日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
24 巻 , 2 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
総説
  • 長田 知恵子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 184-195
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究の目的は,授乳期の母子の母乳育児に焦点をあてた既存のアセスメントツールを統合し,特徴および項目内容から構成概念の相違,有用性の視点から検討を行うことである。
    方 法
     母乳育児に関するアセスメントツールについて,国内外の文献をキーワード検索し,Harris(1998)のIntegrative research reviewを参考にコード表を作成した。各ツールの項目内容を質的に吟味した。また,質問内容を因子として内容分析法を用いて分析を行い,各ツールが測定する構成概念を検討した。さらに,検索したアセスメントツールが用いられている研究論文を検索し,Victoria, Kate & Ros et al. (2000)の分類を参考にしてコード表としてまとめた。
    結 果
     授乳期の母子を対象として母乳育児支援を目的に開発され,今回,項目内容まで入手できたのは,国内外合わせて10ツールであった。その内訳は,主に母乳育児全般を観るものや支援者のスキルを評価するものであった。ツールの質問項目は,【母子の心身の状態】【環境】【授乳に向けてのレディネス】【哺育行動】【哺乳後の変化】で構成されていた。なかでも,【哺育行動】に焦点を当てているものが多かったが,乳房の状態,特に乳汁の産生や分泌状態を直接観るものは少なかった。これらのツールを使用した研究は,16文献であった。IBFAT,LATCH等の質問項目が少ないもの,またPIBBSのように早産児を対象にしているなど,他のツールにない特徴を持つものは有効性が高いことが確認された。つまり,有用性のあるツールの特徴は,(1)項目数が少ない,(2)曖昧な表現がなく使用者の誤解を招かない,(3)1文章に1つの問い,(4)対象条件が明白である,ということが示唆された。
    結 論
     現在,母乳育児支援を目的に開発されたツールは,【哺育行動】に焦点を当てているものが多く,乳汁の産生や分泌状態を直接見極めるツールはなかった。
  • 中田 かおり
    2010 年 24 巻 2 号 p. 196-204
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     妊婦の循環動態・体水分バランスの変化と妊娠経過・予後との関連について文献検索と吟味を行い,助産実践における妊娠期の水分管理・水分補給の基礎となる知見を得る。
    対象と方法
     医学中央雑誌web版,PubMed,CINAHL,Cochrane libraryと,国内外の産科学テキストおよび検索された論文の文献リストを用いて文献検索を行った。各データベース登録開始年から2009年8月5日現在に出版された,日本語および英語論文で,妊娠期の循環動態の変動あるいは妊婦の体水分バランスと妊娠経過・予後との関連について論じられた83文献を対象とした。対象文献をレビューし,言語,論文の種類,専門ごとに整理した後,研究内容ごとに分類し,得られた知見を,本文献検討の焦点ごとに統合し,検討した。
    結 果
     妊婦の水分補給・補液の効果として,羊水量の増加を報告した研究論文が複数特定された。しかし,妊娠合併症の予防や治療を目的とした妊婦の水分補給・補液に臨床的な意義を認める研究成果は限られていた。妊婦の水分補給の実態を調査した研究は検索できなかったが,妊婦のカフェイン摂取と妊娠経過への影響と自記式調査票によるカフェイン摂取量把握の妥当性に関する調査は特定された。また,妊婦の循環動態と体液量の測定にはさまざまな方法が検討されているが,妊婦管理の一環として臨床実践に適切と思われる,非侵襲的な方法のみを用いた測定方法は,特定できなかった。今回の文献検討では,妊娠期の水分補給に関する保健指導の臨床的な根拠を示すことはできなかった。
    結 論
     妊婦の水分摂取・補液と羊水量増加との関連,妊婦に推奨する摂取水分の種類を吟味する必要性,生体インピーダンス法を用いた非侵襲的な妊婦の体水分バランス管理の可能性が示唆された。今後,妊娠期の水分摂取の実態とその効果に関する調査,妊娠期に推奨される水分の種類・量の特定,妊婦にとって過度の負担とならない簡便な体水分バランスの測定方法・評価指標の開発が必要である。
原著
  • 中村 幸代, 堀内 成子, 毛利 多恵子, 桃井 雅子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 205-214
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     ブラジル在住のブラジル人妊婦を対象に,冷え症の自覚がある妊婦の体温及び,妊娠中の随伴症状や日常生活行動の特徴の実態を分析する。
    対象と方法
     妊娠20週以降のブラジル在住ブラジル人妊婦200名を対象とし,体温測定と質問紙調査を行った。調査期間は2007年10月から2008年2月である。
    結 果
