日本外傷学会雑誌
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30 巻 , 4 号
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原著
  • 堀口 明男, 新地 祐介, 田崎 新資, 大久保 和樹, 杉野 智啓, 田地 一欽, 伊藤 敬一, 東 隆一, 淺野 友彦
    2016 年 30 巻 4 号 p. 424-430
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー

      (目的) 後部尿道外傷は骨盤骨折に合併する臓器損傷の一つである. 続発した尿道狭窄症に対する待機的尿道形成術の治療成績を検討した. (対象と方法) 後部尿道外傷による尿道狭窄症58例を対象とした. 術後は定期的な問診, 尿流測定, 内視鏡検査で経過観察した. 尿勢の悪化がなく, 内視鏡で再狭窄がないことを治療の成功と定義した. (結果) 患者年齢, 尿道狭窄長, 術後観察期間の中央値は, それぞれ35歳 (11〜74歳), 20mm (5〜50mm), 22ヵ月 (7〜89ヵ月) であった. 54例 (93.1%) は経会陰的に, 4例 (6.9%) は経腹経会陰的に尿道狭窄部切除・尿道端々吻合術を行い, 52例 (89.6%) が成功した. 再狭窄した6例中2例に救済尿道形成術を行い, 現時点で54例 (93.1%) の治療が成功した. 下腿コンパートメント症候群を2例, 陰嚢内血腫を3例, 創感染を1例に認めたが, 保存的に軽快した. (結論) 待機的尿道形成術は後部尿道外傷後の尿道狭窄症に対する安全で成功率の高い治療法である.

  • 早川 航一, 吉矢 和久, 金山 周史, 丸山 修平, 岩村 拡, 和田 大樹, 齊藤 福樹, 射場 治郎, 塩崎 忠彦, 中森 靖, 田崎 ...
    2016 年 30 巻 4 号 p. 431-437
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー

     【目的】重症頭部外傷に対するCT直後からの脳低温療法 (HT) とバルビツレート療法 (BT) の有効性を検証すること. 【対象と方法】2012年から2014年までに研究実施施設に直送となったGlasgow Coma Scale (GCS) 8点以下の頭部外傷患者で両側の対光反射が消失, あるいはCTで広汎なくも膜下出血を有する, あるいはCTで脳底槽が消失した患者11例を対象とした. 対象患者に対しCT直後から減圧術と並行してHTとBT (HT+BT) を導入しearly HT群とした. 1997年から2012年までに搬送された頭部外傷例のうち, 同一基準を満たし一貫したプロトコールに基づき加療されHTまで施行された36例をcontrol群とした. 【結果】2群間で患者背景に有意差を認めなかった. early HT群の受傷3ヵ月後の神経学的転帰はcontrol群に比して有意に良好であった. 【結語】CT直後からのHT+BTは重症頭部外傷患者の予後を改善させる可能性がある.

臨床検討
  • 星野 耕大, 仲村 佳彦, 大藏 裕子, 金山 博成, 入江 悠平, 田中 潤一, 石倉 宏恭
    2016 年 30 巻 4 号 p. 438-443
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー

     はじめに : 外傷性脾損傷において近年はnon-operative management (以下NOM) の適応が拡大しているため, ショックを呈した脾損傷におけるNOMの有効性と限界について検討した. 対象と方法 : 外傷性脾損傷を認めた18症例を対象とし, ショック群と非ショック群の2群で大量輸血, 大動脈遮断, interventional radiology (IVR) の割合を比較し, NOMの有効性を検討した. 結果 : ショック群は10例, 非ショック群は8例であった. 大量輸血の実施率はショック群で有意に高く (p<0.01), IVR実施率も同様にショック群で有意に高かった (p=0.04). 大動脈遮断はショック群のみで実施されており, 実施率は30% (3/10) であった. ショック群のNOM選択率は80% (8/10), NOM成功率は88% (7/8) であった. NOMに成功した症例はdamage control resuscitation (以下DCR) で循環動態の改善を認め, NOMに失敗した症例は腹部コンパートメント症候群を合併し, DCRでショックの改善を認めなかった. 結語 : DCRを行うことでショックを呈した脾損傷であってもNOMは高い確率で成功した. ただし, DCRでショックの改善を認めない場合は速やかに手術へ移行すべきである.

