日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
検索
OR
閲覧
検索
21 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
総説
  • 辻 恵子
    21 巻 (2007) 2 号 p. 2_12-2_22
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的

     本研究の目的は,主として欧米で使用されている「shared decision making」の概念を分析し,女性のリプロダクティブ・ヘルスを対象とする助産実践においてこの概念を適用することの可能性を検討することである。
    方 法
     看護学,心理社会学分野の論文を中心に検索し,Rodgers(2000)の概念分析アプローチを参考とし,属性,先行要件,帰結に関する記述の内容を質的に分析した。
    結 果
     shared decision makingの属性は,1)当事者を巻き込むこと,2)相互に影響しあう動的な決定のプロセス,であった。このプロセスでは,コミュニケーション・対話を媒介として双方向の交流を重ね,関係者は選択肢に関する構造化された情報とともに,識別された現状認識や見込み・目標・価値観・嗜好・アイデアを分かち合い,望ましい決定に向け相互に行動し,合意に至る。先行要件は,1)健康の概念の転換疾病構造の変化と対応システムの特性,2)科学技術の進歩と医療の本質的な不確実性,3)医療モデルのパラダイムシフトの必然性,4)当事者を含む関係者の特性と権限の認識,であった。帰結として,1)人々の健康とQOLを最大にすること,2)当事者の内的な変化と成長,3)決定に関する当事者の満足,4)適正な科学技術の使用を含む倫理的な臨床ケア実践,が導かれた。
    結 論
     shared decision makingの概念はケアの方法論として現場で広く導入され,それらの経験的な記述が積み重ねられることにより,さらなる発展の可能性が期待できる。またこの概念は,女性を中心にしたケア(women-centered care)の実践および研究を具体的に支える要素であり,女性を決定の中心に巻き込み,決定プロセスを共有しながら継続的に支援していく際に適用できるものと考える。
    抄録全体を表示
原著
  • 清水 嘉子, 遠藤 俊子, 松原 美和, 松浦 志保, 赤羽 洋子, 宮澤 美知留, 黒田 祐子
    21 巻 (2007) 2 号 p. 2_23-2_35
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     子育て期をより幸福に過ごすための母親自身の工夫とその効果,さらに子育て期をより幸福に過ごすことへの困難について明らかにすることである。
    対象と方法
     A市内在住の乳幼児期の育児をしている母親23人を対象とし,半構成的面接内容に基づいて面接を行ない,データを収集した。分析は面接の内容を逐語録に起こし,質的記述的研究方法により分析を行った。
    結 果
     子育て期をより幸福に過ごすことへの母親の工夫では,“無理をしない範囲での生活の工夫”,“他者からの育児体験のレスポンスと安心”,“時間のコントロールから得る心のゆとり”,“大変なことを乗り越えた自己評価”,“ストレスが報われる実感”,“同居者への依存と感謝”,“子どもとの時間,空間,気持ちの一体感”があった。子育て期をより幸福に過ごすことへの困難では“複合化したストレスからくる疲れとイライラ(ストレス)”,“あれもこれもと思う自分の性分”,“人に任せられない自分がやるという気負い”があった。育児幸福感の母親自身や育児への効果では“癒される”,“思いやりの心”,“育児の原動力”がもたらされていた。
    結 論
     無理をしない範囲での生活の工夫,ポジィティブ思考,他者との交流とくに人の話を聞く,子どもとの時間,空間,気持ちの一体感をもつことなどが子育て期をより幸福に過ごすためにより効果的と考えられる。育児幸福感の頻度を増すことは育児幸福感をより感じることに通じ,さらに家族や子どもを大切にすることに通じていた。また,同居者への依存と感謝やストレスが報われる実感,大変なことを乗り越えた,時間のコントロールから得る心のゆとりなどは母親自身の気の持ち方で母親に変化をもたらし,子育て期をより幸福に過ごすことができると考えられた。
    抄録全体を表示
  • 楠見 由里子, 加納 尚美, 小松 美穂子
    21 巻 (2007) 2 号 p. 2_36-2_45
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     産褥期における腰痛の経日的変化と関連する要因を明らかにすることを目的とした。
    対象と方法
     初産の褥婦を産後1日・5日・1ヵ月の3回追跡し,構造式面接調査およびアンケート調査を実施した。
