日本応用動物昆虫学会誌
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8 巻 , 3 号
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  • 小泉 清明, 柴田 喜久雄
    1964 年 8 巻 3 号 p. 179-184
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 日本および東洋温帯地では,春から秋にかけての気温は生育繁殖を許す。しかし12月から3月には,食物があっても前成虫は低温のために死亡し,越冬できない。成虫は食物のない時には越冬できないが,食物が得られれば関東,中部以南の地方では冬季の生存は必ずしも不可能ではない。
    2. 日本および東洋温帯地では,12月から3月には,Dcに対しては露地栽培の寄主植物は存在しない。Ddについては各種の柑橘類や,その他1, 2の寄主植物がある。また近年はビニール製簡易温室での栽培が全国に普及しているから,これを考慮に入れれば食物は冬季も絶無とはいえない。しかしこれらが直ちに摂食できる状態にあるのでなければ,厳寒期の成虫寿命が10日内外であることから推して,越冬は困難であろう。
    3. 卵や幼虫が被害果とともに倉庫内に保護され,蛹が土壌深く潜入し,あるいは成虫が温室などの温暖な場所に逃避するようなことがあれば,実際の温度は大気温度よりも高い筈であるから,越冬に成功する個体がないとはいえない。
    4. 過去熱帯地からの両ミバエの伝播の機会は無かったとはいえないが,実際に侵入した回数は少なく,個体数も僅かであったと想像される。将来も同様であろう。一方実験による低温致死日数,飢餓生存日数は供試虫の最後の1頭の死に至るまでの時間であり,それまでに大多数の個体は死亡している。したがって越冬の可能性は極めて厳重な条件で論じたことになる。
    このような点からみて,侵入個体数が僅少であることは,土着の可能性を一層稀薄にする。この関係は将来の土着防止の見地からいっても重要で,関係する個体数を可及的に少なくするため,植物検査は依然として厳重に行ない,万全を期すためには輸出前の特別措置も必要であろう。
  • 浅野 昌司, 長沢 純夫, 近藤 和信
    1964 年 8 巻 3 号 p. 185-190
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    PCPのドジョウに対する毒性試験において,供試個体の体重の相違に基因する試験結果のふれをとりのぞくための方法についてかんがえ,あわせて簡便なLC50の求め方を検討した。
    1. PCPの種々の濃度において,供試ドジョウの体重と致死時間との間に直線関係が得られた。
    2. この回帰直線の方程式からLT50を求め,さらにLC50の算出をこころみた。この方法で求めたLC50の値は,他の一般的方法,たとえば24時間後の致死率から求めた値とほぼおなじで,この方法が有効であるとかんがえられた。
    3. この方法の実際の魚毒試験における実用性について,少数例をもちいて検討し,その妥当性をたしかめた。
  • 津川 力, 山田 雅輝, 白崎 将瑛, 小山 信行
    1964 年 8 巻 3 号 p. 191-202
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    リンゴ園に連続4年間殺ダニ剤を散布し,リンゴハダニの発生と薬剤抵抗性の発現ならびに他害虫に対する殺ダニ剤の影響を調査した。
    1. テデオン散布2年目からリンゴハダニに強力な抵抗性があらわれ,4年後にはサンホーゼカイガラムシとリンゴワタムシが多くなり,同時にリンゴハダニ自然死越冬卵が少なくなった。
    2. マイトラン区とサッピラン区にいくぶんかハダニの抵抗性がみられたほか,両区にサンホーゼカイガラムシとクワシロカイガラムシが多発した。
    3. フェンカプトン区には散布1年目から抵抗性が発現したが,試験開始前パラチオンを数回散布しているので,これは両薬剤に対する交差抵抗性のあらわれと思われる。なおフェンカプトン区にはカイガラムシ類とリンゴワタムシがきわめて少なかった。
    4. テデオン,マイトラン,フェンカプトンおよびサッピランのそれぞれが連用されたリンゴハダニに対しては,ケルセンとアカールはともに顕著な効果を示した。
    5. フェンカプトン抵抗性リンゴハダニに対してペスタンと改良メタシストックスはともに有効に作用し,テデオン抵抗性のものにはアニマートがよくきいた。