     1,冷え症の自覚があった妊婦は114名(57%)であった。前額部深部温と足底部深部温の温度較差の平均は,冷え症の自覚がある妊婦は,2.8℃,冷え症の自覚がない妊婦は2.0℃で,2群間に有意差が認められた(p=0.018)。2.冷え症の自覚と冷え症を判断する基準(寺澤,1987)との比較にて,冷え症の自覚がある妊婦のうち,冷え症を判断する基準(寺澤,1987)でも冷え症である妊婦は70.2%であり,冷え症の自覚がない妊婦のうち,89.5%は冷え症を判断する基準(寺澤,1987)でも冷え症ではないと判断できた。3.妊婦の冷え症と随伴症状・日常生活行動との関連性では,「冷えの認識」と「冷えに関連した妊娠に伴う症状」は相互に因果関係は認められなかった。「不規則な生活」は「冷えに関連した妊娠に伴う症状」に正の影響を与えていた(β=0.41, p=0.049)。さらに「不規則な生活」は「冷えに関連した妊娠に伴う症状」を介して「陰性食品の摂取」に正の影響を与えていた(β=0.38, p=0.021)。
    結 論
     1.冷え症の自覚がある妊婦の,前額部深部温と足底部深部温の温度較差は,冷え症の自覚がない妊婦に比べて有意に大きい。冷え症の自覚は,客観指標となる温度較差を反映している。2.冷え症の自覚がない妊婦と,冷え症を判断する基準(寺澤,1987)の一致率は約8割と高かった。3.ブラジル人妊婦は,「深部温温度較差」や「冷えの認識」と,「冷えに関連した妊娠に伴う症状」や「不規則な生活」や「陰性食品の摂取」との間に因果関係はなく,日常生活行動が冷え症に影響を与えない。
  • 新井 香里, 片岡 弥恵子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 215-226
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究は,ケンプ・アセスメントを用いて産褥早期に虐待スクリーニングを実施し,日本の医療施設での実用性について評価することを目的とした。
    方 法
     都市部の1か所の医療施設に入院中の褥婦に対し,ケンプ・アセスメントを用いてインタビュー法にて虐待のスクリーニングを行った。ケンプ・アセスメントは,米国で広く用いられている虐待スクリーニング尺度であるFamily Stress Checklistの日本語版である。10のカテゴリで構成され,評価基準を用いて0点,5点,10点の3段階でスコア化する。得点が高いほどリスクが高いとみなし,合計点数が25点以上で虐待のハイリスク者と判定する。
     ケンプ・アセスメントを用いた虐待スクリーニングの実用性の評価は,スクリーニング方法,スコア化・リスク判定,フォローアップに関して,評価質問紙を用いて行った。本研究は,聖路加看護大学研究倫理審査委員会の承認を受けて実施した(承認番号08-049)。
    結 果
     研究の適格者92名中88名(95.6%)から研究協力が得られ,ケンプ・アセスメントを用いた虐待スクリーニングを行った。ケンプ・アセスメントの合計点数は,10カテゴリ全て「0点」という者が88名中23名(26.1%),平均値は9.8点(SD=9.8)であった。カットオフ値である合計得点25点以上であった8名(10.0%)がハイリスク者と判定された。
     虐待スクリーニングのインタビューは,ほとんどの協力者に対して想定していた時期に実施できた。場所に関しては全てがよいと回答した。所要時間は25分から77分であり,40分以上が約半数であったが,負担と感じていたのは20.5%だった。60.0%以上がインタビューにより不安が緩和した,フォローアップにて提供した情報が役立つと回答した。ハイリスク者に対するフォローアップとしては,スクリーニングによって得られた背景的な問題や詳細状況を用いて担当助産師と相談の上,地域の保健所等と連携することができた。
    結 論
     ケンプ・アセスメントの実施評価から,スクリーニングによる協力者への害はほとんどなく,肯定的意見が多数得られた。さらに,スクリーニングによって多くのハイリスク者を継続支援へつなげることができた。ケンプ・アセスメントのスコア化の複雑さや退院後の継続支援検討,信頼性・妥当性の確保は課題であるが,ケンプ・アセスメントの産褥早期での実用の可能性が示唆された。
  • 高木 静代, 小林 康江
    2010 年 24 巻 2 号 p. 227-237
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究の目的は,助産師が中期中絶を受ける女性のケアに携わることに対して感じる困難を明らかにし,記述することである。
    対象と方法
     胎児異常を理由とした中期中絶ケアの経験のある2年目以上10年目未満の助産師9名から,半構成的面接によってデータを得た。データを逐語録に起こしデータを理解した上で,困難についての語りの内容を抽出し,コード化を行った。さらに,コード間の類似性と相違性の比較や,データとの比較を行いながらサブカテゴリー,カテゴリーへと抽象化した。
    結 果
