日本応用動物昆虫学会誌
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55 巻 , 4 号
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原著
  • 石本 万寿広
    原稿種別: 原著
    2011 年 55 巻 4 号 p. 193-197
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2011/12/10
    ジャーナル フリー
    イネにおけるアカスジカスミカメ幼虫の発生の有無と関連する要因を明らかにするため,いくつかの登熟段階のイネ穂に対する産卵試験を行った.出穂日,出穂7日後または8日後,出穂14日後の穂に対して,成虫1対を3日間放飼した.産卵は正常穎花と白に認められたが,正常穎花への産卵は出穂日放飼のみで認められた.出穂日放飼の産卵穂率は50.0~58.3%,産卵穂の平均産卵数は8.7~13.8個であったが,穎花内でふ化した幼虫のほとんどは穎花外に脱出できないとみられた.これらのことから,イネでは産卵数,穎花から発生する幼虫数が少なく,水田での幼虫発生は少ないと推察された.
  • 中石 一英, 福井 康弘, 荒川 良
    原稿種別: 原著
    2011 年 55 巻 4 号 p. 199-205
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2011/12/10
    ジャーナル フリー
    野外の餌動物がほとんど発生していないゴマにタバコカスミカメが大発生し世代交代することが観察されたことから,本種はゴマで増殖が可能と推測された.そこで,ゴマでタバコカスミカメは増殖が可能であるか否かを知るとともに,キュウリ,ナス,トマトおよびピーマンでの増殖についても検討した.餌にゴマ,キュウリ,ナス,トマトまたはピーマンの葉を与えた区,それとゴマの葉とともにスジコナマダラメイガ解凍卵を与えた区を設け,タバコカスミカメを飼育し,繁殖能力を比較した.タバコカスミカメの卵から成虫までの生存率はゴマでは59.3%あり,ゴマとともにスジコナマダラメイガ解凍卵を与えても生存率は有意に高まらなかった.このゴマでの生存率はキュウリを与えた場合と有意差はなかったが,ナスより有意に高かった.また,トマトおよびピーマンでは成虫まで発育した個体は見られなかった.卵から成虫までの発育日数はゴマでは29.0日と,キュウリおよびナスに比較して有意に短かったが,ゴマとともにスジコナマダラメイガ解凍卵を与えると有意に短縮した.成虫の生存日数はゴマで雌が38.4日,雄が27.7日であり,ゴマとともにスジコナマダラメイガ解凍卵を与えても有意差は認められず,ゴマでの生存日数は他の植物と比較して有意に長かった.1雌当たり総産卵数はゴマでは63.6卵であったが,ゴマとともにスジコナマダラメイガ解凍卵を与えると166.4卵と有意に増加した.ゴマ以外の植物での1雌当たり総産卵数は4卵以下で,ゴマと比較して有意に少なかった.ゴマだけを与えた飼育から求めた日当たり内的自然増加率および30日当たり増殖倍率は,それぞれ0.0465および4.0であり,ゴマとスジコナマダラメイガ解凍卵を与えて得た0.0865および13.4に比較して小さかった.しかし,ゴマでは動物質の餌がなくてもタバコカスミカメは増殖できることが明らかになったことから,ゴマはタバコカスミカメのインセクタリープランツとして利用できる可能性が示された.
  • 加進 丈二
    原稿種別: 原著
    2011 年 55 巻 4 号 p. 207-215
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2011/12/10
    ジャーナル フリー
    フタスジヒメハムシの飛翔の実態を明らかにするため,ダイズほ場における成虫の発生動態と卵巣発育状態について調査した.前年ダイズを作付したほ場において4月~5月にかけてダイズ苗をトラップとして設置し,越冬後成虫が地上に出現する時期を調査した.越冬後成虫は,通常ダイズが発芽期を迎える約1か月前の4月下旬~5月上旬に地上へ出現することが確認された.ダイズ栽培ほ場における飛翔成虫の発生動態を調べるため,粘着トラップと見取り法および払い落とし法を用いて成虫数の変動を調査し,合わせて卵巣発育との関係を調べた.粘着トラップでは越冬後成虫,第1世代および第2世代のいずれの発生時期でも成虫が捕獲されたが,第1世代の捕獲成虫数は越冬後成虫および第2世代と比較して明らかに少なかった.越冬後成虫では,ダイズから採集した個体の多くが成熟卵を保有していたが,粘着トラップで捕獲した飛翔個体の卵巣は未成熟であった.第1世代では,飛翔個体およびダイズから採集した個体のいずれも卵巣の発育が認められた.第2世代では,飛翔個体およびダイズから採集した全ての個体が未成熟であった.粘着トラップで捕獲した成虫とダイズ上から採集した成虫では性比に有意な差は認められず,成虫の飛翔行動は雌雄で同様に起こると考えられた.これらのことから,フタスジヒメハムシの成虫は卵巣が未成熟の段階で飛翔活動性が高く,主に越冬後成虫と第2世代が飛翔移動に関与することが示唆された.
