本稿では,日本企業におけるブランド価値評価と株価との価値関連性を分析する.特に,ビジネス関係においての企業印象指標と,企業価値の関係を調べるため,ブランド価値評価のプロキシーとして,名刺ネットワーク情報を用いた調査手法で測定された企業ブランド指標BBESを用いる.BBESの特徴としては,調査対象企業の名刺を保有しているユーザー(ビジネス上の関わりのある人物)のみを調査対象集団としていることが挙げられる.この特徴から,一般認知度の低いB2B企業についても,風評や経験に基づくブランド力が測定されていることが期待される.このBBESデータがブランド価値のプロキシーとして,株価との価値関連性を有するかどうかを統計的に検証することが本稿における目的である.日本企業を対象にした実証分析により,財務諸表における純資産と利益の情報を所与として,BBESが株価の形成を追加的に説明することを明らかにした.またその説明力は,特にB2B企業群において高い値を示した.
IT戦略は経営戦略に沿って策定されるべきである,または,IT戦略は経営戦略の一部であるという議論がある.しかしながら,経営戦略とIT戦略ではそれぞれの戦略に沿って整合すべき構成要素が異なり,情報システム刷新時にそれらの構成要素間が適切に調整できず,不整合を生じた「ねじれ構造」による問題を誘発しやすい.本研究では,情報システム刷新時にプロジェクトの納期遅延を起こしやすい構造的要因を分析するための「経営戦略とIT戦略のねじれ構造モデル」を提案する.このモデルに基づき,基幹系システム構築プロジェクトの計画納期達成/未達要因を考察することで,本モデルの妥当性と有効性を実証する.
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