     助産師が中期中絶のケアに携わることに対して感じる困難は,4つのカテゴリーから構成されていた。助産師にとって中期中絶は,人工的に命が淘汰されることであり,亡くなりゆく命を目の当たりにするという受け入れがたい体験であり《絶たれる命に対する苦悩》を感じていた。また,助産師は母親がどのようなケアを望んでいるかが分からず,ケアに迷いが生じていた。これは,十分なケアが行えていないもどかしさを感じるが,一方では十分なケアを行えるだけの余裕もなく,《ケアに対する不全感》を招いていた。また,母親への違和感や,母親から感じ取る近づきにくさは,母親と関わることへのためらいとなり,《母親との関係性の築きにくさ》となった。助産師である自分が,子どもの人工的な死に加担することを役割として認めることができず,助産師自身がどう対応するべきかという戸惑いとなり《ケア提供者になりきれない》と感じ,ケア役割を遂行できないと認識していた。
    結 論
     中期中絶のケアに携わる助産師の困難は,人工的に命が絶たれることへの苦悩や,ケアすることに対して感じる不全感,さらには母親へのケアを行うという関係性の築きにくさや,助産師としてケアを行うという役割に徹することができないという4つから構成されていることが明らかとなった。
  • 千葉 邦子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 238-251
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     助産師が認識する妊産褥婦に対する助産師からのネガティブサポート(以下NS)とはどのようなものか,NSに関連する要因は何か,NSの結果どのようなことが生じたかを明らかにする。
    対象と方法
     病院勤務助産師9名に半構成的面接を実施した。NSに関連した語りを意味内容ごとに切片化しコーディング,カテゴリー化を図り,ラベル,サブカテゴリー,カテゴリーを作成した。
    結 果
     NSを特徴づける属性は,《NSとなった助産師の言動》《NSを受けた対象者の反応》の2つのカテゴリーで構成された。また,NSに関連する要因は,《人的要因》《環境要因》《システム要因》の3つのカテゴリーで構成された。《人的要因》には,【対象者の特性】【助産師の特性】【コミュニケーション】の3つのサブカテゴリー,《環境要因》には,【人的環境】【労働環境】の2つのサブカテゴリー,《システム要因》には,【病院・病棟のシステム】の1つのサブカテゴリーが見出された。さらに,NS後の帰結は,《NS後の受け止め方とその後の対応》《NS体験を通して助産師が得たもの》という2つのカテゴリーで構成された。《NS後の受け止め方とその後の対応》には,【NSに気づいた後の助産師の気持ち】【NSに気づいた後の助産師の対応】【NS後の病院・病棟の対応】【NSへの対応後の対象者の反応】の4つのサブカテゴリー,《NS体験を通して助産師が得たもの》には,【助産師としてケアすることへの意識の高まり】【助産師自身のアイデンティティの高まり】【NSに対する意味づけ】【助産師に残る未解決の思い】の4つのサブカテゴリーが見出された。
    結 論
     身体的・精神的に不安定な状態にある妊産褥婦を支援する際は,まず相手に対して興味を抱き,尊重し,思いやりの心を持って相手の立場で物事を考えることの重要性が示唆された。また,相手の意思を確認しながら「なぜ」それが必要なのか内容を吟味して伝えること,相手の様々なサインをありがたいものとして受け入れること,コミュニケーションのあり方について振り返る時間を持つこと,自分の失敗経験を活用していくことの重要性が示唆された。
  • Mie SHIRAISHI, Megumi HARUNA, Masayo MATSUZAKI, Erika OTA, Ryoko MURAY ...
    2010 年 24 巻 2 号 p. 252-260
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    妊娠中の血漿総ホモシステイン値と朝食欠食の関連
    白石三恵1,春名めぐみ1,松崎政代1,大田えりか1,村山陵子1,佐々木敏2,村嶋幸代3
    1東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻母性看護学・助産学分野
    2東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻社会予防疫学分野
    3東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻地域看護学分野
    目 的
     妊娠期の朝食欠食は,胎児成長や妊娠合併症予防に必要とされている葉酸やビタミン類の摂取不足を導く可能性が高いことが指摘されている。主に葉酸やビタミンB12の不足によって生じるホモシステイン高値は,子宮内胎児発育遅延や妊娠高血圧症候群の発症に関連しており,ホモシステイン値を増加させない生活習慣を持つことは重要である。本研究は,妊娠中の朝食欠食が栄養素摂取量や血液中の総ホモシステイン(tHcy)値,葉酸値,ビタミンB12値に関連しているかを明らかにすることを目的とした。
    方 法
     埼玉県の産婦人科クリニックで妊婦健診を受診する妊娠初期から末期の254名を対象とした調査を2008年6月から12月に実施した。栄養素摂取量は,自記式食事歴法質問票を用いて評価し,各栄養素の測定誤差を排除するために密度法によって示した。質問紙調査と同時に血液を採取し,血漿tHcy値,血清葉酸値,血清ビタミンB12値を測定した。本研究では,朝食欠食を「週に2回以上,主食を含む朝食を摂取しないこと」と定義した。
    結 果
