本研究は, 対象者の特性 (リスクレベル) によって, 持続的胎児心拍測定法 (Electric fetal monitoring: 以下, EFMと略す) という手段が, 間歌的聴診法 (Intermittent Auscultation: 以下, AUSと略す) に比べて児の予後を予測することに有効か否かを明らかにすることを目的に, 以下の分析を行った。
1. 既存の実験研究で得られた成果を比較した。その結果, EFMのほうがAUSに比べて児の予後の予測に有効であるという仮説は9つの実験研究中の1つの研究たのみ支持され, 8つの研究では棄却された。
2. EFMを用いて児の予後を評価する際の構造モデルを作成し, 先述の実験研究を分析した。その結果, 対象の選択基準, モニタリングの装着基準, 判定基準などが不明瞭であり, 追試や比較する際の弱点となっていた。
3. EFMとAUSでの児の予後を, メタ分析を用いて比較分析した。その結果, 胎児の予後に対するEFMとAUSの使用に効果の差は認められなかった。また, EFMの使用は, ハイリスク群において帝王切開率が有意に高まり, ローリスク群においては吸引分娩などの術的経腟分娩が有意に高かった。これはEFMを用いることによって医療介入が多くなることを表していた。
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