  • 長沢 純夫, 柴 三千代
    1964 年 8 巻 3 号 p. 203-209
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    イエバエにDDTを処理する前後24時間における温度を,20°Cおよび30°Cにかえ,さらに溶媒としてもちいたアセトンにゴマ油を加用した場合と,アセトン単用の場合とにわけて23のfactorial systemの実験計画をたて,これにしたがって行なわれた実験の結果を解析した。DDTの有効度に関与するこれら3要因のうち,処理後の放置温度の影響が一番大きく,処理前の放置温度の影響がこれにつぎ,ゴマ油の加用による相違が一番小であった。温度については低温に放置されたものの方が,高温放置にくらべて有効度はたかく,DDTの毒作用が負の温度係数を有するという従来の知見をうらづけることができた。またゴマ油の加用によって,DDTのイエバエにたいする有効度は若干たかまることもみとめられた。
  • 宮原 義雄, 福田 秀夫
    1964 年 8 巻 3 号 p. 210-217
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. ツマグロヨコバイおよびヒメトビウンカの殺虫剤に対する感受性を,ミクロビューレットを用いて薬剤を施用するKERRの方法を改変した微量局所施用法によって調査した。その主な相異点は,エチルアルコールに溶かした薬液をミクロビューレットに連絡したエアポンプの弱い圧力によって押し出し,ミクロビューレット内の薬液のメニスカスの移動をミクロビューレットに刻んだ目盛りによって読むことにより暗室操作を省いたことである。
    2. この方法は施用液量の変動の把握,供試虫特にヒメトビウンカ雄の取り扱いなどに残された問題があるが,この試験の目的をほぼ満足せしめ得ると考えられた。
    3. ツマグロヨコバイについて季節的な感受性の変動をマラソン,DDT, carbarylについて調査したが,第1回,第2回,第5回の各成虫間には感受性の違いは認められなかった。
    4. ツマグロヨコバイはメチルパラチオン,マラソン,fenitrothion, fenthion, vamidothion, carbaryl, DDT, BHCに対する致死薬量の順位およびその絶対量において,ヒメトビウンカと顕著に異なった。
    5. 両種とも雌の感受性は,体重あたりの薬量で比較しても,雄より低かった。
    6. 福岡県筑後産のツマグロヨコバイの感受性は数種の殺虫剤に対して,小島らの報告した神奈川県小田原産のツマグロヨコバイと異なるようである。
  • 湯嶋 健, 釜野 静也
    1964 年 8 巻 3 号 p. 218-221
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ニカメイチュウはアスコルビン酸を加えた合成食餌によって累代的飼育が可能であるが(釜野1964),本報告では,この餌で飼育された幼虫の体液蛋白質の面から見ても,正常であることを寒天ゲル電気泳動法を用いて確めようとした。
    その結果は次の通りである。
    1. アスコルビン酸を加えない餌で飼育されたものは,蛋白質の各分画は著しく減少する。
    2. アスコルビン酸を加えると,小池の分類のG1分画量は次第に増加してくる。この現象は,雌成虫の生殖能力の増大と平行している。
    3. 電気泳動法による体液蛋白質の分画の検討は幼虫の生理的活力の診断法として有効な方法だと考えられる。
  • 有賀 久雄, 福原 敏彦, 福田 章一, 田中 茂男
    1964 年 8 巻 3 号 p. 222-226
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    シンジュサンとサクサン幼虫の真皮細胞において,ウイルス感染の初期に核の中央部にクロマチンの塊りが現われ,それに桿状のウイルス粒子が数多く附着しているのが見られた。これらのウイルス粒子は単独で存在し,発育膜に包まれていないが,核の周辺部に存在するウイルス粒子は数本ずつ束になり,束のまわりに発育膜が形成されていた。これらの束が数個集まった部分に形成初期の多角体の像が認められた。感染の末期には核内に多角体が充満し,中央部にあったクロマチンの塊りは大部分消失していた。多角体に含まれているウイルスの粒子は,いずれも束になっていて,発育膜に包まれていた。カイコやサクサンのウイルスをシンジュサン幼虫に接種した場合には,真皮細胞核内のウイルスの形態は本来の宿主で増殖した場合と同様であった。アメリカシロヒトリのウイルス粒子は桿状で数本のウイルス粒子が束になって多角体中に含まれていた。