    結 果
     産後1ヵ月まで追跡できた褥婦67名を分析の対象とした。腰痛保有率は妊娠末期58名(86.6%),産後1日31名(46.3%),産後5日35名(52.2%),産後1ヵ月32名(47.8%)であった。腰痛は産褥早期に5割程度まで有意に減少したが(p<0.001),それ以降の産褥1ヶ月間は有意な減少はないまま腰痛は残存した。
     産後5日の腰痛強度は妊娠中の体重増加量が多いほど強かった(r=0.392, p<0.01)。産後5日の腰痛による日常生活困難度は,分娩期の身体的な困難度(r=0.381, p<0.01),会陰切開・会陰裂傷による日常生活の困難度(r=0.513, p<0.01)が大きいほど大きかった。また産後5日の腰痛保有者は妊娠中に軽労働の就労に従事していたものほど少なかった(p<0.05)。産後1ヵ月の腰痛強度は体重減少率が小さいほど強かった(r=0.336, p<0.01)。
    結 論
     腰痛の多くは産褥早期に減少したが,産後1ヵ月経過してもなお40%以上の褥婦に腰痛が残存した。妊娠中の適正以上の体重増加,分娩による身体的負荷(仰臥位の持続と会陰損傷),産褥期の体重減少率の低さが産褥期の腰痛残存に関連していた。
    抄録全体を表示
  • 米田 昌代
    21 巻 (2007) 2 号 p. 2_46-2_57
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     周産期の死(死産・早期新生児死亡)に対する「望ましいケア」の実態を明らかにするとともに,周産期の死のケアに対する看護者の主観的評価とその評価に関連する要因を明らかにすることを目的とした。
    対象と方法
     北陸で分娩を取り扱っている産科施設に勤務し,周産期の死のケアに関わっている看護者に「望ましいケア」(先行文献より抽出した周産期の死を経験した母親の多くが望むケア)の実施度,周産期の死のケアに対する看護者の主観的評価と評価に関連する要因(【看護者の個人的要因】,【ケア要因】,【環境要因】,【対象要因】)について自己記入式質問紙調査を実施した。今回は評価したケースが5年未満の276名を分析対象とした。
    結 果
     対象の年齢は平均35.5±9.3歳,産科就業年数は平均9.2±7.0年であり,職種は助産師が71.0%を占めた。「望ましいケア」20項目中13項目が70%実施されており,その内,児と家族が過ごせるためのケアは80%以上実施されていたが,退院後の継続的関わり,心理面の専門家やサポートグループの紹介は10%前後しか実施されていなかった。ケア評価は0点から96.8点の範囲で平均47.4±22.1点であり,「望ましいケア」の実施度,関わった時間,知識の多さ(学習経験・知識の程度,知識に対する自己評価),経験の多さ(年齢,産科就業年数,ケアの経験例数)と関連がみられ(r=0.26~0.58, p<.01),職種では助産師,ケア時の役割では受け持ちとしてや管理者として関わった看護者の方が評価が高かった。また,ケア評価は「望ましいケア」の実施度,関わった時間,産科就業年数より影響を受け,4要因で46.4%が説明された。
    結 論
     「望ましいケア」20項目中13項目が70%実施されており,児と家族が過ごせるためのケアは80%以上実施されていたが,退院後のケアの実施については10%前後であった。ケア評価は平均47.4±22.1点であり,「望ましいケア」の実施度,関わった時間,産科就業年数より影響を受けた。
    抄録全体を表示
  • 板谷 裕美, 北川 眞理子
    21 巻 (2007) 2 号 p. 2_58-2_70
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     人工乳がまだ手に入りにくい,昭和の戦後復興期時代に子育てをした女性の母乳哺育体験が,どのようなものであったのかについて明らかにし,記述すること。
    対象と方法
     第1子を1955年以前に出産し母乳哺育体験をもつ健康な高齢女性13名を対象に,自身の母乳哺育体験に関する半構成的面接法を中心としたデータ収集を行った。インタビューは本人の許可を得て録音し,逐語録作成後エスノグラフィーの手法を参考に質的帰納的に分析した。
    結 果
     13人の女性の母乳哺育体験に関する記述データから,4つのカテゴリー;【良好な乳汁分泌と身体性】,【授乳継続への積極的思考と行動】,【他者による母乳哺育への心理社会的関与】,【母親としての肯定的な自己概念の再形成】と,16のサブカテゴリー;〈良好な乳汁分泌状態の継続〉,〈自然な乳汁分泌促進につながるライフスタイル〉,〈授乳継続と避妊効果〉,〈母乳哺育に関する知識や情報の入手〉,〈自律授乳を当たり前とする授乳慣習〉,〈授乳がもたらす快感情の経験〉,〈離乳時期の延長〉,〈母乳哺育に対するゆるぎない価値信念〉,〈自由な授乳を束縛される苦痛と苦悩〉,〈断乳の他者決定〉,〈実母による強力な支援と信頼〉,〈産婆による差異ある授乳支援〉,〈母乳代替を通じた近隣社会の中での助け合い〉,〈母乳哺育に受け継がれる経験知の伝承と遵守〉,〈母乳哺育スキルのスムーズな獲得と母乳育児への自信〉,〈高い母親役割意識の形成発展〉が抽出された。
