日本応用動物昆虫学会誌
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8 巻 , 4 号
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  • 合田 昌義, 酒井 清六, 野上 寿, 松石 一樹, 米林 俵三
    1964 年 8 巻 4 号 p. 263-271
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1). 松くい虫の防除事業は,従来主として被害木の伐倒,剥皮,焼殺法によって実施されていた。本試験は伐倒した被害木に直接薬剤散布を行なうことにより,すぐれた駆除効果をあげうるような薬剤を開発する目的で,千葉県および神奈川県下に試験地を設置し,クロマツおよびアカマツに寄生加害する松くい虫を対象に,一連の駆除試験を実施した。
    2). 薬剤は殺虫剤の連合作用の理論から吟味した«γ-BHC+EDB+トリクロロエチレン»,および«ダイアジノン+γ-BHC+EDB+トリクロロエチレン»の混合油・乳剤を中心に数種の混合剤を供試し,調査は薬剤散布後18または22日目(一部1, 3ヵ月後)に行なった。クロマツ,アカマツ材に寄生していたせん孔虫の種類はCryphalus fulvus, Ips angulatus, Myelophilus piniperda, Shirahoshizo rufescens, Pissodes obscurus Sipalus hypocrita, Monochamus alternatus, Criocephalus rusticusなどであった。
    3). 殺虫効果は,供試薬剤群中で«ダイアジノン+γ-BHC+EDB混合剤»および«γ-BHC+EDB混合剤»がもっとも有効であった。樹幹,集積枝条,根株処理に対して油剤は10倍,400∼600cc/m2,乳剤は10∼20倍,500∼600cc/m2散布で高い実用性が認められた。また薬剤形態間の殺虫効果は一般に油剤>乳剤であった。
    4). 松くい虫の薬剤に対する種類別特異性は,感受性の高いものから配列するとC. fulvus, I. angulatus, M. alternatus, S. rufescensの順序であった。冬季散布の薬剤の効果はpositive temperature coefficientの値を示したが,実用的効果には問題がなかった。また樹皮の厚さと殺虫効果との間には一定の関係が観察されなかった。
  • 長沢 純夫, 篠原 寛
    1964 年 8 巻 4 号 p. 272-276
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Apholateの不妊作用にたいするアズキゾウムシ成虫の,雌雄における感受性の相違を濃度-ふ化率回帰直線の方程式を,同時に算定比較する方法で究明した。処理した雌と正常な雄によって産下された卵のふ化を半数抑制する濃度は0.1506% (0.1173∼0.1844%),処理した雄と正常な雌によって産下された卵のそれは0.2219%(0.1733∼0.2715%)で雌は雄にくらべてapholateの同一濃度の薬液に浸漬された場合,約1.47倍感受性であると結論される。
  • 森川 修
    1964 年 8 巻 4 号 p. 277-285
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    EDB, DBCPおよびcis-1,3-dichloropropene (cis-D)で中毒したワモンゴキブリ雄成虫における炭水化物,粗脂肪,α-グリセロ燐酸ならびに乳酸の含有量をしらべた。
    炭水化物の消費量はEDBならびに対照として用いたモノヨード酢酸ソーダで中毒したゴキブリでは無処理のものより少なく,それに反し,DBCPおよびcis-Dで中毒した昆虫では多かった。
    粗脂肪の含有量はEDB, DBCPおよびcis-Dともに無処理区と差はなかった。
    乳酸の量はDBCPとEDBで中毒した個体で多かったが,対照として用いた青酸カリほどではなかった。一方,cis-Dおよびモノヨード酢酸ソーダで中毒した個体では無処理のものと差はなかった。
    α-グリセロ燐酸を定量した結果,青酸カリとcis-Dで中毒したものでは有意に増加し,EDBやDBCPでは無処理のものと有意な差はなかった。
    さらにワモンゴキブリの腿節筋の0.9% KCl抽出液を用い,嫌気的解糖系酵素の活性に対するEDBの阻害作用をしらべた結果,ヘキソナーゼ,ホスホヘキソースイソメラーゼ,ホスホフラクトキナーゼ,α-グリセロ燐酸脱水素酵素,アルドラーゼ,三炭糖燐酸イソメラーゼ,ホスホグルコムターゼ,エノラーゼおよび乳酸脱水素酵素の活性は1.0×10-3MのEDBにより阻害されなかった。
    三炭糖燐酸脱水素酵素の活性はin vitroでもin vivoでもEDBにより強く阻害され,in vivoでの阻害度は中毒症状の進行とともに増加し,ゴキブリが麻痺状態にあるときには約60%の阻害がみられた。
    EDBおよびモノヨード酢酸ソーダで中毒し,麻痺症状を呈しているゴキブリにおける三炭糖燐酸を定量した結果,両薬剤とも無処理のゴキブリより約2倍の三炭糖燐酸の蓄積がみられた。