     30%の妊婦が朝食欠食習慣を有していた。初産婦は,経産婦に比べ朝食欠食習慣を持つ者が多かった(p=0.005)。交酪要因調整後も,朝食欠食者では有意に血漿tHcy高値に関連していた(p=0.024)。しかし,血清葉酸値やビタミンB12値,エネルギー調整した葉酸・ビタミンB12摂取量には,朝食摂取の有無による有意差は見られなかった。
    結 論
     本研究では,朝食欠食に関連する要因が血漿tHcy値の上昇を導く一因となっている可能性が示された。しかしながら,仮説に反して,血漿tHcy高値と朝食欠食との関係を血清葉酸や血清ビタミンB12の低値によって説明することはできなかった。妊娠合併症の発症に関連する血漿tHcy高値を予防するためには,朝食を習慣的に摂取するための工夫を妊婦とともに考え,朝食の摂取を推奨する必要があるかもしれない。
  • 清水 嘉子, 関水 しのぶ, 遠藤 俊子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 261-270
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究では,臨床での汎用性を高めるため,清水,関水,遠藤他(2007)が開発した多面的な育児幸福感を捉えるCHS(Child-care Happiness Scale)の短縮版を作成し,その信頼性と妥当性の検討を行った。
    対象と方法
     6歳以下の乳幼児を持つ母親を対象に,CHSの育児の中で感じる幸せな気持ちが生じる様々な場面についての41項目を,5段階で評価を求めた。併せてCHS短縮版の妥当性の確認のため,心理的健康を測定する「主観的幸福感」と「ベック絶望感」の回答も求めた。
    結 果
     有効回答672名であった。短縮版の項目を選定するために,CHSの41項目の回答について因子分析を行い,「育児の喜び」,「子どもとの絆」,「夫への感謝」の3因子からなる13項目を選定した。3つの因子のそれぞれの項目の内的整合性を表すα係数は,0.77~0.86と充分な値が得られた。CHS短縮版と主観的幸福感との間には,有意な正の相関があった。一方,ベック絶望感とは,有意な負の相関があった。また,「育児の喜び」と「子どもの絆」は母親年齢が高くなると低下する傾向が,一方「夫への感謝」は末子年齢が4歳以上よりも1歳以下の母親の方が高く,また1人っ子の母親が最も低くかった。
    結 論
     考察では,CHS短縮版とオリジナルCHSとの違いやその実用性,そして今後の問題ついて議論した。CHS短縮版は心理的健康との関連性が示唆された。CHS短縮版はコンパクトとなったので,個々の母親の育児幸福感の様子を表すプロフィールを母親自身にすぐフィードバックすることができ,母親たちが自分の子育てに対する気持ちを振り返る資料として今後役立てられることが期待できる。
  • 塩澤 綾乃, 清水 嘉子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 271-283
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     マダガスカル共和国における伝統的産婆(Traditional Birth Attendants,以下TBAとする)の世話に対する認識,世話を受ける女性の受け止めを明らかにする。
    対象と方法
     マダガスカル共和国アンチラベ市郊外のA村に研究者が2ヶ月間滞在し,現在活動しているTBA4名,TBAより現在または過去に世話を受けている女性11名に対し,TBAの世話の内容と世話に対する考え,世話を受ける女性の受け止めに関する半構成的面接を行った。さらに,1名のTBAに同行し世話の場面の参加観察を行った。得られたデータは質的に分析を行い,分類し検討した。
    結 果
     TBAは妊娠中の世話,分娩時の世話,産後の世話を行っていた。世話に対するTBAの考えでは,子どもの位置を確認,お産を早く進める,褥婦が寒さを感じることが大切などがあった。TBAより世話を受けた女性の受け止めでは,疲れが取れる,お産についてよく知っていて頼りになった,分娩時に力を貸してくれるなどであったが,一方でTBAは何もしないと受け止めていた。TBAの世話に対する考えと女性の受け止めでは,語られた内容の半数に認識の差異があった。認識の差異には母親が分娩中の世話を記憶していないこと,TBAの指導は経験や言い伝えを基にしており,具体性に欠け内容が薄いことなどが影響していると考えられた。
    結 論 TBAのドゥーラとしての役割は女性に評価されており世話の必要性は高い。その役割を継続することに加え,世話の課題として,女性のニーズに対応した世話ができるよう知識を補う必要があると考えられた。そのためには,地域の助産師が専門職者としてのプライドという垣根を越えて,TBAの世話や考え方を理解した上で,研修を開催するなどの具体的な行動が期待される。
  • 飯田 真理子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 284-293
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究の目的は,医療者が妊娠中の女性に対して行う女性を中心としたケア(Women-Centered Care: WCC)を,ケアの受け手である女性がどのように認識したかを測定する女性を中心としたケア—妊娠期尺度(WCC-pregnancy尺度:WCC-preg尺度)を作成し,その妥当性と信頼性を検討することである。
