日本応用動物昆虫学会誌
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55 巻, 2 号
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原著
  • 清水 信孝, 堤 隆文
    原稿種別: 原著
    2011 年 55 巻 2 号 p. 43-48
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ミナミアオカメムシおよびアオクサカメムシ雄成虫の両種個体に対する誘引性を2008年および2009年に福岡県内の野外におけるトラップ試験により調査した.ミナミアオカメムシの雄成虫を誘引源とした水盤トラップに同種の雌雄成虫に加えて,アオクサカメムシの雌雄成虫が誘引された.同様に,アオクサカメムシの雄成虫を誘引源とした水盤トラップにも両種の雌雄成虫が誘引された.これらの結果から,ミナミアオカメムシとアオクサカメムシの雄成虫はフェロモンを放出して同種他個体を誘引するだけでなく,互いに異なる種の雌雄成虫も交差誘引することが明らかとなった.
  • 諫山 真二, 鈴木 岳, 仲井 まどか, 国見 裕久
    原稿種別: 原著
    2011 年 55 巻 2 号 p. 49-57
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    イチゴやシソを食害しているハスモンヨトウでBacillus thuringiensis製剤(以下,BT剤)の効果が低下することが知られている.本現象は植物中に含まれるポリフェノール化合物が引き起こしているものと推察されている.そこで,本研究では各種ポリフェノール化合物がBT剤の殺虫活性にどのような影響を及ぼすのか調査した.まず始めに代表的なポリフェノール化合物であるタンニン酸と没食子酸がBacillus thuringiensis serovar aizawai製剤(以下,BT剤)のハスモンヨトウ幼虫に対する殺虫活性に及ぼす影響を調査した.次に,イチゴ,シソの葉に含まれる各種ポリフェノール化合物を同定,定量するとともに,これら同定されたポリフェノール化合物がBT剤の殺虫活性に及ぼす影響について調査した.
    BT剤に所定濃度のタンニン酸あるいは没食子酸を添加し,ハスモンヨトウ3齢幼虫に経口投与したところ,タンニン酸の添加は濃度依存的にBT剤の殺虫活性を低下させたが,没食子酸の添加はBT剤の殺虫活性に影響を及ぼさなかった.
    イチゴ,シソに含まれるポリフェノール化合物を調査した結果,イチゴではエラグ酸,カテキン,ケルセチン,フェルラ酸,p-クマル酸,シソではルテオリン,アピゲニン,オイゲノール,ロスマリン酸,フェルラ酸,p-クマル酸が同定された.BT剤に所定濃度の同定されたポリフェノール化合物試薬を添加し,ハスモンヨトウ3齢幼虫に経口投与したところ,カテキン,ケルセチン,ルテオリン,アピゲニン,ロスマリン酸およびp-クマル酸の添加は濃度依存的にBT剤の殺虫活性を低下させたが,エラグ酸,オイゲノールおよびフェルラ酸の添加はBT剤の殺虫活性に影響を及ぼさなかった.殺虫活性阻害作用の認められたポリフェノール化合物の内では,ロスマリン酸の低下効果が最も高く,次いでカテキンであった.以上の結果から,イチゴではカテキンが,シソではロスマリン酸がBTa剤の殺虫活性低下をもたらす主要なポリフェノール化合物であることが示唆された.
  • 永井 一哉
    原稿種別: 原著
    2011 年 55 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    岡山県赤磐市で無農薬栽培したダイズにおいて,5月から10月まで,フタスジヒメハムシ成虫を採集して個体飼育し,本種成虫の捕食性内部寄生蜂による死亡率を調査した.同時に「吹き出し法」(永井,1982)によりフタスジヒメハムシ成虫の密度変動を調べた.
    フタスジヒメハムシ成虫にはCentistes medythiae Maetô et NagaiおよびStreblocera okadai Watanabeの寄生が5月から10月まで認められた.
    フタスジヒメハムシ成虫のコマユバチ科2種による平均死亡率は20%であった.フタスジヒメハムシ成虫へのコマユバチ類の捕食寄生は6月上旬,8月下旬および9月中旬を除いてほぼ連続して認められた.コマユバチ類の捕食寄生が原因で死亡したフタスジヒメハムシ成虫の割合は,5月上旬に採集した個体が50%と最も高く,次いで7月下旬の採集個体が43%と高かった.これらの時期以外に捕食寄生による死亡個体の割合が30%以上に達した採集時期は6月中旬,8月中旬,9月上旬および9月下旬にあった.
    フタスジヒメハムシ第3世代(越冬世代)成虫のピークは9月下旬に認められ,この時期に採集した成虫での寄生率は30%あり,また5月上旬に採集した越冬成虫での寄生率は50%と高く,コマユバチ科2種の寄生蜂はフタスジヒメハムシ越冬成虫の密度抑制要因として重要な働きをしていると考えられる.
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