日本ヒューマンケア科学会誌
Online ISSN : 2436-0309
Print ISSN : 1882-6962
9 巻, 1 号
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原著
  • 中村 祥子, 角濱 春美
    原稿種別: 原著
    2016 年 9 巻 1 号 p. 2-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2022/05/11
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、認知症高齢者ケアのエキスパートに面接することで、自発的な摂食行動を引き出す援助を必要とする認知症高齢者の特性、これに対する食事を促すケア方法とその効果を記述し、概念枠組みを作成することである。研究参加者は、認知症看護領域での経験が6年以上、又は認知症に関係する資格を持つ臨床看護師と認知症高齢者の援助に精通している看護大学教員とした。半構造化面接を行い、得られたデータの内容分析を行い構造化した。この結果、対象特性は認知症の中核症状である健忘などから引き起こされる状態を示していた。ケア方法は、この状態に対応し、食べられない原因の探求を日常的に行い環境や心情を整える援助を行った上で、食事に直接働きかける援助を個別性に合わせて行うこと、さらには、認知症の進行に伴って変化していく状態に沿った援助を行うことであった。ケアの成果は、自発的な摂食行動が引き出される一次的な成果と、これが継続されることで得られる、栄養状態の改善や家族の満足などの二次的な成果が抽出された。

研究報告
  • -脆弱性から考える今後の課題-
    山本 美智代, 中川 薫, 米山 明
    原稿種別: 研究報告
    2016 年 9 巻 1 号 p. 17-32
    発行日: 2016年
    公開日: 2022/05/11
    ジャーナル フリー

    東日本大震災発生当時の首都圏在住の重症心児障碍児者(以下、重症児者)の経験とその割合を明らかにするために、都内医療機関に通院する重症児者の家族を対象に、無記名自記式の配票調査を行い、郵送法にて回収し、116人の分析対象者を得た。分析の結果、大地震発生直後の経験では「停電により、住宅用エレベーターが使えないことで閉じ込められた(15 .4%)」、「公共機関が止まり、ガソリンが不足したため学校や施設に行けなくなった(15.4%)」が最も多かった。発生から1か月~半年の間では、「計画停電の有無がはっきりせずに、生活のスケジュールが立たなくなった(22.4%)」が最も多く、次いで「子どもの食糧や栄養剤が足りなくなった(17.8%)」経験であった。 本研究結果から、災害によって一般の人よりも重症児者が影響を受けやすい理由が社会にあると考えられたことが4つあった。1つ目は日常の社会との関係性が希薄であること、2つ目は生命維持に必要な物資を他者に依存しなければ調達できないこと、3つ目は学校やケア機関が身近なコミュニティーの中にないこと、4つ目は重症児者が重層的なケアを必要とするため、ケア機関が復帰するまでに時間がかかることである。

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