高齢者の認知症は、大別すると脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症に分けられる。脳血管性認知症は比較的細い血管があちこちでつまる多発性脳梗塞である。一方、アルツハイマー型認知症はアミロイド-β-タンパク質 (Aβ) が凝集・蓄積し、これが脳神経細胞を破壊する病気である。両疾患の発症には活性酸素が深く関わっている。前者は活性酸素によるLDLの酸化に伴う動脈硬化であり、後者はAβが鉄や銅、亜鉛などと複合体を作り、それが活性酸素を多量に発生させることによる。このメカニズムの重要性は、治療法開発戦略と認知症になりやすい生活習慣あるいはその予防法を見れば納得できる。認知症は生活習慣病といえる面がある。
認知症になりやすい生活習慣として、まずエネルギーの過剰摂取が上げられる。特に、動物性脂肪やアルコールの過剰摂取である。次いで、野菜・果物、抗酸化性ビタミン、B系ビタミン、ミネラルや魚の摂取不足などがあげられ、運動不足や喫煙も危険因子である。
本稿では、生活習慣が認知症の原因になる仕組み、活性酸素とどう関っているのか、予防等について紹介する。
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