    還元型グルタチオン(GSH)とEDBをあらかじめ酵素液に加えて振盪した場合,GSHの濃度が高いとEDBの阻害作用は低かったが,GSHの濃度が低いと阻害度が大きくなった。
    GSHとEDBだけを振盪し,次にこれに酵素液を加え,ただちに酵素活性を測定した結果,EDBの濃度が高くなると酵素活性に対する阻害度も増加したが,さきのGSHおよびEDBを酵素液とともに振盪した場合より阻害度は低かった。
    EDBはGSHと反応することが暗示されたが,その反応はあまり強くないものと考えられる。
    EDBが三炭糖燐酸脱水素酵素と反応する場合,酵素が還元型であることが必要であると思われ,さらにその反応にはある程度の時間がかかるものと考えられる。
    DBCPおよびcis-Dのin vitroでの三炭糖燐酸脱水素酵素活性に対する阻害をしらべたが,全く阻害作用はみられなかった。
    EDBの類縁化合物であるethylene iodideはin vitroでEDB同様強く三炭糖燐酸脱水素酵素活性を阻害したが,ethylene dichlorideはほとんど阻害しなかった。
  • 奥井 一満
    1964 年 8 巻 4 号 p. 286-294
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 家蚕の集合性の行動を観察した結果,1時間内外で安定した集合状態になることがわかった。その過程は初期,中期,終期の三期に大別できる。
    2. 初期は2個体の接近と個体間の確認,中期はより大きな群に発展する時期,終期で群は安定,静止状態に入る。
    3. 行動の型は30分前後を境にして異り,前半は積極的に移動し動きは活発,後半は逆になる。
    4. この間の個体相互の接近接触の型は,正向位,追行位,横向位,交叉,同方向体位,逆方向体位,後向体位の7型に分けられ,前3型は初期,交叉は中期,後3型は終期に多く見られる。
    5. 絶食させた個体にも集合性は存在するが,行動のリズムがやや異なる。正常個体に対してはっきりした反応を示す点から,互いに引きつけ合うのが,摂食に関連したものであることがうかがえる。
    6. 接触群は無制限には拡がらず,4∼6個体の集団が最も多く見られる。
    7. 以上の点から家蚕の集合性行動は,摂食,休止という家蚕の生活リズムに附随して現われるもので,生存上の適応行動であると考えられる。
  • 長沢 純夫, W.M. HOSKINS
    1964 年 8 巻 4 号 p. 295-299
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    殺虫剤の生物試験をおこなう場合,溶媒に油を混入することによってより均一な試験結果をえようとするこころみがなされる。Light spray oilを混入したアセトンによってDDTを稀釈した場合と,アセトンのみで稀釈した場合の,イエバエにたいする毒作用を,温度5, 10, 15, 20, 25, 30および35°Cにおいて比較した。その結果,油を混入した場合の薬量-致死率回帰線の角係数は,混入しない場合よりも大きく,両者の回帰線は薬量6.2μg/flyのあたりで交叉した。すなわち,高濃度においては油を加用した場合の方が,アセトンのみで稀釈した場合より高い毒作用をしめし,低濃度においては,アセトンに油を混入すると,その毒作用はアセトンのみの場合より低下した。
  • 内藤 篤
    1964 年 8 巻 4 号 p. 300-304
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1955年から1960年にわたって,各県農試病虫関係者などの協力を得て,各地からダイズさやの送付を受け,また直接現地におもむいてダイズサヤタマバエの分布発生状態を調べた。ただし北海道は1963年に調査したものである。
    ダイズサヤタマバエは本州・四国・九州およびその周辺諸島に広く分布し,北は本州の北端である青森県にまで及んでいるが,北海道には分布が認められなかった。北海道にはこれまでにも本種の記録はない。したがって本種の分布北限は津軽海峡をもって示すことができる。分布南限については,これを明確にすることはできなかったが,分布の認められた最南の地点は種子島であり,それ以南の諸島からは記録がない。
    ダイズサヤタマバエは朝鮮,台湾,中国大陸をはじめ,本邦以外の諸地域には分布が認められていない。したがって,本種は本邦の固有種ではないかと考えられる。
    ダイズサヤタマバエの発生量は,一般に暖地に多く,年平均気温でみると,14°C以上の地帯では,本種の発生時期とダイズの開花若さや期が一致するような品種は大きな被害をうける。しかし低温の地帯では少なく,11°C以下の地帯ではきわめて少ない。
  • S.C. SAXENA, Y. SAXENA
    1964 年 8 巻 4 号 p. 305-309
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    コガネムシAphodius sp.における擬死現象について観察し,さらに擬死を起こさせる剌激源の種類,剌激の与え方とこれにたいする反応,各種物理的生理的条件と擬死からの回復の関係などについて検討した.