    結 論
     人工乳がまだ手に入りにくい戦後復興期時代に子育てをした女性は,自身の良好な乳汁分泌を自覚し,他者による母乳哺育への心理社会的関与を受けつつ,授乳継続への積極的思考と行動をとっていた。そして母乳哺育を通して母親としての肯定的な自己概念の再形成をしていた。当時の女性とその家族には,“子どもを育てるには母乳しかない”という意思や信念が強く存在していたことが示唆された。
    抄録全体を表示
資料
  • 田中 和子
    21 巻 (2007) 2 号 p. 2_71-2_76
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     研究目的は産後1か月の母親の育児適応に影響を与える要因を明らかにする。
    対象者および方法
     1か月健診に来院し,研究参加の同意を得られた母親275名を対象に無記名自記式調査票を配布し,調査を実施した。
    結 果
     調査票の全ての回答を得られた母親226名を分析対象とした(有効回答率82.2%)。有効回答者の内訳は,初産婦120名(53.1%),経産婦106名(46.9%)であった。設定した30項目と属性で関連のみられた2項目の32項目を独立変数として強制投入法による重回帰分析を行った。結果,育児適応に明確に関連していた項目が明らかになった。
    1.初産婦の育児適応には『あやすのがつらい』,『育児が楽しい』,『お風呂入れがつらい』,『育児に慣れた』,『気持ちの通じあう人がいる』の5項目が関連していた。重相関係数は,R=0.84であり,調整済み決定係数は,R2=0.59であった(p<0.001)。
    2.経産婦の育児適応には『思うようにしてくれる人がいる』,『赤ちゃんの空腹のサインに早く気づくことができる』,『育児に慣れた』,『夜間子育てを手伝ってくれる人がいる』の4項目が関連していた。重相関係数は,R=0.78であり,調整済み決定係数は,R2=0.43であった(p<0.001)。
    結 論
     育児適応を高めるためには,母親が育児に慣れたと感じられるよう育児技術の支援を早期から行うこと,夜間の育児支援および情緒的サポートが得られるような環境整備の必要性が示唆された。また,赤ちゃんの泣きの対応を支援することが重要であることがわかった。
    抄録全体を表示
  • 藤井 美穂子
    21 巻 (2007) 2 号 p. 2_77-2_86
    公開日: 2008/07/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     双子を持つ母親の退院後1か月間の育児体験を明らかにする
    対象および方法
     研究対象は,平成17年6月下旬から7月上旬にA病院で双子を出産し,子どもが先天性奇形や疾患を有さず子どもと一緒に退院し,研究参加協力が得られた退院後1か月を経過した母親4名である。
     研究方法は,退院から1か月間の双子の育児を振り返ってもらい,印象的だった事象やその時に生じた思いや体験について半構成的面接を行った。得られたデータを逐語録とし,事例ごとに文脈に沿って内容を分析した。
    結 果
     研究参加者である母親は,乳腺炎等の突発的な出来事や2人が同時に泣く,時期をずらして交互に嘔吐する等の双子特有の体験をしていた。経産婦は,前回の出産や育児と比較することで,授乳方法の違いや体の不調を感じながら育児していた。
     また,研究参加者である4名の母親から,病院退院後1か月の育児体験を通して肯定的・否定的な育児への思いを反映する言動がみられた。
     双子の母親は,2人の成長を実感することやそれに応じて直接母乳ができる体験等を通して肯定的な思いを反映する言動がみられた。また,突発的な出来事など入院中に予測できなかった体験を通して,「心配」「不安」等の思いを抱いていた。本研究の参加者は,2人が同時に泣くことにより,自分の時間を作ることや児に対して十分に相手をすることができないことで「かわいそう」等の思いを抱いていた。里帰り中の母親は,退院後1か月頃になると自宅へ帰った後の生活を考え,イメージできないことで否定的な思いを反映する言動がみられた。
    結 論
     双子の母親が退院後1か月間に,2人の成長に気づき対応できる育児体験をしていることや,予想出来なかった出来事やイメージできない育児に対し不安を抱いていることが明らかになった。家族を含めて具体的な双子の生活がイメージできるような情報提供や助産師による入院中からの継続的な支援の必要性が示唆された。
    抄録全体を表示
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top