日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
18 巻, 1 号
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目次
巻頭言
第18回日本在宅ケア学会学術集会
会長講演
シンポジウムⅡ
「その人らしさ」を支えるチームアプローチ
第18回日本在宅ケア学会学術集会交流集会B1
訪問看護ステーションにおける継続教育の機能向上
平成25年度第2回日本在宅ケア学会公開講座
エンド・オブ・ライフケア;市民と専門家の協働・連携
原著
  • 清水 由美子, 杉澤 秀博
    原稿種別: 原著
    2014 年18 巻1 号 p. 42-50
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,高齢透析患者の食事に関するセルフケアに対する家族支援の影響について,患者の認知する家族支援と家族自身の認知する家族支援の両側面から明らかにすることである.分析対象は,16 の透析医療機関に通院する高齢透析患者とその家族283 組であった.分析モデルは,「患者の認知からみた家族支援」と「家族の認知からみた家族支援」のいずれもが「セルフケア」に対して直接的に影響するとともに,「家族の認知からみた家族支援」は「患者の認知からみた家族支援」を介して「セルフケア」に影響するというものであった.分析には構造方程式モデルを用いた.分析の結果,「患者の認知からみた家族支援」は「セルフケア」に直接的な影響を及ぼすこと,「家族の認知からみた家族支援」は直接的には影響しないが,「患者の認知からみた家族支援」を媒介として間接的に影響することが明らかとなった.患者のセルフケアの推進には,家族がセルフケアを支えるために多くの支援を行っていることを患者が認知できるよう働きかけることが重要であると考えられた.

  • 星野 純子, 堀 容子, 清水 律子
    原稿種別: 原著
    2014 年18 巻1 号 p. 51-59
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,生理学的測定指標を用いた尿中のストレス反応に関連する身体心理的ストレッサーを明らかにすることを目的とした.対象は在宅で要介護3 以上もしくは要介護3 未満でも認知症の者を介護している高齢な女性介護者60 人であった.調査内容は質問紙調査と尿などの生化学的検査であった.ストレス反応はスポット尿中のノルアドレナリン/クレアチニン比を用い,中央値で低値群,高値群として比較検討した.検討した変数は,介護者と要介護者の特性,心身の状態,介護負担であった.対象者60 人の平均年齢と標準偏差は72.0 ± 5.7 歳であった.eGFR を調整変数として投入したロジスティック回帰分析の結果,年齢,eGFR,介護ストレスの有無が選択された.これらを調整した場合のオッズ比は,この順に1.2(95% CI1.1-1.4),1.1(0.996-1.1),4.7(1.3-16.9)であった.生理的ストレス反応の高い女性介護者のストレッサーは,年齢が高い,主観的に介護ストレスがあることであり,支援が必要であると考えられた.

研究
  • 太田 眞智子, 工藤 禎子
    原稿種別: 研究
    2014 年18 巻1 号 p. 60-67
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    「在宅における看護実践自己評価(以下,自己評価)」に関連する要因を明らかにする目的で,北海道内の訪問看護師630 人に自記式質問紙を郵送し,有効回答358 人の分析を行った.自己評価の平均点を各変数のカテゴリー別に算出した.自己評価が有意に高かった人の特性は,看護師のブランクがない,訪問看護経験が5 年以上,介護支援専門員資格保有,仕事にやりがいを感じている,主治医との連携がとれている,職場での学習・業務支援がある,他の訪問看護ステーションとの学習や交流があることであった.

    訪問看護師の自己評価を高めるためには,訪問看護の経験のなかで,家族理解や家族支援技術の強化,介護支援専門員の資格取得などの関連する学習,他の訪問看護ステーションとの学習と交流,主治医等との連携を推進する組織のシステムが重要であることが示唆された.

