臨床の場面で、脳血管障害により身体に後遺症を負った装具使用者と、義肢装具士やその他の治療に関わる様々な職種の方々との間で装具を使用する上で重視する点の違いを感じる場面が少なくない。今回は、それぞれが短下肢装具選好に際して重視する要素を確認し、違いを明らかにすることを目的とし、コンジョイント分析を用いた調査研究を行った。結果として、義肢装具士群、理学療法士群が短下肢装具を使用する目的を「歩行・立位の安定」とみて、装具選好の際に重視している一方、装具使用者群とは有意にその影響度に差異があり、装具使用者群においては装具選好にあたり必ずしも重視される要素ではない可能性が示唆された。
昨今様々な疾患において下肢を小切断、あるいは大切断し、義足を製作することはよくあるが、切断に至る患者には様々な原疾患を抱えていることが多い。今回精神疾患を有する患者が下腿切断に至ったが、重度の統合失調症と下腿切断の合併を理由に、患者自宅近隣の回復期リハビリテーション病院への転院ができず、急性期病院にて訓練用仮義足を製作、退院後に外来、在宅において本義足の製作を行い、自立歩行の獲得に至ったケースを経験した。原疾患へ対応するには急性期スタッフや訪問リハスタッフとのチーム医療を行うことが重要と考えられた。
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