日本応用動物昆虫学会誌
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9 巻, 4 号
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  • 木村 義典
    1965 年 9 巻 4 号 p. 251-258
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    従来,ヒメトビウンカの防除にはマラソンが多く使用されてきたが,広島県の4市町では,1964年に空中散布したマラソンの効果が前年度までのものより著しく悪かった。しかしこの年に,上記以外の場所ではマラソンの空中散布や地上防除で別に防除に不都合はなかった。そこで広島県を主体に全国各地から採集したヒメトビウンカのマラソンに対する抵抗力を調べ,各個体群の抵抗力の変化が過去におけるマラソンの使用状態に関連したマラソン抵抗性の発達であるかどうかを検討した。
    マラソンの致死薬量はそれぞれの個体群で著しく異なっており,大阪府長野個体群では,LD-50が最も低く,雌成虫では53.4μg/tube,雄成虫では33.0μg/tubeであった。一方,LD-50が最も高かったのは,広島県千代田個体群で,LD-50は雌成虫が343.1μg/tube,雄成虫が315.7μg/tubeであった。N.Os.個体群とC.H.個体群のLD-50の比率は雌成虫が1:6.4,雄成虫が1:9.6であった。
    マラソンに感受性,抵抗性と低水準抵抗性の各個体群の地理的分布の状態をみると,移動性が大きいといわれるヒメトビウンカの場合でも,マラソンに対する抵抗性はそれぞれの場所で独自に発達したもののようである。各個体群のマラソンに対する感受性の標準偏差とLD-84との間には正の相関がみとめられ,ヒメトビウンカのマラソンに対する抵抗力の増大は,反応の不均一性をともなっていた。
    過去9ヵ年間のマラソン使用量と抵抗力との間にはr=0.693の相関がみとめられた。広島県下の広い地域では,マラソンの連続使用がヒメトビウンカのマラソンに対する抵抗性の発達に影響し,各個体群の抵抗力の発達程度は過去のマラソン使用量に関連していることが明らかにされた。
  • 1. 1掃立口(1仕切)の数量と蟻蚕罹病率との関係(微粒子病伝染様式)
    大島 格, 藤原 弘, 広瀬 安春, 樺沢 ヨウ, 沢田 紀一
    1965 年 9 巻 4 号 p. 259-265
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    微粒子胞子の経口伝染様式は理論的には超幾何分布の方式に従うものと考えられる故,病蚕の含有率が同一の掃立口でも1蚕座の頭数が多い程その伝染力は増大するとの結論に達する。そして1蚕座の頭数5,000頭と20,000頭とを掃立てて飼育した結果,やはり理論的考察の正しいことが確かめられた。それ故実用的見地から微粒子病の伝染力を研究する場合にはこの点を考慮しなければならない。
    更に1蚕座の頭数とその病蟻含有率がともに同一の掃立口でも,病蟻の罹病程度が軽微なものはその蛾の罹病率が増大する。これは4∼5令期に糞に胞子を排泄する病蚕が増大するためである。これはまた同時に1掃立口の蟻蚕頭数増加による蛾の罹病率の増加率が期待値より少ない原因を証明している。すなわち罹病程度軽微な病蟻が多い程1蚕座の頭数同一の4∼5令期の病蚕が増加するからである。
  • 須貝 悦治
    1965 年 9 巻 4 号 p. 266-270
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコの放射線誘発雄性不妊に及ぼす環境温度の影響を検索し次の結果を得た。
    1. 照射前の環境温度の差異は,不妊性の発現にはほとんど影響を及ぼさないが,照射後の温度が高温(30°C)の場合には不妊性が増大し,逆に低温(18°C)では減少することが判明した。また,このような温度効果は照射後48時間頃までに決定されることが示された。
    2. 細胞組織学的には末期の精原細胞が極めて高い放射線感受性を示し,容易に致死して精子形成は一時的に中断される。しかし,カイコの雄にみられる放射線誘発不妊性は,主として照射を受けた精母細胞によって決定され,しかもその分化発達は照射後の環境温度によって顕著な影響を受ける。すなわち,高温処理ではほとんどが無機能化異常精子に,また低温では,かなりのものが受精能を有する正常有核精子にまで発達することが認められた。
  • 長沢 純夫, 篠原 寛
    1965 年 9 巻 4 号 p. 271-274
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Apholateのアセトン溶液を,滴下法によって処理したアズキゾウムシの雄と,正常な雄の間のmating competitionを,種々な組み合わせと処理薬量において実験検討した。産卵数はいずれの処理薬量と組み合わせにおいても,抽出誤差の範囲内でひとしく,ふ化卵数は無処理個体の数が増すにしたがい,また処理薬量が増大するにつれて減少した。これらの結果からapholateの処理をうけたアズキゾウムシの雄は,正常な雄とmating competitionにうちかって行けるものと結論される。
  • 第1報 形態と組織構造
    寒川 一成