    対象と方法
     本研究の対象者は研究協力施設にて出産をし,入院中の女性である。
     WCC-preg尺度は文献検討とインタビューを基に作成し,もとは60項目から構成された尺度である。回答は5段階リッカート尺度であり,得点が高いほどWCCの認識が高いことを示す。妥当性の検討のために用いた測定用具は,母親の愛着質問紙(MAQ)と出産時のコントロール感尺度(LAS)であり,妊婦健診時の満足度に関しては10段階で評価してもらった。
     研究の第1段階は妥当性,内的整合性の検討を行い,第2段階では安定性を検討した。第1段階では質問紙を13施設591名に配布し,回収できた500名のうち482名を分析対象とした。第2段階では1施設100名に配布し,1次調査と2次調査の両方の回答が得られた60名を分析対象とした。
    結 果
     表面妥当性の検討によりWCC-preg尺度は50項目となった。そして因子分析を行った結果,次の6つの要素:【励まし】【尊重】【医療者への信用】【良好な相互作用】【意思決定への支援】【負担が少ない】が抽出され,構成概念妥当性は支持された。基準関連妥当性の検討では,WCC-preg尺度とMAQは弱い(r=0.22, p=0.00)関連があり,LASとは中程度(r=0.48, p=0.00)関連があり,妊婦健診時の満足度とは強い(r=0.79, p=0.00)関連があるという結果であった。これらのことから基準関連妥当性は確認できた。
     内的整合性に関しては,クロンバックのα係数は0.98であり,WCC-preg尺度は高い内的整合性を示した。安定性に関しては1次調査と2次調査の相関係数は0.55であり,安定性にやや課題が残った。
    結 論
     本研究ではWCC-preg尺度を開発し,その妥当性と信頼性の検討を行った。その結果,尺度の妥当性は確認できた。信頼性に関しては,安定性に課題が残されたものの,高い内的整合性があることが確認できた。
  • 山本 由香
    2010 年 24 巻 2 号 p. 294-306
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     島外出産をする女性へのケアを助産師がどのように認識し,実践しているのか明らかにする。
    対象と方法
     エスノグラフィー的アプローチを用いた。主要情報提供者6名:島内の出産施設で働く助産師,二次的情報提供者38名:島外出産をする女性とその家族,島内の病院に勤務する産科医師,保健所に勤務する保健師,島外出産の経験をもつ育児中の女性,本土の出産病院に勤務する助産師ならびに島外出産をする女性の多くが利用する宿泊施設に従事するスタッフに対して,参加観察やインタビューを実施した。
    結 果
     島外出産をする女性へ助産師が行うケアの認識と実践を分析した結果,本土で過ごす期間を視野に入れて行う産前のケアと本土の出産状況と切り離された産後のケアが見出された。産前のケアでは,島外出産をする女性が余儀なく本土で独居生活をすることにより分娩への不安や恐怖が増幅しやすい状況になることや,生活環境の変化により栄養管理などが困難になることを助産師は認識していた。その中で,産む力を発揮できるような女性の心身の環境を整えるケアに努めていることが見出された。また,産後のケアでは,妊娠から産褥までの連続性を絶たざるを得ない現状の中で,助産師には島外出産をした女性の島に戻ってきてからのケアが,島内出産をした女性のケアに比べ充実していないという認識があった。しかし,充実していない中にもやりくりして,女性との結びつきを得ていることが見出された。
    結 論
     島本土間の生活環境を移動する母子が,妊娠期から育児期まで,その時期を安全に安心して過ごせるように,ケアの調整が必要なものとして次の3点が見出された。
    1 )分娩への不安や恐怖が増幅しやすい状況にあることを認識したケア
    2 )本土生活という生活環境の変化に対応するケア
    3 )地域に戻ってきた褥婦に対して専門家の手の離れたところで育児が開始されることを認識したケア
  • 渡邊 知佳子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 307-321
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究の目的は,自ら不妊治療を終結した女性の体験を記述することで,治療の終結に至るまでの当事者の思いや考え,また終結の決断に何がどのように影響していたのか,具体的な事象を明らかにすることである。
    対象と方法
     本研究は不妊治療を終結した女性の「語り(ナラティヴ)」を聞き取り,彼らの視点で解釈する方法としてライフストーリー研究を用いた。研究参加者は過去に生殖補助医療を受け,現在は不妊治療を終結している女性4名である。データ収集は,不妊治療を考え始めた時から終結において,どのような出来事があり,その時どのような思いや考えがあったのかを自由に語ってもらった。分析は,事象及びその時の思いや考えの繋がりを考慮しながら一つのまとまりのあるエピソードを抽出し,ストーリーを導き出した。
    結 果