  • J.C. EDWARD, Sohan Lal MISRA, G.R. SINGH
    1964 年 8 巻 4 号 p. 310-312
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    インドでエンドウの根辺より分離された新種Longidorus pisi n. sp.を記載した。本種はその近似種L. brevicaudatus THORNE, 1961より,体角皮の形状・体長・頭部の大きさ・guiding ringの位置などで区別できる。
  • J.C. EDWARD, Sohan Lal MISRA, G.R. SINGH
    1964 年 8 巻 4 号 p. 313-316
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    インドでイチジク根辺より採取された新種Paralongidorus fici n. sp.を記載した。本種はその近似種P. citri SIDDIQI, 1963より,体長・口針長・basal flangeの形状・guiding ringおよび神経環の位置により区別できる。
  • 平野 千里, 伊藤 嘉昭
    1964 年 8 巻 4 号 p. 317-323
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    トウモロコシアブラムシは各種の禾本科植物に寄生するが,コムギでは生活できない。前報においては,コムギ植物のアブラムシ抵抗性の最も大きい要因として,抗生的に作用すると考えられる化学物質の存在を推定した。
    本報では,この抵抗性因子を追求する一段階として,アブラムシ抵抗性がコムギ植物の生育段階によって,変化するかどうかを調べた。
    オオムギ幼植物に接種されたトウモロコシアブラムシの生存日数は,植物の生育段階に関係なく長い。これに反し,コムギ幼植物でのアブラムシの寿命は,植物が幼若なほど短く,植物の令期が進むにしたがって長くなる。しかしオオムギでの生存日数にくらべると短い。
    オオムギ幼植物に接種されたアブラムシの産仔数は,植物の生育段階に関係なく多い。これに反し,コムギ幼植物での産仔数はオオムギでの産仔数にくらべてはるかに少なく,とくに幼若な植物では,殆んど産仔がみられなかった。
    発芽直後の幼若コムギ植物と,地上部を切り取った根から再生発芽したコムギ植物(二番芽生)とで,アブラムシの個体数増殖,生存日数および産仔数を比較したところ,二番芽生は幼若コムギ植物にくらべて,アブラムシの寄主として,はるかに適していることがわかった。すなわち,二番芽生コムギでの個体数増殖曲線は,オオムギでのそれにくらべて,わずかに遅れる程度であり,寿命や産仔数も,発芽直後のコムギにくらべて,はるかに優っていた。
    以上の結果から
    1. コムギのアブラムシ抵抗性は,コムギ植物の一生を通じて一定不変ではなく,発芽直後には非常に強力であるが,生育が進むにつれて低下する。
    2. しかし,日数を経たコムギ植物でも,オオムギにくらべると,アブラムシの寄主として,著しく不適当である。
    3. したがって,コムギのアブラムシ抵抗性の機構として,次の二つが考えられる。
    i) 一つの因子が関与する。その作用は,コムギ植物が幼若な間は,とくに強力であるが,生育が進んでもその作用は残る。
    ii) 二つの因子が関与する。第1の因子はコムギ植物の生育段階には無関係で,常に植物体内に存在する。第2の因子は,植物が幼若な間だけ存在し,生育とともに消失する。
    4. 抵抗性と関係をもつ,コムギ植物の生育段階は,アブラムシが摂食している地上茎葉部の幼若・老熟によって規定されるものではない。株全体の令期が抵抗性因子の作用と関係をもっている。このことは,発芽直後に強力に抵抗性を発揮する因子が,コムギ種子の胚物質と深い関係をもつ可能性を示している。
  • 坂井 道彦
    1964 年 8 巻 4 号 p. 324-333