    1965 年 9 巻 4 号 p. 275-290_14
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    半翅目昆虫の唾腺分泌物は植物体におよぼす種々の影響,およびウイルス病の媒介などに関連する重要な諸問題を包含している。本研究はそれらの研究に先だち,まず我国の稲作上きわめて重要な害虫であるツマグロヨコバイ,イナヅマヨコバイ,セジロウンカ,ヒメトビウンカおよびトビイロウンカを中心にウンカ,ヨコバイ類の唾腺の形態と組織構造を詳細に検討したものである。唾腺の形態は昆虫細胞用クラーク液中で摘出された唾腺にトルイジン青または中性赤の稀薄水溶液で超生体染色をほどこし顕微鏡下で観察された。組織構造はブアン,アレンブアンまたはスサ液で固定され,アザンあるいはデラフィルドのヘマトキシリン-エオシン染色をほどこされた切片標本によって調べられた。その結果は次のとおりである。
    1. ウンカ,ヨコバイ類の唾腺は一対の主腺と副腺,および分泌管系から形成されている。
    2. ヨコバイ類の主腺は6種類の腺細胞群の集合体で,2葉に分けられている。副腺は屈折した短管状である。
    3. ウンカ類の主腺は数種類の小胞状組織に分離されている。各組織は少数の同種の腺細胞で形成されている。副腺は球状である。
    4. 唾腺の形態は後胚子発育の各時期をとおしてほとんど変化を示さなかった。
    5. 主腺を形成する腺細胞群あるいは小胞状組織の細胞質の性状および色素に対する着染性に顕著な相違が認められた。
    6. ヨコバイ類の主腺のIV型細胞とウンカ類の主腺のA型組織は消化酵素の主要な産生組織と考えられた。
    7. ヨコバイ類の主腺のV型細胞とウンカ類の副腺は口針鞘形成物質の主要な産生組織と考えられた。
    8. ヨコバイ類の副腺の尾部はマルピーギ管様の組織構造を示した。
    9. 分泌管の上皮細胞の構造はある種の生理的機能の存在を暗示した。
  • 桐谷 圭治, 法橋 信彦, 木村 勝千代, 中筋 房夫
    1965 年 9 巻 4 号 p. 291-297
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    多食性の昆虫における寄主植物の意義を明らかにするため,1961=1965年にわたってミナミアオカメムシ成虫の行動を寄主植物との関連においてしらべた。成虫の行動から寄主植物は摂食対象と産卵対象植物に区別される。
    越冬場所から飛来した成虫はナタネ,ダイコン,コムギ,ハダカムギなどで摂食,交尾し,卵巣成熟した雌は別の産卵対象となる寄主植物に移動する(例えばバレイシヨ)。これらにおける成虫個体群の性比は性的成熟と共に減少することはこれを裏付ける。
    一方産卵対象となるバレイショ畑では,初期に移動して来る成虫の密度はきわめて低くほとんど雌ばかりで,この時期に大部分の卵塊が産まれる。またこれらの雌は後期に侵入してくる成虫にくらべて滞在時間が著しく短い。このことはナタネなどの摂食植物上で卵巣成熟した雌がバレイショなどの産卵植物に移動し産卵が終ると再び摂食植物に戻ることを暗示している。バレイショの発育が進むにつれて多くの成虫が摂食,交尾のために飛来するようになる。このように寄主植物の発育の前期は産卵の対象となり,後期に摂食の対象となる現象はかなり一般的にみられ,第2世代成虫と晩期稲との間にも明確にみられた。
    以上のことは,多食性の成虫は無差別に多くの植物種を同時にえらぶのではなく,その生理的条件に応じて寄主植物の種類や発育のステージに敏感に反応しうる強力な寄主選択能力をもつことを示す。したがって多食性昆虫の寄主植物は個々について昆虫の行動,生活環との関連において評価されなくてはならない。
  • ハンノキキクイムシ・アンブロシア菌の胞子形式
    高木 一夫, 金子 武
    1965 年 9 巻 4 号 p. 298-300
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ハンノキキクイムシと共生するアンブロシア菌は栽培型と貯蔵型の二つの胞子型を持っている。この二つの胞子を人工培地上に選択的に形成させることができた。
    1. 栽培胞子は酵母抽出液,ブドウ糖,ペプトン寒天培地上に20°∼25°Cの温度範囲で形成される。
    2. 貯蔵胞子は酵母抽出液,ブドウ糖,ペプトン培養液で振りまぜ培養を行なうと20°Cでも28°C±2°Cでも形成されるが,20°Cのほうが胞子形成は良好である。
    3. 実験結果からアンブロシア菌の生活環を示した。
  • 兼久 勝夫
    1965 年 9 巻 4 号 p. 301-302
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • (IV) ハンノキキクイムシの単為生殖とアンブロシア菌のとりこみ
    金子 武, 高木 一夫
    1965 年 9 巻 4 号 p. 303-304
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 内藤 篤
    1965 年 9 巻 4 号 p. 305-306
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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