日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
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21 巻 , 1 号
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原著
  • 鈴井 江三子, 大橋 一友
    21 巻 (2007) 1 号 p. 1_6-1_16
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
    本研究は,妊婦の身体感覚と胎児への愛着の関連性を明らかにすることを目的とした。
    対象と方法
    妊婦の身体感覚を客観的に評価するため,第1因子「全身的身体感覚」14項目,第2因子「局所的身体感覚」8項目,第3因子「胎児位置身体感覚」4項目で構成された「妊婦身体感覚尺度」(Somatosensory Scale of Pregnancy; SSOP)(26項目)を作成した。SSOPとMullerの「胎児愛着尺度」を併用して,妊婦健診内容(超音波診断回数,妊婦診察・保健指導実施者と実施時間)の異なる3種類の出産施設において,初産婦390人を対象に調査を実施した。毎回の妊婦健診時に超音波診断を提供する施設を「病院」「助産所あり」,提供しない施設を「助産所なし」とした。
    結 果
    妊婦の胎児位置身体感覚得点は妊娠中期には「病院」に比して「助産所あり」が,妊娠末期には「助産所あり」と「助産所なし」が有意に高い値を示した。胎児愛着得点は妊娠中期,妊娠末期共に病院に比して「助産所なし」が有意に高く,「助産所なし」と「助産所あり」は有意差がなかった。全身的身体感覚得点と局所的身体感覚得点は,妊娠中期,妊娠末期を通じて「病院」,「助産所あり」,「助産所なし」,の3群間に有意差はなかった。また,胎児位置身体感覚得点と胎児愛着得点には有意な相関(p<0.000)があり,相関係数は0.427(妊娠中期0.372,妊娠末期0.323)であった。
    結 論
    妊婦の身体感覚は全身的身体感覚と局所的身体感覚,及び胎児位置身体感覚の3因子があり,この中で胎児位置身体感覚と胎児への愛着にはかなり関連性のあることが明らかになった。
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  • 小川 久貴子, 安達 久美子, 恵美須 文枝
    21 巻 (2007) 1 号 p. 1_17-1_29
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究は,10代女性が妊娠を継続するに至った体験がどのような意味をもっていたのかを探求し,その特徴を明らかにすることである。
    対象と方法
     研究協力の承諾が得られた10代で妊娠した女性8名を対象に,半構成的面接を3~4回(1.妊娠30週以降,2.産褥入院中,3.産後1ヶ月)行った。得られたデータの逐語録を,現象学的研究方法を参考にして質的記述的に分析した。
    結 果
     10代女性が妊娠を継続するに至った体験は,Aは「苦労した生い立ちからの早期脱却と,結婚出来なくても母親になりたいという強い願望」,Bは「過去の中絶の後悔から今回は産むという決意の元,両親の祝福も受けた価値ある妊娠」,Cは「出会い系(IT)で知り合った相手との予定外妊娠に対する困惑と共に,実父の承認を得るための学業への前向きな取り組み」,Dは「過去の中絶の後悔から,今回は義母の猛反対や経済的に困難な状況下でも産むという決意」,Eは「彼の家族との繋がりにより新しい家庭を築く喜びと共に,医療者による中絶や母親役割を前提にした関わりへ反発」,Fは「予定外の妊娠による心身の辛さと共に,合格大学を退学したくないため学業との両立を決意」,Gは「困惑した予定外妊娠にもかかわらず周囲の後押しがあり,友人から疎外された中でも新しい家庭へ希望を抱く」,Hは「過去の中絶の後悔から,猛反対の両家を説得する決意と共に,妊娠や母になるための準備に価値を見出す」であった。また,妊娠継続に至る体験の特徴では『中絶体験の後悔』,『新しい家庭を築く憧れ』,『周囲の受け入れ』,『自分の意志を貫く強さ』,『医療従事者の否定的対応』の5点が明らかになった。
    結 論
     予定外妊娠が多い10代女性は妊娠を継続させるために,学業の両立や家族関係の調整など多面的な体験を多くしており,それぞれに固有の意味が存在していた。また,8例の体験の特徴として,5つの事項を取り出すことが出来た。
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  • 秋月 百合, 藤村 一美
