本稿は日本で放送されている子ども向けに制作されたテレビアニメの「変身」の表象に着目する。現代の子ども向けテレビアニメ作品の中心となっているトレーディング・カードゲームを題材にした作品の中から、先駆的な作品である『カードキャプターさくら』と『遊☆戯☆王』の変身描写を比較分析する。子ども向けテレビアニメの先行研究では、「変身」を大人の社会に参入する手段としてみなしてきたが、両作品ともに「変身」は主人公のアイデンティティの不安定さを表現するものとして機能しており、その根底には作品で描かれる価値観において「大人」と「子ども」の境界線が曖昧となっていることが明らかとなった。
本稿は史上初の「女性向け恋愛シミュレーションゲーム」である「アンジェリーク」のCDシリーズについて論じる。「アンジェリーク」のCDシリーズは、それまでのCDやゲームなどの媒体で使用された手法を援用しつつ、女性向けCDという領域でさらに発展させた。それらのCDでは「聴き手をゲームの主人公であるアンジェリークとしたうえで声をかけてくれる手法」と、「聴き手が自分自身として声をかけられる手法」の両方が使用された。前者は聴覚のみでシチュエーションありの語りかけを実現させ、後者はアバターなしの聴取経験を可能にした。これらの実践によって、「アンジェリーク」のCDシリーズは、後の「女性向けシチュエーションCD」というジャンルの確立へと繋がる、重要な貢献を果たしたと言える。本考察は、アニメの周辺領域である、男性アニメ声優が演じる女性向けの聴覚的コンテンツの歴史を理解するための手がかりになるだろう。
本稿は、アニメーションが国語教科書でどのように取り上げられてきたのか、その歴史的変遷を明らかにすることを目的として、戦後から現行までの小学校・中学校・高等学校の国語教科書を調査した。抽出した29件のアニメーション題材を4つの時期に区分し、その変遷を分析した結果を報告する。国語教科書における最初のアニメーション題材は、1949年に映画単元の1つとして中学校の教科書に掲載された。その後、1980年代には映像単元の1つとして、アニメーション監督による題材が掲載されるようになり、1990年代以降はアニメーションに関連した論説文や伝記、資料が掲載され、興味・関心を喚起させる役割を持つようになった。2010年代になると、メディアの違いに着目させるアニメーション題材が登場するようになり、現在では、メディア・リテラシーの育成を目的としたアニメーション題材が掲載されている。
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