目 的 睡眠は正常な妊娠経過や胎児の発育にとって重要である。そのため,妊娠初期の妊婦に適切なセルフケアのための知識や助言を提供することが必要である。そこで,本研究は妊娠初期の睡眠や眠気のパターンを明らかにすることを目的とする。また,それらとストレスなどの要因との関係を明らかにすることを目的とする。
方 法 広島県内の2病院の産婦人科外来で妊婦健康診査を受けている妊婦46名から自記式質問紙を回収した。調査期間は2007年4月から2008年1月までである。質問紙は,ピッツバーグ睡眠調査票(PSQI),エップワース眠気尺度(ESS),睡眠日誌,及び知覚されたストレス尺度より構成した。
結 果 PSQI合計得点(PSQIG)は平均6.67(±3.20)であり,65.2%の妊婦がCut off値以上であった。PSQIGはストレスの高い妊婦で有意に高かった(r=0.38, n=46, p<0.01)。PSQIGと就床時刻の規則性には有意な正の相関があり(r=0.40, n=46, p<0.01),規則正しく就床している者ではPSQIG得点が低くなっていた。平均ESS得点は10.1(±4.3)で,50%の妊婦が11点以上であった。また,ESS得点は経産婦よりも初産婦で高かく(un-paired t (44)=2.52, p<0.05),子どもの人数が多いほど得点が低かった(r=0.32, n=46, p<0.05)。眠気時間や昼寝の長さは初経産別で差がなかった。仕事の有無により昼寝時間に差は見られたが(un-paired t (27)=2.27, p<0.05),眠気時間との間には差がなかった。
結 論 本研究により,妊娠初期には同世代の一般女性と比べて,睡眠の質が悪い人や日中に過度の眠気を感じている人が著しく多いことが明らかとなった。また,睡眠の質はストレスのコントロールや,規則正しい就床により高めることができることが示唆された。
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