    21 巻 (2007) 1 号 p. 1_30-1_39
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究の目的は,わが国における病院勤務助産師のバーンアウトの実態を明らかにすることである。
    対象と方法
     全国の産科診療を行う72病院に勤務する839人を対象に,自記式質問紙を用いた量的横断的調査を実施した。バーンアウトの測定にはMaslach Burnout Inventry(MBI)尺度を用いた。MBI下位尺度と基本的属性,助産師特性,勤務特性,勤務施設特性,職務満足,仕事継続意向,勤務病棟での働きやすさの認識との関連をみるために,一元配置分散分析,t検定ならびに相関分析を行った。
    結 果
     回収率は87.2%,有効回答数はn=708であった。対象者の平均年齢は35.2歳であった。各下位尺度の平均得点は,「情緒的消耗感」15.67±4.50,「脱人格化」11.89±4.32,「個人的達成感の後退」20.61±4.30であった。婚姻歴,助産・産科看護経験年数,1日勤務時間,月残業時間ならびに有休消化等と情緒的消耗感ならびに脱人格化との間に有意な関連が見られた。職位ならびに勤務形態と個人的達成感の後退との間に有意な関連が見られた。職務満足と個人的達成感の後退の間に,仕事継続意向と情緒的消耗感ならびに個人的達成感の後退との間に負の相関関係があることが明らかになった。
    結 論
     わが国における病院勤務助産師のバーンアウトは,看護師を対象とした先行研究と比較して情緒的消耗感,脱人格化は同様もしくは低い傾向に,個人的達成感の後退においては低い傾向にある可能性が示唆された。因果関係は明確ではないが,仕事満足ならびに仕事継続意向とバーンアウトとの間に関連があることが示唆された。今後,各医療機関において事業場内産業保健スタッフ等による病院勤務助産師へのサポート体制を整備すること,助産師の配置を拡大すること,新人助産師への卒後教育を充実させることの重要性が示唆された。
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資料
  • 灘 久代
    21 巻 (2007) 1 号 p. 1_40-1_51
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
    今日のわれわれ助産師が,助産師としての責務や役割を再認識し,専門職業人として活動できるための示唆を得る。
    対象と方法
    戦前から戦後,開業助産師として活動した助産師の聞き取り調査を平成17年2月~平成18年3月まで行った。そして対象者の時間軸に沿って,ライフヒストリーにまとめた。
    結 果
    開業助産師は,人々に喜びや安心感をもたらすために,確かな助産技術や判断力を持ち,同時に妊産婦のおかれている状況や家庭環境を把握するために,本人のみならず家族との人間関係やつながりを非常に大事にした。そして,常に妊産婦の味方となり,使命感を持って堂々と助産師としての役割を果たしてきた。
    結 論
    助産師には,いつの世においても堂々と責務を果たすために技が必要である。しかし1つひとつの実践は,単なる技に終わるものではない。人間愛や生命への慈しみを持ち,対象者に喜びや安心感をもたらすことも重要である。
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  • 安達 久美子, 小川 久貴子, 恵美須 文枝
    21 巻 (2007) 1 号 p. 1_52-1_59
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     若年母への多様な支援が実施されている北米の支援者を対象に,支援者としての若年母への対応時の姿勢を明らかにすることを目的に調査を行った。
    対象と方法
     若年母への支援にあたり必要な研修を受け,現在若年母への対面支援を行っている専門家の2つのグループに半構成的フォーカスグループインタビューを実施した。質問の内容は,「若年母を支援する際の支援者としての重要な姿勢は何か」とし,得られたインタビュー内容を質的に分析した。
    結 果
     支援者としての若年母への重要な姿勢としては,理念(尊重する,判定をしない,信頼する,若年母の持つ力を信じる),若年母のとらえ方(母である前にティーンエイジャーである,妊娠・出産をネガティブにとらえない),構え(多様な文化・価値観を理解する,真実を伝えること)の3つがあることが明らかになった。これらの背景には,若年母の特徴として,貧困,生育歴の中での不当な扱い,複雑な家族背景,若年で妊娠・出産したことによる社会からの偏見や差別,思春期の若者の特色があることがわかった。