  • 玉木 佳男
    1964 年 8 巻 3 号 p. 227-234
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    茶樹に寄生するツノロウムシ,Ceroplastes pseudoceriferus (GREEN)の虫体被覆物中にとりこまれているhoneydew中の炭水化物構成をペーパークロマトグラフィーによって定性的に調べ,茶樹樹皮中に見られるそれらと比較検討した。
    honeydew中の炭水化物としてはグルコース,マルトース,スタキオース,リビトール,およびマンニトールを検出し,このうち糖アルコールであるリビトールとマンニトールは結晶として分離同定した。honeydew中のこれら炭水化物は茶樹の系統によって検出される程度が異なり,6種の茶樹系統から採集したツノロウムシ27個体について調べたところこれらの検出ひん度は,リビトール>グルコース>マルトース=ラフィノース>スタキオースの順であった。
    茶樹樹皮中からは7種の炭水化物を検出しそれらの相対的な濃度は,シュクロース>グルコース>フラクトース=ラフィノース>マルトース=スタキオース>リビトールの順であると考えられた。
    これらの結果からツノロウムシは食物中のフラクトースおよびシュクロースをほとんど完全に利用しており,またその他の糖もある程度利用していると考えられる。糖アルコールについては,リビトールに関する限り,この虫は食物中のリビトールをそのままの形で排泄しているのではないかと考えられる。
    Honeydew中の還元糖をSOMOGYIの比色法で定量したところ,乾物当り2.8%であり,この値はアブラムシ類のhoneydewについて調べられている値と比して約1/10であった。この事実はツノロウムシが大量のろう質物を分泌する事実と考え合せると,ツノロウムシのろう質物が,食物中の糖類から由来しているのではないかとの考えを起こさしめる。
  • 一瀬 太良, 浅輪 達也
    1964 年 8 巻 3 号 p. 235-244
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    タマナギンウワバAutographa nigrisigna WALKERのさなぎの色は幼虫期の温度によって変化し,低温20°C以下で全体黒色,高温30°Cで全体黄かっ色となる。このようなさなぎの色が,幼虫のどの時期に決定されるかを知るために行なった一連の実験と,温度感応のしくみを探索した他の一実験の結果を述べる。
    1) タマナギンウワバのさなぎの色の決定に関与する環境温度は,幼虫の中期(3∼4令)以後より,蛹化直後,さなぎの表皮が硬化するまで感受される。そしてこの時期以前の温度は無関係である。
    2) 低温18°Cおよび高温30°Cの温度条件を発育期の途中で転換した場合,終令(5令)起およびそれ以前における温度変更区で得られたさなぎの色は,両温度条件とも変更後の温度によって強く支配される。
    3) 終令のいろいろな時期に温度を転換した場合では,低温後の高温は,高温後の低温よりもよく強く変更前の温度の影響を消去した。またこれら2通りの区で得られた中間型さなぎには色調の差がみられ,低温後高温区のそれは中間型I,高温後低温区のそれは全部中間型IIおよびIIIであった。
    4) 羽化したタマナギンウワバ成虫の形態や色彩については,低温条件下で得られる黒色型さなぎからの個体と,高温条件下で得られる黄かっ色型さなぎから羽化したそれとの間に特に差異を認めることができなかった。
    5) 前蛹になったときに高温から低温に変更し,かつそのときに第2,第3腹節間を結紮しておくと,得られたさなぎの表皮(旧皮は脱皮できないため人工的に除去する)は結紮部の前方のみが黒化した。同様に低温から高温に入れかえたときでは得られたさなぎの表皮の色は結紮の前後方部とも黄かっ色を呈し,全く黒斑の形成を認めることができなかった。これらの結果から,幼虫体の第2腹節より前方に低温感応の中枢があって結紮した場合には体後部への黒色化因子伝達が阻止されるのであろうと考えた。低温から高温に移した場合では,温度変更前すなわち結紮の前,すでに体の前後部とも黒化のための反応が進行していたと考えられるから,結紮後の高温は,それぞれの体部位において直接この反応の進行を阻止したのであろう。
