25歳,男性.既往歴に統合失調症.自傷目的に舌を鋏で切断し救急搬送された.来院時,舌尖部が切断され,残存した舌根部が沈下し,断端から拍動性出血があった.サテンスキー血管鉗子で舌断端を把持することにより止血でき,舌挙上も容易になった.断端形成術後に口蓋底浮腫が出現し,気道緊急に備え気管挿管した.第4病日抜管,第8病日に転院した.転院時,嚥下・咀嚼,会話可能だった.
舌切断はまれなため処置に特化した器具はない.そのため救急外来に常備してある器具で対応する必要がある.サテンスキー血管鉗子は先端部分に弯曲があり口角からの挿入で容易に舌を把持できた.また,把持力も微調整が可能で組織を挫滅することなく止血でき有用だった.
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