    結 論
     支援者は,若年母の現状や特徴と思春期の若者であることを理解し,自らが若年母を尊重し,肯定的な姿勢で支援をしていくことが必要であることがわかった。
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  • 長島 玲子, 蔵本 美代子, 合田 典子, 酒井 康生
    21 巻 (2007) 1 号 p. 1_60-1_67
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究は骨盤底筋訓練を開始する前の腹圧性尿失禁者の骨盤底の形態学的特徴をシネMRI画像により明らかにすることを目的とする。
    対象および方法
     公募により研究に同意が得られた応募者34名を対象とした。腹圧性尿失禁の鑑別診断には,国際尿禁制学会のパッドテスト及び日本医大方式の簡易診断法を用い,正常群18名と腹圧性尿失禁群(以下失禁群とする)16名を分類した。正常群と失禁群について,シネMRI画像による膀胱頸部の可動性は,弛緩時の膀胱頸部を基準として腹圧負荷時や骨盤底筋収縮時等の動作毎に膀胱頸部の距離変化を測定し,比較検討した。
    結 果
     対象者はすべて腹圧性尿失禁であり,重症度はきわめて軽度から中等度であった。シネMRI画像による膀胱頸部の可動性は,腹圧負荷時と骨盤底筋収縮下腹圧負荷時において失禁群の方が有意に大きかった。背景要因についてみると失禁群の出生児体重は有意に大きかった。その他の要因である平均年齢,職業,BMI,出産回数等については差がなかった。
    結 論
     女性の軽度の腹圧性尿失禁者について,腹圧負荷時の膀胱頸部の可動性が大きい。さらに,骨盤底筋収縮下に腹圧を加えると骨盤底筋群による膀胱頸部を支持する力が弱いことが明らかになった。背景要因については出生児体重にのみ有意差を認めたが,その他の要因には差がなかった。
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その他
  • 國井 修
    21 巻 (2007) 1 号 p. 1_68-1_74
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
  • 水野 真希
    21 巻 (2007) 1 号 p. 1_75-1_82
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     現在,エイズは世界的に流行をみせており,アジアでも蔓延し,その広がりを阻止するための対応は急務である。今回,エイズ感染が著しく蔓延している国の1つであるタイに着目し,エイズ患者の実態を明らかにし,エイズ患者を取り巻く環境と支援活動の現状と課題について探ることを目的とした。
    対象と方法
     バンコク北西に位置する人口約7万人のロップリー町にあるエイズ患者の支援施設であるワット・プラパート・ナンプーに7日間滞在し,支援の実際と観察をとおして研究者が記録したフィールドノート及び現地の2名の職員と3名のボランテイアから同意を得て録音したインタビュー内容と文献レビューやインターネットからの統計資料により分析を試みた。
    結 果
     タイにおける急激なエイズ拡大の要因として,環境・エイズに関する知識不足・文化風習が相互に大きく関与していた。エイズは今世紀の流行病というだけではなく,生活苦→売春→エイズ感染→生活苦という悪循環が起こっていることが示唆された。また,支援者にとって,常にGIVEの意味をわきまえ,独自の人間として患者をありのままに受け止め,尊重することで,各患者にとって最良のケアを提供することができ,同時に,患者からも同じ癒しを受け取ることができるということが示唆された。
    結 論
     今回の検討からエイズ感染拡大の要因には,1,環境因子2,エイズに関する知識不足3,文化風習の3つの要因が相互に大きく関与しており,単にHIV早期発見やエイズ治療薬の開発だけでなく,人々が自分の意思で保健行動の変容が可能になるよう,個人・家族・地域社会と密接に関わり,その人の生活環境を把握するとともに,必要な知識を提供し援助,支援することが重要である。また,ボランテイアやNGOによる保健活動に加え,専門家によるエイズに関する正しい知識と技術の提供を行っていく必要がある。
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