     Aさんは治療10年目にして初めて妊娠反応が陽性となるが,それが掻爬の必要も無い流産だったため自信を失い,自分には出産は無理かもしれない,でも子どもを諦められないと葛藤する。そして,誰ももっと頑張れとは言わない治療の最終段階へ到達したと感じて,最後の治療と宣言して臨む。Bさんは月経不順や子宮の痛みから年齢的な限界を意識するが,夫や実母のための不妊治療ゆえに自らやめるとは口に出来なかった。夫の引導によってようやく終結が決断でき,肩の荷をおろす。CさんもBさんと同様に夫からの促しによって治療を終結したが,Cさんは終結後の喪失感が大きく,治療への未練を感じながら里親になることへと方向転換をしていった。Dさんは習慣性流産の原因が判明しなかったことや,掻爬を繰り返したことでこれ以上は身体がもたないと認識し,治療の終結を決断していた。
    結 論
     研究参加者は,生殖機能の衰えの自覚や,先端医療技術でも解決できない問題であると悟ること,そして,子どもができない自分をありのまま認めてくれるという他者からの承認によって,自己を受容することが可能になり,治療終結の一歩を踏み出していた。
資料
  • 福丸 洋子, 落合 亮太, 松坂 充子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 322-332
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     継続事例実習で助産師学生に受け持たれた女性の学生実習に対する思いとその変化を明らかにする。
    対象と方法
     継続事例実習で助産師学生に受け持たれた女性10名に半構造化面接を行い,Grounded Theory Approachの手法を用いて分析を行った。
    結 果
     助産師学生に受け持たれた女性の思いは,学生実習依頼を受けた時・妊娠期・分娩期・産褥期の各段階で明確に異なっていた。対象者は,1. 〈学生実習の依頼を受けた時の思い〉として,〔勉強している学生に協力したいと思って受け持ちを承諾した〕,〔学生に受け持たれることでメリットがあるかもしれないと思って受け持ちを承諾した〕という思いを抱いていた。2. 〈妊娠期の思い〉としては,〔保健相談がとても勉強になった〕,〔学生に受け持たれて周囲の人の態度が変化した〕などの学生実習のメリットが多く語られる一方で,〔手技にはたどたどしいところもあった〕との声も聞かれた。3. 〈分娩期の思い〉としては,自然分娩を経験した対象者からは〔学生が内診や分娩介助を行うことは驚いたが受け入れられた〕などの声が聞かれた。また,帝王切開を経験した対象者からは,〔学生の勉強にならず申し訳なかった〕との声も聞かれた。4. 〈産褥期の思い〉としては,〔学生を頼もしく感じるようになった〕などの思いが語られ,全ての対象者が学生に対して一定の信頼を寄せていた。5. 〈実習全体についての思い〉としては,全ての対象者が〔学生だけでなく多くの人が関わってくれてよかった〕と肯定的に評価していた。6. 〈実習の進行に伴う学生に対する思いの変化〉については,〔徐々に自然な形で打ち解けていった〕と語る対象者と,〔不安と信頼感が比例していった〕と語る対象者の2つの特徴的なパターンが見られた。
    結 論
     本研究の結果から,妊娠期・産褥期のケア技術の習得,助産師学生が分娩介助を行うことに関する事前説明などの必要性が示唆された。
  • 小倉 由紀子, 北川 眞理子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 333-344
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究の目的は,家庭での性教育における親の果たすべき役割を親子双方の視点から明らかにすることである。
    研究参加者と方法
     研究参加者は,A県下M市内中学校1年生から3年生の親子の中から,10組21名を抽出し文書で通知,その後電話で研究の説明をおこない内諾が得られたものとした。親が10名、子どもが11名で、親子別々に家庭での性教育実施における親の果たすべき役割について非構成化面接を行い,データ収集を行った。得られたデータを質的に記述し分析を行った。
    結 果
     家庭での性教育実施における親の果たすべき役割について11カテゴリーが抽出された。その中で、親が考える家庭での性教育における親の果たすべき役割は、【学校教育での性教育の内容を知る】【学校教育との連携をはかる】【性の相談に対応し知恵を伝授する】【子どもの成長発達を受け止める】【正しい性知識を伝える】【親子の関係性を調整する】【性情報の氾濫に対応する】【夫婦の関係を円満にする】の8カテゴリーが抽出された。また子どもが考える家庭での性教育における親の果たすべき役割は、【子どもが望む性教育実現への支援】【子どもの求める性問題へ介入する】【家庭環境を調整する】の3カテゴリーが明確となった。
    結 論
     本研究より,家庭での性教育における親の果たすべき役割は,知識だけではなく経験の中での知恵や細かい実践部分での対応に関連していた。子どもと親との関係において,どれくらい親が子どもに向き合い子どもにとって話しやすい相手であることかが重要であった。
  • 北川 良子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 345-357
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究の目的は,病院に勤務する助産師が,妊娠・出産・育児をしながら就業を継続していくために必要な要因について明らかにすることである。
    対象と方法
