農村部の実態を地域包括ケアシステムの観点から分析し、地域で活動する専門職の協働連携のあり方を明らかにすることが目的である。A県で地域包括ケアシステムに携わる関係機関や社会福祉施設で活動している農村部7名の専門職を対象に半構造化質問によるインタビュー調査をおこなった。インタビュー内容を逐語録に起こし、テキストマイニング(KH coder3 windows版)を用いて、抽出語句、対応分析を行い、地域包括ケアシステムで機能していない実態を明らかにした。分析結果から、移動距離の長さや送迎手段の確保が難しく、訪問看護師やケアマネジャーの人員不足に伴い、医療や介護、福祉サービスの維持が困難であることが明らかになった。こうした実態は、地域包括ケアシステムの理念に反すると共に、不足する医療・介護サービスにおける専門職の協働連携を阻むものであり、公助機能の不足が考察された。高齢社会の進展や人口減社会にあっては、不足する専門職連携等の公助機能をIoT等の導入により補強することが急務と示唆された。
精神衛生との関連が指摘される退屈傾向を測る尺度 (Boredom Proneness Scale [BPS]) の日本語版はなく、日本国内で退屈研究はほぼ見られない。日本で退屈研究を立ち上げるため、BPS日本語版を作成し、信頼性と妥当性、その因子構造を確認することを目的とした。小学校1~3年生の父母に、BPS日本語版と他関連項目からなる質問紙への回答をもとめ (有効回答数602名、父母同数)、そのうちの一部に、その約2週間後にBPS日本語版への回答を再度もとめた (有効回答数98名、父母同数)。その結果、Cronbachのαは0.76、再検査信頼係数は0.81と一定の信頼性が確認された。日常の退屈度合いや集中度合いに関する評定値、ADHD (Attention Deficit Hyperactivity Disorder:注意欠如・多動症) 傾向尺度得点との間に有意な相関がみられ (p<0.001)、妥当性も確認された。また、探索的因子分析により2因子構造を確認し、確証的因子分析を行った結果、概ね許容される適合度指標が得られたが、因子を構成する項目が、従来と異なる部分もみられた。最後に退屈観に文化差がある可能性を述べた。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら