現在(1961年3月)までに発表されたヤサイゾウムシの加害植物を総合し,植物の科別に分類整理を行なった。
1) その結果は,全体で34科178種(または変種)以上,日本からは26科97種の植物が収録された。
2) それらは,ほとんど双子葉植物に限られ,単子葉植物はユリ科以外には知られていない。
3) この中で,種(または変種)数の多いものから順次あげれば,キク科が最も多く,次いでアブラナ科,セリ科,ナデシコ科,マメ科,タデ科,ナス科などの順である。
4) これらの全加害植物から,実験だけによって摂食が知られていることの明らかなものを除いたもの(28科135種)についてみると,やはり,キク科が最も多く,アブラナ科,セリ科,以下,ナス科,マメ科,ナデシコ科などが多い。
5) これを更に野生植物(19科66種),観賞植物(8科13種),作物(12科56種)に分ければ,野生植物ではキク科が最も多く,作物ではアブラナ科が首位にある。
6) 日本における各加害作物の報告都府県数を比較すれば,アブラナ科が1位にあって,2位セリ科,3位ナス科,アカザ科4位キク科となる。
7) このように各科別ごとの加害植物の数,また報告頻度数から言って,アブラナ科,キク科,セリ科,ナス科などが,ヤサイゾウムシの数ある加害植物のうちで重要な地低を占めている。またこれらの科には,実際に被害の大きい作物が含まれている。
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