日本ヒューマンケア科学会誌
Online ISSN : 2436-0309
Print ISSN : 1882-6962
8 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
総説
  • 中村 祥子, 角濱 春美
    原稿種別: 総説
    2015 年 8 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2022/05/12
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、日本の看護実践における一般の成人・高齢者を対象とした「食欲を引き出す援助」の概念を明らかにし、その活用可能性を検討することである。Rodgers(1989) の手法で概念分析を行った。文献検索の結果得られた36文献から属性、先行要件、帰結を抽出した。結果、先行要件は、『美味しいと感じにくい』、『空腹感を感じにくい』、『自分から食べようとしない』、『食べようという気持ちが続かない』という4カテゴリであった。属性は、『食事前に食べる態勢を整える』、『個別性を考慮した食事の工夫』、『心身を整える』、『自己効力感を引き出す』、『副交感神経に働きかけ快適感を与える』という5カテゴリであった。帰結は、一次的には『食事摂取量の保持・増加』、『自発的な摂食行動がみられる』、『食欲増進の自覚がある』、『食事に対する満足感が得られる』、二次的には『栄養状態の改善』、『治癒促進』、『精神状態の回復』、『自己効力感の向上』、『生活行動の増加』、『活気の向上』、『在院日数の短縮』であった。食欲を引き出すためには、食べ始める前からの援助が必要であり、食への援助より幅広い概念であった。

研究報告
  • 一脳死ドナーケアの発動力が進展するプロセスー
    新田 純子
    原稿種別: 研究報告
    2015 年 8 巻 1 号 p. 11-26
    発行日: 2015年
    公開日: 2022/05/12
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、脳死ドナー家族のケアに焦点を当てて、脳死ドナーをケアする看護師の経験の構造を明らかにすることである。対象は脳死ドナーケアの経験がある看護師7名である。半構成的面接により得られたデータはグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。その結果、経験のコアカテゴリーとして、11のカテゴリーと22のラベルから成る<ケアヘの不確かさと揺らぎに挑む>が抽出された。脳死ドナーをケアする看護師の経験の中核となるものは、ドナ一家族との相互作用を通してあるいは看護師自身の内面で生じるケアヘの不確かさと揺らぎを前提として、それによって生じる認知的不協和を低減しようと能動的に挑戦することである。この経験は、《経験的学習》と《ケアヘの実存的価値づけ》のプロセスから成り、これらの過程を経て獲得した【経験からの学習】と、見出した【ケアの実存的価値づけ】がきっかけとなり、【脳死ドナーケアの発動力の進展】へとケアが発展する。

大会長講演
基調講演
feedback
Top