     産科・産婦人科を標榜している336の病院に勤務する,妊娠中もしくは0歳から小学校卒業までの子どもを養育している助産師1,469名を対象に,郵送法による無記名自記式質問紙を用いた量的横断的記述研究である。調査内容は,属性,対象者の健康状態,家族・家庭環境,子ども・保育環境,職場環境,仕事意欲等である。分析方法は各調査項目と『今までの就業継続状況(就業継続群と一時離職群)』『今後の就業継続予定(継続希望群と退職考慮群)』との関連を検討した。
    結 果
     調査票の回収数は986部(回収率は67.1%)であり,有効回答数は951(有効回答率96.5%)であった。対象者の平均年齢は36.8±5.2歳,子どもの平均人数は1.96人で2人が一番多かった。仕事意欲測定尺度得点の平均値は58.7±8.6であった。『今までの就業継続状況』と実父母・義父母の理解・協力の間に有意差が多く見られた。『今後の就業継続予定』では家族の協力・理解との間に有意差はほとんど認められず,職場環境要因の職場の働きやすさ・仕事と育児の両立しやすさ,上司の理解,モデルとなる助産師の存在において有意差が認められた。
    結 論
     病院に勤務する助産師が,妊娠・出産・育児をしながら就業を継続していくために重要な要因は,助産師本人の高い仕事意欲と家族の理解・協力を前提に,育児と仕事の両立しやすい職場環境と上司の理解が就業継続を決定付ける上で重要な要因であることが示唆された。
  • Nao ARAKI
    2010 年 24 巻 2 号 p. 358-365
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    胎児異常を診断された妊婦の経験に関する文献レヴュー
    荒木奈緒
    北海道大学大学院保健科学研究院
    目 的
     本研究の目的は,胎児異常を診断され妊娠を継続している妊婦の妊娠中の経験に関する国内国外の文献とその知見を整理し,妊婦支援に向けて今後取り組むべき課題について分析することである。
    方 法
     PubMed,PsycINFO,CINAHL,医学中央雑誌刊行会「医中誌WEB」をデータベースとし(収載:1998年~2009年),キーワード,prenatal diagnosis(出生前診断),fetal abnormality(胎児異常)をともに含む国内・国外の原著論文を検索した。この中から,胎児異常を診断された妊婦の妊娠期の心理・経験の本質を質的に探究・分析した12文献(国内文献4件・国外文献8件)を分析対象とし,各々の文献について対象,研究方法,結果を整理し,これまでに明らかにされている胎児異常を診断された妊婦の経験がどのような心理的枠組みから明らかにされているかを検討した。
    結 果
     12文献の分析の結果,胎児異常を診断された妊婦の経験には,1)悲嘆,2)ジレンマ,3)不確かさ,4)愛着,5)孤立の5つの枠組みが存在した。胎児異常を診断された妊婦の経験は1つの枠組みでは説明することは難しく,複雑に融合していることが明らかとなった。また,妊婦の経験を個人にとっての意味から探求する研究が中心的であるが,経験の構造を社会との関係性から明らかにすることも試みられていた。
    結 論
     胎児異常を診断された妊婦の経験は5つの枠組みの融合であることが示され,「悲しみの中にある人」にとどまらないという経験の本質が描き出された。しかし,これらの経験の何が生活者である妊婦にとって解決すべき問題となるのか,その問題の解決のために看護は何ができるのかについては十分に明らかにされていない。今後は,その経験が妊婦の人生や社会・生活の中の何に起因して起こっているのか,妊婦にとって解決すべき事柄は何であるのかという視点から理解し検討することが必要である。
  • 我部山 キヨ子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 366-374
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     助産師が行っている超音波検査の実態,助産師の認識,必要な教育を調べた。
    対象と方法
     インターネット上で検索した助産師外来を設けている病院・診療所67施設と,有床の助産所81施設の助産師(n=794)に無記名質問紙調査を実施した。
    結 果
    1 )助産師が超音波検査を実施している施設は,実施していない施設よりも分娩件数に差はなかったが,助産師数と医師数は有意に少なかった。
    2 )超音波検査を実施している助産師(実施群)は実施していない助産師(未実施群)よりも,年齢は有意に高く,経験年数は有意に長かった。
    3 )実施群では,76.4%が「助産師が超音波検査を行うことに妊産褥婦や家族は満足すると思う」,64.9%が「超音波検査は助産師業務の範囲内だと思う」と答え,肯定的に評価した。
    4 )助産師が超音波検査を行う利点は,実施群では「コミュニケーション手段に有効」「妊婦や家族の胎児への関心を引き出す」「胎児の発育・異常の判断に有効」「医師よりも多くの時間がかけられる」が有意に高率で,欠点は未実施群では「医師との診断の相違の可能性」「業務負担」が有意に高率であった。
    5 )異常所見が見られた場合の助産師の説明については,「正常逸脱の可能性は伝えるがその診断名は伝えない」が8割前後を占めた。
