目 的
高校生を対象に月経教育を行うことにより月経痛に対するセルフケアの変容につながるかどうか,また,セルフケアの変容に与える要因について検証する。
対象と方法
A高校の女子生徒124名を対象に自記式質問紙調査,月経教育直後と3ヵ月後のセルフケア23項目の実施状況の比較調査を行った。
結 果
セルフケア実施状況については,セルフケア23項目のうち7項目において月経教育直後と3ヵ月後の実施人数に有意差が認められた。【月経記録をつける】(p=0.004),【横になる】(p<0.001),【腹・腰部のマッサージをする】(p=0.004),【十分な睡眠をとる】(p=0.029),【病院の受診】(p=0.021),【浴槽に浸かる】(p=0.031),【食事を3食しっかりとる】(p=0.041)であった。
月経教育直後と3ヵ月後におけるセルフケア実施状況と身体・心理・社会的要因との関連をみた結果,身体的要因の一つである「月経痛」のあり群がなし群に比べ教育後に新たに実施したセルフケアが有意に多かった(p=0.025)。その他の要因では有意な関連は認められなかった。
月経教育直後と3ヵ月後におけるセルフケア23項目の実施人数の変化と身体・心理・社会的要因の関連では,3項目において有意な関連が認められた。【月経記録をつける】では「看病や気にかけてくれる人」のあり群がなし群に比べ(p=0.022),【腹部・腰部のマッサージをする】では「月経痛」のあり群がなし群に比べ(p=0.045),有意に実施者が増加していた。一方,【食事を3食しっかりとる】では「情報を与えてくれる人」のなし群があり群に比べ(p=0.005),有意に実施者が減少していた。
結 論
月経教育により,月経痛を持つものには行動変容がみられた。セルフケアの実施と継続を支える要因として「月経痛」と「月経のサポート状況」が示唆された。
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