  • 大井田 寛, 上遠野 冨士夫
    原稿種別: 原著
    2011 年 55 巻 4 号 p. 217-225
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2011/12/10
    ジャーナル フリー
    広食性天敵オオメカメムシおよびヒメオオメカメムシの3齢および5齢幼虫にナミハダニ雌成虫,ミカンキイロアザミウマ2齢幼虫,ワタアブラムシ無翅成虫,およびオオタバコガの卵または孵化直後の1齢幼虫を個別に異なる密度で与えて24時間当たり捕食数を比較するとともに,その結果から各餌種に対する最大捕食量を比較した.オオメカメムシの3齢幼虫にナミハダニまたはワタアブラムシを与えた場合を除くすべての捕食者種,捕食者の発育ステージおよび餌種の組み合わせにおいて,異なる餌密度区におけるオオメカメムシおよびヒメオオメカメムシの捕食数は有意に異なった.また,3齢幼虫ではミカンキイロアザミウマ2齢幼虫またはオオタバコガ卵を与えた場合,5齢幼虫ではミカンキイロアザミウマ2齢幼虫以外の被食者を与えた場合に,オオメカメムシではヒメオオメカメムシよりもそれぞれ高い餌密度で最大捕食量に達した.各餌種に対するオオメカメムシおよびヒメオオメカメムシの最大捕食量は3齢幼虫よりも5齢幼虫で多く,その傾向はオオメカメムシでより顕著であり,5齢幼虫ではいずれの餌種に対してもオオメカメムシがヒメオオメカメムシよりも多く捕食した.ミカンキイロアザミウマまたはオオタバコガ卵を与えた場合には,3齢および5齢幼虫いずれにおいてもオオメカメムシがヒメオオメカメムシよりも多く捕食した.以上の結果から,最大捕食量を基準とした捕食能力の観点からは,数種類の害虫に対する生物的防除資材としてオオメカメムシがヒメオオメカメムシよりも有望と考えられた.
  • 安部 順一朗, 光永 貴之, 熊倉 裕史, 矢野 栄二
    原稿種別: 原著
    2011 年 55 巻 4 号 p. 227-239
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2011/12/10
    ジャーナル フリー
    特に盛暑期での利用を想定したショクガタマバエ等のアブラムシ捕食性天敵を用いたバンカー法の代替餌としての有用性を評価するため,ソルガムあるいはオオムギを餌として飼育した4種のアブラムシ,トウモロコシアブラムシ,ヒエノアブラムシ,ムギクビレアブラムシ,ムギミドリアブラムシの内的自然増加率を比較した.15℃,20℃,25℃,30℃の4種恒温条件下において2種の寄主植物の葉片上で飼育した各アブラムシの生存曲線,全生存期間,生涯産仔数を調査し,これらをもとに内的自然増加率を算出した.ソルガムの葉片で飼育した場合,すべての温度条件下で4種のうちヒエノアブラムシの内的自然増加率が最も高かった.オオムギの葉片で飼育した場合,20℃,25℃,30℃の条件下でムギミドリアブラムシの内的自然増加率が最も高かった.以上のデータから,バンカー植物としてソルガム,代替餌としてヒエノアブラムシの組み合わせが盛暑期に利用するバンカー法に適していると考えられた.得られた結果に基づき,施設栽培でのこれらのバンカー植物,代替餌の有効性を考察した.
  • 宮城 聡子, 大石 毅, 大野 豪, 與座 一文, 大石 彩子, 喜久村 智子, 貴島 圭介, 山口 綾子, 宇久田 理恵, 小禄 博昭
    原稿種別: 原著
    2011 年 55 巻 4 号 p. 241-247
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2011/12/10
    ジャーナル フリー
    沖縄の南西部に位置する先島諸島においては,ナミハダニ黄緑型Tetranychus urticae(green form)は稀な種であると思われてきたが,我々は,本諸島に属する宮古島の広範囲にわたるトウガン栽培施設において,2009年に本種が同時的に発生したことを明らかにした.この年,本種が発生した圃場は調査圃場の43%にのぼった.一方,翌2010年には本種の発生は自然に収束し,1月から5月にかけて調査圃場のわずか3%で発見されたにすぎず,その後発見されなくなった.この結果は,本種は宮古島では一時的に増加できるものの,永続的な定着ができないことを示唆する.なお,トウガンにおける他のTetanychus属ハダニ類の発生頻度と種構成は,2009年と2010年の間で有意に異ならず,ナミハダニ黄緑型の発生は同属他種の発生には影響しなかったことが示唆された.
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