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Nereistoxinの殺虫効果を,イエバエ成虫,チャバネゴキブリ成虫,アズキゾウムシ成虫,ニカメイガ幼虫,ダイズアブラムシ,カンザワハダニ,クワコナカイガラ,ハスモンヨトウ幼虫,コナガ幼虫,モンシロチョウ幼虫,キスジノミムシ成虫およびダイコンサルハムシ幼虫を用いて試験した。
    Nereistoxinは合成した修酸塩(hydrogen oxalate)を用いた。
    本化合物の殺虫力は同一種の昆虫を供試しても,薬剤投与法の違いにより異なった。すなわち,チャバネゴキブリに経口投与したとき,およびイエバエに食餌と混合して与えたときには殺虫力は局所施用した場合よりも高かったし,ハスモンヨトウ,モンシロチョウ,コナガ,ダイコンサルハムシ,およびキスジノミムシに食葉に処理して与えたときの殺虫力が高かったことから,本化合物は経口的に虫体に侵入したときに高い殺虫力を有すると推察される。
    しかしながら,ニカメイガ幼虫にNereistoxinを局所施用したときは,仰転作用とともに高い殺虫作用があり,これに反してイエバエに同様の施用を行なってもほとんど作用はなかった。イエバエに注射した場合は強い殺虫力があるので,昆虫の種によって表皮透過性に大きな差があると推定される。
    クワコナカイガラに対しては,かなりの殺虫効果または仰転効果があったが,ダイズアブラムシおよびカンザワハダニ(成虫および卵)には殺虫力は低かった。
    以上述べたように,本化合物の殺虫力には種特異性があり,概して吸収口を有する昆虫には効力が低かった。また,一般に経口毒性が高いと見られるが,ニカメイガ幼虫には接触毒性が高かった。
    供試虫に対する薬剤投与法が異なると,Nereistoxinは仰転作用のみを示し,中毒虫は回復して死に到らない場合があった。アズキゾウムシの試験結果に見るように,この回復は一定薬量が虫体に処理されたときに起り,薬剤に継続接触したときは回復が抑制され死に到ると思われる。
    Nereistoxinによる昆虫の中毒症状は,痙れん・苦もんなどの症状がきわめて少なく,一般の殺虫剤と異なった特有の殺虫作用機構を暗示するものとして興味深い。
  • 石井 象二郎
    1964 年 8 巻 4 号 p. 334-337
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    マタタビにヨツボシクサカゲロウChrysopa septenpunctata WESMAELの雄が強く誘引されることは古くから観察されていたが,その誘引物質は不明であった。マタタビの実およびその虫えいから有効物質の抽出分離を試みた結果,その物質はエーテル可溶物の中性分画に含まれ,水蒸気蒸溜により溜出される。溜出物をカラムクロマトグラフで分離を繰返し,有効成分を含む分画を赤外吸収スペクトルで調べた。水蒸気蒸溜溜出物中に含まれるラクトンを分解除去しても,なお誘引性を示した。イソイリドミルメシンには誘引性はない。誘引物質は一種のアルコールと考えられる。
    本物質の感覚受器は雄の触角に分布している。雌が誘引されないのは,雌の個体数が特に少ないためではない。
  • 坂本 与市, 西村 孝
    1964 年 8 巻 4 号 p. 338
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 吉武 成美, 橋口 勉
    1964 年 8 巻 4 号 p. 339-340
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 釜野 静也
    1964 年 8 巻 4 号 p. 340-342
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ヨトウムシを第1表の合成飼料(I)で,卵より飼育して,完全な雌雄の成虫を得た。この飼料で飼育した幼虫の生育,蛹重などはキャベツ葉で生育したものと殆んど変らず産卵数ではやや多かった。しかし死亡率,特に前蛹期の死亡は約3倍を示した。
    一方キャベツ葉を含まない合成飼料(II)では蛹までは生育するが,羽化の際の脱皮が不完全となった。このことよりキャベツ葉中には羽化脱皮に関与する因子が存在することが推定された。
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