日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
24 巻, 2 号
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目次
巻頭言
第25回日本在宅ケア学会学術集会
学術集会長講演
特別講演 在宅ケアにおける多職種協働
教育講演1 在宅ケアにおける多職種でかかわる服薬管理
教育講演2 保健医療福祉研究におけるテキストマイニングの活用
シンポジウム "高知家"の提案!災害多発時代における多様な個からの総力戦
総説
  • 清水 恵, 河田 萌生, 大橋 由基, 原田 祐輔, 鈴木 優喜子, 久篠 奈苗, 下田 信明, 尾﨑 章子
    原稿種別: 総説
    2021 年 24 巻 2 号 p. 42-51
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    【目的】在宅療養および施設入居要介護高齢者への栄養士の個別訪問を含む多職種によるケアが,栄養士の個別訪問を含まないケアと比べて有効かシステマティックレビューとメタアナリシスにより評価する.

    【方法】和英文献データベースを用いて2019年1月に検索を行い,①ランダム化比較試験,②対象者が在宅療養中または高齢者施設入居中の65歳以上の要介護高齢者,③介入内容が,多職種ケアのなかに栄養士による対象者への個別訪問を含んでいる,④対照となるケアが,栄養士による対象者への個別訪問を含まない,を適格基準とした文献を評価した.

    【結果】採択研究は6研究であった.メタアナリシスの結果,介入群では,体重の増加または減少防止,栄養摂取状況の改善,生活の質(QOL)の向上が有意であった.しかし,再入院者割合の減少や身体機能の向上への効果は明確でなかった.

    【結論】栄養士の個別訪問を含む多職種によるケアは,栄養状態,栄養摂取状況,QOLの向上に有効であるが,エビデンスは限定的である.

  • 平野 美樹, 眞茅 みゆき
    原稿種別: 総説
    2021 年 24 巻 2 号 p. 52-59
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    背景:心不全患者の在宅療養を継続するうえで介護者は重要な役割を果たし,介護者への支援が課題となっている.介護に対する評価には負担感などの否定的な側面と満足感などの肯定的な側面があり,後者は介護負担感を軽減するが心不全患者の介護者の現状は不明である.

    目的:心不全患者の介護者の介護評価の実態と介入研究の現状を明らかにする.

    方法:心不全患者の介護者に関する原著論文142 編に対してスコーピングレビューを行った.

    結果:介護者は否定的・肯定的な側面双方を経験し,肯定的な側面が介護者の心理状態を改善させた.否定的な側面には心不全の重さや入院回数が影響し,肯定的な側面には急性増悪を来す回数が少ないことなどが影響していた.否定的な側面を軽減する介入は報告されていたが,肯定的な側面を増進する研究はなかった.

    結論:介護に対する肯定的な側面を増進することは在宅療養の質の向上が期待でき,具体的な看護支援の構築が求められる.

研究
  • 小野 一惠, 中谷 久恵
    原稿種別: 研究
    2021 年 24 巻 2 号 p. 60-66
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    研究の目的は,軽度アルツハイマー型認知症(以下,軽度AD)と診断を受けて地域で暮らす高齢者が,暮らしのなかで感じてきた思いの特徴を明らかにすることである.

    軽度ADの高齢者7人を対象に,診断後から1年以内とさらに1年が経過した後に2回の半構造化面接を行い,暮らしで感じている思いをたずねた.分析方法は,語りを質的記述的に分析し,初回と2回目のカテゴリーの同質性と異質性を検討した.

    軽度ADと診断を受けた高齢者の思いの語りから,【認知症になったことを自覚しているが故の苦悩】【家族への一喜一憂する感情】【人付き合いへの不安】【住み慣れた地域での自分らしい暮らしの希望】の4つのカテゴリーが得られた.

    軽度ADの高齢者は,認知症になったことへの苦悩があっても,住み慣れた地域で暮らしたいという思いを1年後も持ち続けていることが推察された.

資料
  • 髙崎 亜沙奈
    原稿種別: 資料
    2021 年 24 巻 2 号 p. 67-73
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    本研究は,特定行為に関する訪問看護師の認識を明らかにすることを目的とした.訪問看護師経験年数5年以上の訪問看護師11人に半構成的面接を行った.修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行い,8つのカテゴリーが形成された.特定行為に関する訪問看護師の認識は,【ひとりの重圧】や【利用者・家族への影響を懸念】する認識が根底にあった.【利用者・家族へ寄り添う看護の探求】や【訪問看護師本来の役割確認】を訪問看護師が大切にしている看護の基盤とし,【救命のための努力】や【医師との関係性への悩み】を経験しながら,【特定行為への期待】や【役割を果たすための覚悟】が表れていた.今後は,特定行為に係る研修体制や法律を整備し,特定行為を引き受けていくことができる体制づくりが必要であると示唆された.

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