    6) キンウワバ類14種の幼虫を15°∼30°Cの種々の温度で飼育してさなぎの色をしらべたところ,種間に程度の差はあるが,タマナギンウワバと共通の温度感応が認められた。すなわち低温は表皮の黒化を強め,高温はその淡色化を誘起する。
  • 石橋 信義, 気賀沢 和男, 国井 喜章
    1964 年 8 巻 3 号 p. 245-250
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ネコブセンチュウの生育と寄主作物の生育との関係については数多くの報告がされてきたが,未だ一致した結論を得るには至っておらず,さらに繁殖力については何ら見るべき知見は得られていないようである。これらの報告の中でBIRD (1960)は,要素欠乏の寄主作物に寄生したネコブ線虫はより早く生育することを報告した。筆者らは本線虫の繁殖様式に関する一連の研究として寄主作物の生育が線虫の繁殖力にどのように影響するかを観察し,線虫の生育についてはBIRDの結論とほぼ一致したがOTEIFA (1951∼1953)の提言したカリの重要性については,一致した傾向を見出せず,寄主作物によって線虫の生育を支配する要素(植物が摂取するもの)は異なることが暗示された。実験の概要は次の通りである。
    (1)寄主作物としてキウリ,トマト,サツマイモを用い,線虫を侵入させてのち,寄主作物を窒素燐酸カリの各種要素欠乏の水耕に移した場合。(2)線虫接種前から寄主作物を要素欠乏症状にし,接種後も引続いて要素欠乏で水耕したものにつき,それぞれ線虫の繁殖状態を卵のう蔵卵数,雌成虫の生理的食塩水内産卵等について検討した。
    (1), (2)の実験とも,要素欠乏の作物に寄生した線虫は対照(全要素)よりも早く成熟し,より早く産卵を始めた。すなわち接種後45日目において卵のう蔵卵数は対照よりも多く,その雌成虫の液内産卵数は全般的に対照よりも少なかった。両者の和は傾向として対照のそれよりも大であったため,さらに(2)の実験をサツマイモについて繰り返し,15日おきに採集して,繁殖ばかりでなく線虫の生育をもカメラルシダによって追跡した。この実験の結果も同様に窒素欠乏,燐酸欠乏の区では線虫の生育は早く,また産卵も早く始めたが,以後日数が経るにつれ対照区の線虫が大になり,45日目では対照区が最も生育は大であった。(1), (2)の実験を通じて繁殖力は全般的にみて要素欠乏区が大であった。要素欠乏の作物の根には着色硬化した卵嚢の着性が多かったが,その傾向は窒素欠乏のキウリ,トマトにおいて著しかった。
  • 松沢 寛
    1964 年 8 巻 3 号 p. 251-256
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    現行流下式塩田の流下盤内に無数の坑道を作って生息するオオツノハネカクシの甚大なる虫害は,本邦製塩業上大きな問題となっているが,1963年秋以来1年余りの間,本種の生態について調査研究を行なった結果,1年3回(時に一部は4回)の発生をなし,一部はさなぎ,大部分は成虫にて越冬することがわかった。産卵期は大まかには,4月中旬∼5月下旬ないし6月上旬,6月下旬∼7月中下旬,8月下旬∼9月下旬の3期で,またその発育所要日数は,卵14∼20日,幼虫40∼50日,前蛹2∼4日,さなぎ6∼8日であった。幼虫は5令の令期をもつようで,卵から成虫までは,普通70日内外であった。成虫の生存日数は,越冬期は2∼4月またはそれ以上にもわたるが,活動期には概して20∼40日ぐらいであった。
    また産卵は1粒ずつ坑道の壁の小孔中になされるが,5∼10卵ずつ2∼3回産卵されるもののごとく思われた。流下盤での生息は,給水樋に近い,盤長の大体1/3∼2/3にあたる部分で,無数に作られた坑道は,垂直的なものがもっとも多く,盤底までの貫通率もかなり高かった。
    成虫の青色螢光灯への飛来は非常に顕著で,この方法は,本種防除の1策となりうると思われた。
    本種の分布は,調査の結果,愛知県以西の現行流下式塩田には例外なく分布することが明らかとなり,また旧入浜式塩田跡にも,ほとんどすべて生息するようであった。
  • 橋本 康
    1964 年 8 巻 3 号 p. 257-258
    発行日: 1964/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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