日本外傷学会雑誌
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26 巻 , 4 号
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原著
  • 織田 順
    原稿種別: 原著
    2012 年 26 巻 4 号 p. 403-408
    発行日: 2012/10/20
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

     【目的】JTDB (Japan Trauma Data Bank) データを用いて医療リソース消費のひとつである院内ベッド占有を軸として, 外傷症例の解析を試みた. 【方法】2004~2010年にJTDBに登録された症例を対象に, 入院先病棟ならびに入院後の転床・転院ルートを区分し, 重症度と入院日数を比較した. 【結果】60,580症例のうち初療後にICUに入院し, ICUから一般病棟と転床した症例は9,564症例あり, うち3,517症例が他院転院, 5,579例が退院となった. 一方, 一般病棟に転床せず直接転院, あるいは退院の転帰をとった症例は, それぞれ6,217症例, 9,444症例であった. 重症度 (ISS) とICU滞在日数は相関した. 3日以内の死亡が5,856例 (死亡例の68.0%) を占めた. 【考察】一般病棟に転床できない症例で特にICU滞在が長く, 救急医療における医療リソースを消費していた. 救命センターの出口問題の改善, あるいは救命救急入院料加算期間に関する改訂が望まれる.

  • 岩村 あさみ, 奥地 一夫, 伊藤 真吾, 川井 廉之, 關 匡彦, 福島 英賢, 畑 倫明
    原稿種別: 原著
    2012 年 26 巻 4 号 p. 409-415
    発行日: 2012/10/20
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

     頭部以外の重症損傷の合併が頭部外傷の転帰に及ぼす影響について検討を行った. 対象と方法 : 最近2年9ヵ月の間に奈良県立医科大学高度救命救急センターに入院し, 頭部にAIS=3以上の外傷を認めた165例を対象とし, これらを頭部以外にAIS=3以上の外傷を伴い多発外傷と診断した36例 (以下MT群) と単独頭部外傷129例 (以下H群) に分けて検討を行った. 結果 : 来院時のMT群およびH群のGCSはそれぞれ10.0±4.5と10.2±4.2で差はなかった. MT群でショックを呈した比率は高く (p<0.01), 入院期間は長かった (p<0.01). しかし, 死亡率はMT群で22.2%に比してH群で18.6%であり有意差はなかった. ただしAIS=4以上の胸部外傷が合併している場合において死亡率が高い傾向にあった (p=0.05). ロジスティック回帰分析を行ったところ転帰に影響を与える因子は年齢とGCSのみであった. 結論 : 頭部以外の重症損傷の合併は高度の集中治療を必要とさせるが, 頭部外傷の死亡率に有意な影響を与えるまでには至らないと考えられた.

症例報告
  • 松橋 延壽, 松本 真介, 館 正仁, 櫻谷 卓司, 田島 ジェシー雄, 田中 千弘, 西科 琢雄, 長尾 成敏, 河合 雅彦, 國枝 克行
    原稿種別: 症例報告
    2012 年 26 巻 4 号 p. 416-420
    発行日: 2012/10/20
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

     30歳代の男性. 軽自動車運転中, 電柱に衝突し両側血気胸と診断され両側にそれぞれ2本ずつのトロッカーを挿入し入院した. 第6病日に循環呼吸状態は安定したが, 炎症反応の遷延化があり, CTで腹腔内free airの増加と軽度の腹水を認めた. 腹腔鏡診断を行い, 腸管損傷が否定され気腹症であったことを確認した. 外傷における腹腔鏡手術は, 呼吸循環動態に大きな影響を及ぼすことを危惧し否定的な意見も多いが, 低侵襲であり治療の選択の1つである. 気腹症は胸部損傷および受傷時からの陽圧換気によって拡大したと考えられた.

  • 廣瀬 智也, 田原 憲一, 小倉 裕司, 大西 光雄, 鍬方 安行, 嶋津 岳士, 木内 利郎, 吉岡 厳, 辻村 晃, 野々村 祝夫
    原稿種別: 症例報告
    2012 年 26 巻 4 号 p. 421-425
    発行日: 2012/10/20
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

     自転車ハンドルによる腹膜外膀胱損傷に対し, 腹壁損傷を合併したため手術治療が適応と考えられたまれな小児例を経験したので報告する. 症例は13歳の男児. 自転車走行中に転倒し, ハンドルで腹部を強打した. CT検査で腹膜外膀胱破裂, 腹壁筋層断裂と膀胱周囲から皮下への液体貯留を認めた. 腹膜外膀胱破裂に対して尿道カテーテルを留置し, 経過観察の方針とした. 腹部膨隆は徐々に改善し, 触診で腹壁筋層断裂部を触知した. 腹壁損傷に対し手術適応と判断し, 膀胱損傷部の縮小がみられないため, 第4病日膀胱修復術と腹壁修復術を一期的に施行した. 腹膜外膀胱損傷に対し一般的に保存的治療が選択されるが, 本症例は手術治療が適応と考えられた.

  • 岩瀬 史明, 小林 辰輔, 宮崎 善史, 菊池 広子, 岩瀬 弘明, 萩原 一樹, 松田 潔
    原稿種別: 症例報告
    2012 年 26 巻 4 号 p. 426-430
    発行日: 2012/10/20
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

     69歳の男性. 車両事故で受傷し, ショック状態で搬送された. 不安定型骨盤輪骨折に対して両側内腸骨動脈塞栓と創外固定を施行した. 逆行性膀胱造影および排泄性尿路造影を行ったが尿路系に損傷を認めなかった. 第10病日CTで両側大腿に膿瘍を認め, 膀胱造影では膀胱から大腿への造影剤漏出を認めた. 膀胱周囲と両大腿部のデブリードマンを施行し膀胱損傷部の修復を行ったが, 縫合不全を起こした. 第42病日両側尿管皮膚瘻を造設し, 第85病日創外固定装着のまま歩行訓練のためリハビリテーション病院へ転院した. 外科的修復を要する膀胱損傷であっても来院時の画像検査で診断できないこともあるため, 骨盤骨折で血尿が持続する場合には検査を繰り返すべきである.

  • 荻野 隆史, 青木 誠, 柴野 正康, 稲川 元明, 高崎 義人, 萩原 周一, 大嶋 清宏
    原稿種別: 症例報告
    2012 年 26 巻 4 号 p. 431-434
    発行日: 2012/10/20
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

     特発性血小板減少性紫斑病を合併した外傷性くも膜下出血, Le Fort I 型顔面骨骨折の1例を経験した. 患者は71歳, 男性. 2.5mの高さより転落し近医に搬送された. CTで顔面骨骨折, 外傷性くも膜下出血, 血小板減少症と診断され, 経鼻挿管後当院に搬送された. 来院時のGCSは15点であったが, 顔面腫脹, 口腔内出血, 鼻出血著しく, 止血剤投与, 輸血 (濃厚血小板, 新鮮凍結血漿) を行った. 翌日に経腸栄養開始し, 3日目に気管切開, 5日目に胃瘻造設を行った. 術前術後経過で出血, 感染などの合併症はなかった. ITP患者に対しても, 合併症予防に必要なら積極的な外科的処置は行うべきと考えた.

トラウマレジストリー検討委員会報告
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