日本ヒューマンケア科学会誌
Online ISSN : 2436-0309
Print ISSN : 1882-6962
4 巻, 1 号
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巻頭言
  • ―地域を元気にする食資源の研究―
    松江 一
    原稿種別: 巻頭言
    2011 年 4 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/05/28
    ジャーナル フリー

     日本ヒューマンケア科学学会第3回学術集会のテーマは『食からアプローチするヒューマンケア』と題し、基調講演および公開シンポジウムともに、「地域で、食に関わり、人々を元気づける活動」を地道に続けている人たちに焦点を当てた。それに先立ちヒューマンケアの広汎な分野から11のポスター発表がなされ、コアタイムで活発な質疑が行われた。公開シンポジウムおよび基調講演には、一般市民を含め約200名の参加があり、特に、佐藤初女先生の生物多様性についての講和中、先生が本会の参加者のために「胡瓜の一夜漬け」が振る舞われ、参加者に感動を与えた。

     本稿は公開シンポジウム「地域を元気にする食資源の研究」の内容をもとに投稿したものであり、地域食資源を素材に、全国および世界に学術的成果を発信したい研究者と、地域でその研究を待ち望み、期待し、さらに製品開発などにつなげた人たちとの関わりをまとめたものである。この取り組みは「Think globally,act locally. Think locally,act globally.世界的視野で、考え地域で、行動する。地域で考え世界に目を向けて行動する。」試みであり、このような考え方が益々重要になる事を示している。

総説
  • 高血圧の発症機序と予防、活性酸素との関わり
    嵯峨井 勝
    原稿種別: 総説
    2011 年 4 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/05/28
    ジャーナル フリー

     高血圧は食塩の摂取過多で起こることはよく知られている。これは高濃度ナトリウムにより血液量が増えるので血圧が上ると考えられている。しかし最近、高血圧は血管が酸化ストレスを受けることによるとされてきた。すなわち、血管内皮細胞表面にあるNADPH-オキシダーゼが高濃度ナトリウムで活性化されスーパーオキシド(O2-) を産生し、このO2-が血管内皮細胞で作られ血管弛緩作用を持つ一酸化窒素 (NO) と反応してNOを消すとともに、反応で生じた強力な活性酸素(ONOO-) 類が血管内皮細胞を傷害し、NO合成阻害など内皮細胞機能低下を招くことによるとされる。さらに、レニン-アンジオテンシン系のアンジオテンシンII、アルドステロン、グルコース、インスリンなどもNADPH-オキシダーゼを活性化し、O2-を産生して高血圧を招くというメカニズムが判明してきた。

     こうした事実から、ビタミンC,ビタミンEなどの抗酸化ビタミンや野菜・果物中の抗酸化物質が高血圧予防に有効であることが判明してきた。また、カリウム、カルシウム、マグネシウムもその抗酸化作用等により降圧作用を示す。また、DASH食の基本である動物性脂肪を控えることが降圧に有効な理由も飽和脂肪酸が樹状細胞のTLR4に結合することで炎症を起こし、それに由来する活性酸素が血圧上昇を招く。一方、魚の脂のn-3系脂肪酸は飽和脂肪酸のTLR4への結合を阻害して炎症を抑えるために、高血圧予防に良いとされている。その他、高血圧予防に良い生活習慣、食生活および薬で血圧を下げると老後の自立能力が低下することなどを紹介する。

原著論文
  • ―重症心身障害児に関わる看護師が捉えた母親の状況とその援助―
    山本 美智代
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 4 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/05/28
    ジャーナル フリー

     重症心身障害児に関わる看護師が,在宅で子どもを育てる母親の状況をどのように捉え,その状況に対してどのように関わったのかを明らかにすることを目的に,障害児の専門病院や訪問看護ステーションで働く,臨床経験10年以上の看護師19名にインタビュー調査を実施し,質的帰納的に分析を行った.その結果,看護師は母親が何らかの問題を抱えていても《辛さを口にしない母親》のように見え,その理由として,母親が〈余裕のない生活〉,〈気持ちの閉じ込め〉,〈負担や責任の抱え込み〉のいずれかの状況にあると捉えていた.そして,看護師はそれぞれの状況に応じて〈時間の調整〉,〈あえて関心を向けない関わり〉,〈一歩踏み込んだ関わり〉を行い,母親を援助しようとしていることが明らかになった.考察では,これらの看護師の関わりの意味を検討した.