  • 岡野 雄一, 寺住 恵子, 堀 耕太, 加藤 陽一, 大塚 尚実, 山家 純一, 桑原 謙, 奥本 克己, 井 清司
    2016 年 30 巻 4 号 p. 444-449
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー

     外傷診療において出血は最大の致命因子であり, 特に四肢からの出血はpreventable deathの原因とされる. 熊本赤十字病院 (当院) では, 戦術的戦傷治療 (Tactical Combat Casualty Care ; TC3) の概念から, 2014年度よりドクターヘリに止血用タニケット (Combat Application Tourniquet®, 以下CAT®) を搭載し, 圧迫止血困難な四肢外傷例に対しCAT®を使用している. 今回CAT®使用例を調査し, その有効性について検討した. CAT®使用例は10例で, 全例CAT®使用にて止血でき, その後の再出血や合併症なく救命センターに搬送され, 全例転帰良好であった. 現場と救命センターでのRevised Trauma Score (以下, RTS) を比較した結果, 有意にRTSの改善がみられた (7.0±0.3 vs 7.6±0.2 ; p=0.021). CAT®は戦傷外傷用の止血帯であり, 小型で携行でき, 装着も簡便であるのが特徴である. 本研究にてRTSが改善したのは, CAT®の止血効果が高いことが要因の一つと考えられた. 今後はCAT®の周知と習熟が課題と考える. CAT®は止血効果が高く, 病院前救急診療に有用な器具である.

症例報告
  • 佐藤 亮, 土田 芳彦, 村上 裕子, 綾部 真一, 新井 学, 鈴木 崇史
    2016 年 30 巻 4 号 p. 450-453
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー

     治療困難な重度下腿開放骨折患者を, ジェット航空機を用いて長距離搬送を行い専門施設へ搬送し良好な結果を得た. 症例は32歳男性, 下腿開放骨折に広範囲軟部組織欠損を伴い再建が困難と判断された. 受傷2週後に約900km離れた当院へ長距離搬送され, 遊離組織移植術を用いた再建が施行された. 術後経過に問題なく8週間のリハビリテーション施行後に地元へ帰還し, 再手術後1年で完全社会復帰した. 四肢外傷患者は全身状態が安定していることが多く, 初期治療後に専門施設へ搬送することで, より効率的な治療が可能となる. 本邦には重症四肢外傷に対する航空機を用いた長距離搬送例の報告はなく, 今後の重症四肢外傷治療のモデルケースとなる.

  • 飯塚 進一, 山本 理絵, 河谷 雅人, 金指 秀明, 秋枝 一基
    2016 年 30 巻 4 号 p. 454-457
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー

     症例は51歳の男性. 仕事中に地上8mから墜落した. ドクターヘリ現着時, 左大量血胸と骨盤骨折と診断し現場で気管挿管と左胸腔ドレナージを施行した. 病着時, 左血胸と骨盤骨折に起因する出血性ショックによる心肺停止となった. 蘇生的開胸後, 左深在性肺裂傷からの活動性出血を肺門遮断により制御した. 骨盤骨折は大動脈遮断を行い一時止血した. ハイブリッド手術室に移動し左肺下葉切除術とガーゼパキング, 両側内腸骨動脈塞栓術, 骨盤創外固定術を行った. 深在性肺裂傷が原因の重度出血性ショックは, 蘇生的開胸術による肺門部遮断が有効である.

第30回日本外傷学会総会・学術集会 パネルディスカッション1 「わが国における外傷センターとは?」
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