    6 )超音波検査の教育はほぼ100%が必要と答え,教育方法では「院内教育」が8割と多かった。教育内容は「操作方法の講義・実習」「画像診断の講義・実習」などの実践に即した教育を望んでいた。
    結 論
     医師および助産師が少ない施設においては両者の役割分担が進み,助産師による超音波検査の実施が進行していることから,超音波教育体制や異常所見時の相談体制の整備の必要性が示唆された。
  • 吉野 都, 江藤 宏美
    2010 年 24 巻 2 号 p. 375-385
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     助産師によるBreast Awareness支援のプログラム開発過程と実施事例,プロセス評価を記述する。
    方 法
     評価研究。ヘルスプロモーションの概念を基盤としたプログラム開発のモデルを参考に,助産師による乳がんの正しい情報提供を中心としたBreast Awareness支援のプログラムを作成した。ヘルスプロモーションのプログラムには,ニーズアセスメントから結果評価まで一連のサイクルがあるが,本研究では,その一部であるニーズアセスメント,プログラムの計画と実行から,プロセス評価を試み記述した。対象者は,成人女性,特に卒乳を視野に入れている児が1歳前後の母親10名とした。プログラムは,参加者5名ずつ,2回実施した。
    結 果
     ニーズアセスメントにて,乳がんの健康問題の分析を行い,寄与リスクファクター(前提要因,実現要因,強化要因)を明確にし,プログラムの要素を抽出した。プログラム計画では,プログラムの目的,サブ目標,戦略目標,参加者の目標を示し,目標達成のためのプログラム実行の具体案を選定した。
     上記のプログラム計画の過程で,参加者の目標(1)乳房が大切なものだと考える,(2)乳がんの正しい情報を得る,(3)Breast Awareness の啓発がなされる,を選定した。ニーズアセスメントで抽出したプログラムの要素から,プログラム内容をBreast Awarenessの5つのコード(1) 自分の乳房を知る,2) 乳房を見て感じる,3) 乳房の変化に気づく,4) 変化を感じたら敏速に医療機関にかかる,5) 40歳から乳がん検診を受ける:National Health Service, United Kingdom)を中心に,参加型のグループワークを実施した。プログラム実施後のプロセス評価を基に,プログラムの一部を修正し提示した。
    考 察
     プログラムと評価がサイクルであるヘルスプロモーションの基盤に沿ったプログラム開発の戦略的意義,助産師によるBreast Awareness 支援の重要な要素と今後の検討課題,women's health care として助産師が乳がん啓発のためにとりくむための助産実践への示唆,以上3点の重要性が確認された。
  • 宮本 雅子, 赤井 由紀子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 386-397
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/07
    ジャーナル フリー
    目 的
     フリースタイル分娩の施設内導入を推進するために,フリースタイル分娩の導入施設および未導入施設の勤務助産師の推進に対する考え方と,導入への問題点を明らかにすることを目的とする。
    対象と方法
     フリースタイル分娩の導入施設16施設,未導入施設20施設の病院勤務助産師367人を対象とし,自記式質問紙調査を実施した。調査内容は,年齢や経験年数,現施設での経験年数,フリースタイル分娩の実施の程度・経験,促進・導入意思,フリースタイル分娩による産婦・胎児の状態および分娩進行状況,分娩環境や産科的な医療介入等への考えを12項目,助産技術への不安である。両施設の助産師の認識の差や共通する因子,関連性の高い因子に関して相関分析,差の検定には,順位データに対してMann-Whitney U test,Kruskal-Wallis testを実施した。
    結 果
     導入施設において,フリースタイル分娩を128人(65.6%)の助産師が実施している。また,未導入施設の助産師の160人(93.0%)がフリースタイル分娩を良いと考えている。しかし,導入意思があるのは128人(74.5%)であり,導入施設では促進意思が166人(85.5%)に留まった。導入施設において,フリースタイル分娩を行う上で最も問題となるのは「助産技術:37人(34.9%)」であり,未導入施設では「医師の協力と分娩方法のルーチン化:22人(40.7%)」であった。「施設設備や分娩環境,人的な問題(導入施設:27人,25.5%,未導入施設:18人,33.3%)」がこれらの問題に続いて示された。フリースタイル分娩の促進・導入意思は,助産技術の不安や介助経験に関連した見解差を認めた。
    結 論
     娩出期のフリースタイル分娩の実施率が低いことから促進意欲を制限する要因があることを示した。導入施設においては,研修会や助産技術の向上,業務改善を行い,日常業務において不安が軽減できる取り組みや,産婦に提供できる助産に,医師や看護職者間の考え方の一貫性や方向性をもつことが必要である。フリースタイル分娩の実施において,生理的な効果の理解と緊急時や医療介入の手順など十分に話し合い,組織的な対応を可能にすることが重要であると考える。
feedback
Top