  • 岩瀬 弘明, 村田 伸, 大田尾 浩, 堀江 淳
    原稿種別: 研究
    2014 年18 巻1 号 p. 68-75
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,地域在住の女性高齢者を対象に,膝痛の有無と床からの立ち上がり動作パターンの特徴について検討することである.方法は,床からの立ち上がり動作パターンを分類し,膝痛の有無別に,上下肢・体幹筋力,柔軟性,静的バランス能力,動的バランス能力を比較した.その結果,膝痛あり群は高這いを経て立ち上がるパターンをとる者が多く,膝痛なし群はしゃがみ位を経て立ち上がる者が多かった.また,膝痛の有無別に身体機能を比較した結果,膝痛をもつ高齢者は,膝痛をもたない高齢者よりも大腿四頭筋筋力が弱く,片足立ち保持時間が短く,Timed Up and Go Test (TUG)が遅かった.これらのことから,膝痛のある高齢者は,膝痛による下肢筋力の低下を補うために,高這いを経由して安全に床から立ち上がることが示唆された.

  • 大﨏 美樹, 萩野 浩
    原稿種別: 研究
    2014 年18 巻1 号 p. 76-82
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,家族介護者による身体的介護を必要とするがん患者の自覚的負担感に関連する要因について明らかにすることである.外来通院がん患者310 人を対象にself-perceived burden scale(SPBS)を用いて質問紙による郵送調査を実施し,分析には重回帰分析を用いた.有効回答者210 人のうち performance status 2 以上の74 人を分析対象とした.自覚的負担感と有意な関連がみられたのは,「罹患年数」(β=- 0.326,p =0.006),「家族の病気への受容」(β= 0.303,p = 0.010),「病気と闘うことへの希望」(β=- 0.285,p =0.015)であり,モデルの28.0%の説明力をもった.がん告知後,早期の段階から,身体状態,精神状態,家族との関係とともに自覚的負担感を評価し,介護者と被介護者の双方への支援を検討することの重要性が示唆された.

資料
  • 山手 美和
    原稿種別: 資料
    2014 年18 巻1 号 p. 83-90
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,在宅で生活する終末期がん患者の主たる家族介護者の介護する力について記述することである.研究協力者は,在宅で終末期がん患者と共に生活する主たる家族介護者9 人であった.半構成面接法によりデータ収集を行い,質的分析を行った.その結果,9 カテゴリー: 《がん患者にとって“よい生活” になるように選択する》《家族介護者にとって後悔のない生活を選択する》 《家族生活の維持と介護を両立できるように調整する》《支えてくれる人がいることを認識できる》《ソーシャル・サポートを活用できる》《がん患者のペースに合わせる》《家族らしい時間を介護の糧にする》《自分の心の安定を保つ》《介護の大変さを客観視できる》が抽出された.家族介護者の介護する力とは,がん患者と家族の両者にとって望ましい生活を選択・調整できること,支援を認識・活用できること,家族らしさを糧にできること,自分の状況を客観視できることであった.

  • 片平 伸子, 井上 智代, 藤川 あや, 平澤 則子
    原稿種別: 資料
    2014 年18 巻1 号 p. 91-98
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は新潟県の訪問看護ステーションにおける災害対策リーフレットを作成することである.

    【方法】県内の全ステーションの管理者を対象とした災害対策の実態調査の結果から,実施して効果があった,あるいは他のステーションに推奨する災害対策を抽出し,KJ 法を参考にまとめたリーフレット案を作成した(1 次調査).調査対象にリーフレット案と質問紙を郵送して評価を依頼し,その結果に基づきリーフレット案を修正した(2 次調査).

    【結果・考察】1 次調査は60 施設より回答があった(回収率62.5%).リーフレット案は「緊急時に必要な個人情報の整備」「避難のシミュレーション」等にまとめられた.2 次調査は46 施設から回答があった(回収率47.9%).肯定的回答が8 割を超えたため掲載内容は案のとおりとし,項目にチェック欄を設け,配色等を修正した.掲載内容の具体化とリーフレットの汎用性については今後も検討が必要である.

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