  • ―原案の開発と試行結果―
    細川 満子
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 4 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/05/28
    ジャーナル フリー

     本研究は訪問看護師の糖尿病ケアの標準化に向けて、高齢者訪問看護における糖尿病ケアのクリテイカルパス(CP) 原案を開発するとともに、その適用可能性について検討することを目的とした。CP原案は縦軸に「血糖値に関する問題の解決」、「薬物管理」、「血糖モニタリング」、「合併症のリスク管理」、「食事」、「身体活動」、「心理社会適応」の7つのケア領域、横軸にケアプロセスを設定した。訪問看護師42名にCP原案を試用してもらいアンケート調査を行った結果、「糖尿病急性合併症の予防の効果」、「必要とされる糖尿病ケアの実施」、「糖尿病ケアの評価への活用」について約70%の訪問看護師が有用であると評価した。一方、「看護記録の記録時間の短縮」11.9%、「ステーションでのCPの活用可能性」28.6%、「他職種との連携の促進」33.3%と評価が低かった。以上のことから、CP原案の試用により糖尿病ケアの有用性は示されたが、CPの項目の精練化、アセスメントおよびケアの頻度、医療機関と訪問看護の役割の明確化の必要性が示唆された。

  • ―下肢水平位での安静時から2時間まで―
    木村 恵美子, 河内 香久子, 下山 良子, 越後 雅子, 小又 恭子
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 4 巻 1 号 p. 41-51
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/05/28
    ジャーナル フリー

    [目的]リンパ浮腫患者へのリンパドレナージ直後の経時的排液効果を明らかにし、要因毎に排液効果の特徴を分析することである。

    [方法]独歩可能なリンパ浮腫患者19人(上肢11人、下肢8人、平均年齢57.3歳±SD8.2)に、スリーブ有(A群)無(B群)の2回、異なる日にリンパドレナージ(以下MLD)を約50分実施し、生体インピーダンス法によるImp値を安静時から施行後2時間まで測定した。

    [結果]排液効果は、A群の四肢において、1・2時間後共に有意(p<0.05)であり、継続的な排液が確認された。一方B群では左上肢のみ1・2時間後共に有意であった。年齢、病期、生活労作、BMI、排尿の有無などの要因別に分析すると有意差はなかった。

    [考察]B群ではMLD実施直後からImp値の変化がなかったことから、セルフドレナージをすることの必要性が示唆され、また弾性着衣は継続的な排液促進を促すことがわかった。

研究報告
  • 山本 加奈子
    原稿種別: 研究報告
    2011 年 4 巻 1 号 p. 52-59
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/05/28
    ジャーナル フリー

     ラオスの医療施設における看護職者が行う筋肉内注射技術の正確性,安全性を保障するため,筋肉内注射技術に関する看護学校での教授内容と医療施設での実践の実態を明らかにすることを目的とした.首都,南部,北部の看護学校における教授内容についての半構成的面接,教書の分析,北部の病院での実践についての半構成的面接,参加観察を行った.結果,基礎教育機関での教授内容は3校とも違っており,教書の内容にも不足があった.病院での実践は,神経損傷防止について看護師の知識にあったにも関わらず,実施されていなかった.また,患者への説明,言葉掛けなしに実施される場面が観察された.看護技術はその目的や実施後の評価,患者への配慮までを含んで教育していく必要がある.また,教育現場と臨床現場で違いがあり双方の技術教育を統一させる必要性が示唆された.

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