高校生の制服に対する意識をもとに, 今後の被服教育における「着装」の指導の方向性について検討した結果, 以下のような示唆を得た。1.制服校では, 男子は, 「スクール・アイデンティティ(学校らしさ)」や「男らしさ」といった他者から与えられるイメージを, そのまま求め受け入れている傾向があった。また, 女子は「流行」という, 戦略的に創り出すこともできる服装を重視し, 流行にとらわれやすいといった傾向をみることができた。2.自由服校の生徒は, 「自分らしい」着装を心がけていた。これらの生徒の意識をふまえた上で, 自分を表現する手段だけでなく, 自分に合った服装を考えられるような指導が必要である。3.自由服校では, 男子が「高校生らしさ」を否定し異性によく見られようしているのに対し, 女子は「高校生らしさ」を容認し服装における男女差をもっとも嫌っているといったように, 男女がそれぞれ相反する考えをもっていた。4.生徒たちが, 「自分を表現する」ことを学ぶために, 制服の意義や役割を確認するとともに, 「自分らしさ」「高校生らしさ」「男らしさ」「女らしさ」といった服装規範としての概念についてとりあげ, 生徒同士が意見を交わし合うといった授業の工夫ができる。
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