日本外傷学会雑誌
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28 巻 , 1 号
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原著
  • 池口 良輔, 竹内 久貴, 渡邊 睦, 奥谷 祐希, 金村 卓, 京 英紀, 木村 豪太, 太田 悟司, 大西 英次郎, 岩城 公一, 川那 ...
    2014 年 28 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     手部の皮膚と皮下組織は薄く,その直下に腱と神経血管束,骨が存在するため,外傷により皮膚と皮下組織が欠損した場合,瘢痕を形成し容易に機能不全に陥る.機能的な手の再建を目指す場合,手部の軟部組織欠損は瘢痕を形成しないように良好な血流の薄い皮弁での再建が必要となる.穿通枝皮弁として知られている前外側大腿皮弁は主要血管や筋肉を犠牲にすることがない,thin flapにすることができるなどの利点がある.今回我々は外傷による手部軟部組織欠損に対し,前外側大腿皮弁を用いて再建した症例を4例経験し,全例生着した.前外側大腿皮弁は穿通枝の位置に解剖学的変異があるが,欠損部の大きさにあわせて皮弁を自由にデザインすることが可能で,かつ,手の部位による軟部組織の厚さの違いに対してthinningにより皮弁の厚さを調節することが可能で,手部軟部組織欠損に対して有用な皮弁であると考えられた.
症例報告
  • 平良 隆行, 守田 誠司, 青木 弘道, 中川 儀英, 猪口 貞樹
    2014 年 28 巻 1 号 p. 6-9
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     中心静脈カテーテル(以下CVC)挿入時に心膜横隔膜動脈を損傷し,縦隔血腫,出血性ショックをきたした症例に対して,経カテーテル動脈塞栓術(以下TAE)を行い救命し得た.症例は64歳,女性.他院でCVC 施行後に血圧低下をきたし,胸部単純X 線で右縦隔拡大,造影CT で縦隔血腫を認めたため,精査加療目的に当院へ救急搬送となった.当院来院後,緊急血管造影にて内胸動脈の分枝である右心膜横隔膜動脈より造影剤血管外漏出像を認めたため,TAE により止血した.その後の経過良好で第2病日前医へ転院となった.CVC 挿入に伴う合併症での右心膜横隔膜動脈損傷は今まで報告がないが,TAE の適応と考えられた.
  • 明石 祐作, 渥美 生弘, 有吉 孝一
    2014 年 28 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     腹部鈍的外傷の比較的まれな合併症に,遅発性の腸間膜仮性動脈瘤がある.破裂すれば重篤な転帰を辿りうるため,臨床経過を理解し,早期発見に努めることが重要である.症例は60歳,男性.自動車運転中に対向車と衝突,路上に横たわっている状態で発見された.来院時CTにて外傷性大動脈解離と回盲部付近の腸間膜血腫を認めた.いずれも保存的加療を選択し,安定した経過を辿っていた.入院8日目に腹痛を訴えた.翌日,CTで回結腸動脈に未破裂仮性動脈瘤の形成を認めた.同日,経カテーテル的動脈塞栓術にて仮性動脈瘤を塞栓した.腸管虚血の合併なく,治療成功した.腸間膜に血管損傷を伴う腹部鈍的外傷では,本合併症を念頭に置く必要がある.
  • 高岡 諒, 畑 憲幸, 工藤 健史, 国重 千佳, 当麻 美樹
    2014 年 28 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     胸椎脱臼骨折による食道穿孔の一例を経験したので,報告例のreviewを交えて提示する.患者は70歳,男性.自転車事故による軸椎歯突起骨折,胸椎多発骨折,顔面骨骨折,左肋骨多発骨折の診断でハローベストが装着された.第2胸椎脱臼骨折の転位による食道穿孔の診断が遅れ,縦隔炎から上縦隔膿瘍に進展したが,ハローベストの継続と後の整形外科手術野の汚染防止に配慮し保存的治療を選択した.内視鏡下に穿孔部へカテーテルを挿入し,CTガイド下経皮的膿瘍ドレナージを併用して洗浄処置を行った結果,感染は速やかに消退し,胸椎内固定術を安全に施行できた.また,食道穿孔部は自然閉鎖し,良好な転帰を得た.
その他
  • 一ノ瀬 嘉明, 松本 純一, 船曵 知弘, 松村 洋輔, 桑原 秀次, 森本 公平, 西巻 博, 中島 康雄, 久志本 成樹, 横田 順一朗
    2014 年 28 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     時間を意識した効率的な外傷全身CT評価法として外傷初期診療ガイドライン(JATEC)改訂にて取り入れられた3段階読影について解説する.第1段階では緊急の治療方針決定に重要な影響を与える損傷や病態の検出に焦点を絞った評価法(FACT)により,緊急開頭術を要する頭蓋内血腫,大動脈損傷,広範な肺挫傷,血気胸,心嚢血腫,腹腔内出血,骨盤骨折や後腹膜・傍椎体領域の血腫,上腹部実質臓器や腸間膜損傷の有無を速やかに評価する.引き続き行う第2段階では,FACTで拾い上げていない迅速な処置を要する損傷や活動性出血の検索を行う.第3段階では,患者のバイタルサインが安定した後に細かな異常所見を見落とさないよう詳細な評価を行う.これら3段階の読影により得られた画像情報と共にABCDEFGS(年齢,出血部位や性状,凝固異常,服薬歴や既往歴,経過時間,臓器損傷形態,受傷機転,意識障害の有無,循環動態)を総合的に検討して緊急性を判断し適切な治療に結びつける.
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