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ヤマトクサカゲロウの千葉県松戸個体群を実験室において卵から羽化するまで飼育し,各発育段階における発育日数,生存率に対する温度と光周期の影響を調べた.日長時間を14時間として温度条件を変えて27.5, 25, 20, 15°Cとした場合,27.5°C区では高温障害が生じた.また27.5°C区および15°C区では生存率が低くなり,これらの条件を松戸市の気象データと当てはめると7月中旬∼8月上旬,10月下旬∼4月中旬となるため,この時期は本種の生育には不適であると考えられた.また今回得られた卵から羽化までの発育零点は10.2°Cであり,有効積算温量は約414日度であった.
    次に,20°C条件下で日長時間を16L-8D, 14L-10D, 13.5L-10.5D, 13L-11D, 10L-14Dと変化させた場合,幼虫は長日でも短日でもない光周反応を示した.この結果は秋期において越冬世代成虫が出現する時期をある程度揃える効果を持つと考えられた.
  • 後藤 忠男, 中牟田 潔, 所 雅彦, 中島 忠一
    1999 年 43 巻 4 号 p. 181-184
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ツクリタケ栽培の重要な害虫であるツクリタケクロバネキノコバエの交尾行動に性フェロモンが関与しているか明らかにするため交尾行動を解析した.
    1) 雄成虫は,未交尾雌あるいはその粗抽出物,雌の体のすべての部位に対して交尾反応を示したが,n-ヘキサンで洗浄した未交尾雌成虫に対してはまったく反応しなかった.したがって,性フェロモンは雌の全身に存在し,n-ヘキサンで抽出可能であると考えられた.
    2) 本種の性フェロモンとして報告されていたn-ヘプタデカンに対してはまったく反応を示さなかった.
    3) 雌は羽化後2時間経過するとほぼ100%の雄に交尾行動を引き起こした.一方,雄は羽化後1時間以上経過するとほぼ100%反応した.
    4) 雌は羽化後3日までは100%の雄に反応を引き起こしたが,その後は雄の反応率は低下する傾向が見られた.一方,雄は羽化後9日を経過しても,100%交尾反応を示した.
    5) 交尾後の雌に対する雄の反応率は急速に低下した.
    6) 性フェロモンの単離・同定,生物検定のためには,雌雄とも羽化後1日目の個体を使うのがよいと考えられた.
  • 森下 正彦, 高藤 晃雄
    1999 年 43 巻 4 号 p. 185-188
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    和歌山県中部のエンドウとその畦畔の野生植物(クサギとアケビ)に寄生したカンザワハダニの休眠特性を調査した.エンドウと常緑樹のアケビでは10月から休眠雌率が上昇し,12月下旬にピーク(約60%)となった後1月に低下した.落葉樹のクサギでは11月の休眠雌率は他の寄主よりも高く,これは落葉期で葉の栄養条件が悪化したためと考えられた.16°Cおよび20°Cにおける休眠誘起の臨界日長は10∼11時間の間にあった.
  • 近藤 章, 平松 高明
    1999 年 43 巻 4 号 p. 189-193
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    モモサビダニによるモモの葉の被害が光合成速度,果実品質,落葉および樹勢に及ぼす影響について検討した.
    1. 被害葉では健全葉に比べ光合成速度が著しく低下した.収穫期(8月下旬)の葉の被害度と果実の重量,酸度との間には有意な相関関係がみられなかったが,糖度は葉の被害度が増加するにつれて有意に減少した.また,9月下旬の落葉率は収穫期の葉の被害度が増加するにつれて有意に増加した.
    2. 9月下旬に落葉した被害多発樹(落葉率:70∼80%)では,健全樹(落葉率:5∼10%)に比べ花芽の肥大が抑制され,子房の大きさも有意に小さかった.さらに,被害多発樹では果実の肥大が抑制され,健全樹よりも果実の重量,糖度,酸度がいずれも有意に低かった.
    3. このように,モモサビダニによって葉を強く加害されると,当年の果実の糖度が低下するだけでなく,収穫後に落葉が起こることによって樹勢が低下し,翌年の果実品質にも悪影響が及ぶと考えられた.
  • 水谷 信夫, 和田 節, 樋口 博也, 小野 幹夫, Walter Soares Leal
    1999 年 43 巻 4 号 p. 195-202
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    天敵卵寄生蜂カメムシタマゴトビコバチを特異的に誘引するホソヘリカメムシ集合フェロモンの1成分,(E)-2-hexenyl(Z)-3-hexenoate(以下E2HZ3H)をダイズ圃場に処理し,カメムシタマゴトビコバチの密度と寄生率に与える影響を,集合フェロモン(3成分の混合物)処理および無処理の圃場と比較し,以下の点を明らかにした.
    E2HZ3Hを処理したダイズ圃場では,カメムシタマゴトビコバチが通常の飛来時期より早く圃場に侵入する傾向が認められ,密度が高くなった.ホソヘリカメムシは誘引されなかった.一方,集合フェロモンを処理した圃場でもカメムシタマゴトビコバチが誘引されたが,同時にホソヘリカメムシも通常より早い時期から誘引され,密度も高かった.E2HZ3Hを処理したダイズ圃場のカメムシタマゴトビコバチのカメムシ卵に対する寄生率は,無処理圃場と有意な差がなかった.しかし,圃場内の雌蜂の密度が高くなった1997年の9月にE2HZ3Hを処理した秋ダイズ圃場で本寄生蜂の寄生率が高まる傾向が認められた.カメムシタマゴトビコバチのホソヘリカメムシ卵に対する寄生率は,フェロモンまたはE2HZ3Hを設置した株で高くなる傾向がみられず,ダイズ圃場内ではE2HZ3Hが雌蜂の寄主探索の手がかりとして機能していないことが示唆された.
  • 北島 博
    1999 年 43 巻 4 号 p. 203-205
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Larvae of the cryptomeria bark borer, Semanotus japonicus (Lacordaire) were reared on four artificial diets containing different sucrose levels of 1.9%, 3.7%, 7.2%, and 13.4% per total weight of diet. Although there were no significant differences in emergence rate, duration from insertion of hatchlings to adult emergence, and elytral length of adult females between diet sucrose levels, there was a significant difference in the elytral length of adult males. In diets containing 7.2% and 13.4% sucrose, the variances of elytral length of adult males and females were small. In addition, in a diet containing 7.2% sucrose, the pupation rate of surviving larvae at 30 days after insertion was higher than that of the other diets. Therefore, a diet containing 7.2% sucrose seems to produce the best adult yield.
  • 樋口 博也
    1999 年 43 巻 4 号 p. 205-206
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The attractiveness of adults of the stink bug, Piezodorus hybneri (Gmelin), for conspecific individuals was investigated. Males attracted both sexes of conspecific adults, suggesting that males release an aggregation pheromone. Nymphs were not attracted by males at all. Females did not attract adults or nymphs.
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