日本外傷学会雑誌
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最新号
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臨床検討
  • 佐久間 淳, 松本 松圭, 大政 晧聖, 土屋 亜由美, 山下 幾太郎, 栗山 桂一, 山内 俊之, 風巻 拓, 妹尾 聡美, 船山 敦, ...
    原稿種別: 臨床検討
    2026 年40 巻3 号 p. 280-284
    発行日: 2026/07/20
    公開日: 2026/07/20
    [早期公開] 公開日: 2026/02/18
    ジャーナル フリー
     骨盤外傷に対する近年の治療変遷に伴い, Preperitoneal Pelvic Packing (以下PPP), Angioembolization (以下AE), 創外固定を駆使しての集学的治療を行うことで生存率向上に寄与する報告が散見されている. そのなかでPPPは本邦では十分には施行されておらず, その背景としてPPPに伴う感染性合併症が危惧されている可能性がある.
     当院では2017年から2024年までに重症骨盤外傷 (AIS 4点以上) を150例経験し, その内PPPを施行し30日以上の生存が確認できた11例の臨床的特徴, 治療経過, 特に合併症発生の有無に関して後方視的に調べた. 男性7例, 年齢中央値50歳 (14-85), 受傷機転は交通外傷が6例, 墜落外傷が4例, 不明が1例. ISS score 中央値45点 (33-57). 11例中9例でAEを施行し, 創外固定は5例で併用した. PPP術後合併症として骨盤内感染症を発症したのは2例 (18.2%) だった.
     PPPは広く知られているものの, 実装されない傾向にあることを鑑み手技の定型化とSSI低減策を進めることで, 重症骨盤外傷の救命率向上に寄与すると考えられる.
  • 宮崎 道輝, 片岡 祐一, 見井田 和正, 神保 武則, 田ヶ谷 浩邦
    原稿種別: 臨床検討
    2026 年40 巻3 号 p. 285-294
    発行日: 2026/07/20
    公開日: 2026/07/20
    [早期公開] 公開日: 2026/02/18
    ジャーナル フリー
     【目的】ICUでの理学療法士 (PT) ・作業療法士 (OT) 専従体制導入が重症頭部外傷患者のリハビリテーション早期化, 安全性および臨床効果に及ぼす影響を明らかにする.
     【方法】当院ICUに入院したGlasgow Coma Scale≦8の頭部外傷患者63例をPT・OT専従体制前34例と体制後29例に分類し, 有害事象発生率と各評価項目を比較した. 症例数の制約から, 交絡調整を伴う多変量解析は実施しなかった.
     【結果】専従体制導入後, リハビリテーション開始と初回離床までの日数が短縮された. 重篤な有害事象は生じず, 有害事象発生率は両群間で有意差を認めなかった. 専従体制後は人工呼吸管理期間が有意に短縮し, 呼吸器合併症発生率と再挿管率も有意に低下した.
     【結語】ICUでのPT・OT専従体制導入後, リハビリテーション早期化が観察された. 重篤な有害事象は発生せず, 呼吸器合併症発生率の低下や呼吸器関連指標改善との関連が示唆された.
  • 塚本 伸章, 前 隆男, 林田 光正
    原稿種別: 臨床検討
    2026 年40 巻3 号 p. 295-303
    発行日: 2026/07/20
    公開日: 2026/07/20
    [早期公開] 公開日: 2026/04/15
    ジャーナル フリー

     目的 : 高齢患者における下肢の一時的創外固定 (EF : external fixation) の臨床的特徴について知ること.

     方法 : 2014-2023年度に自施設で下肢長管骨骨折に対してEFを行った症例を対象とした. 75歳以上の患者をE群, 20-74歳の患者をY群に分け, 高齢患者と非高齢患者における臨床的特徴の相違を比較した. 主な検討項目は, 創外固定部位, EF中の離床の可否, EF期間とした.

     結果 : 対象患者総数は122例であり, E群32例, Y群90例であった. E群では大腿骨骨折や膝関節周囲の骨折に伴い大腿骨まで含んで固定する近位型創外固定の患者の割合が53.1%とY群の21.1%と比して有意に高かった. EF中に離床ができなかった患者の割合は28.1 /20.0% (E/Y群 以下同じ), EF期間は中央値で11/10.5日であったが, 両群での有意差はなかった.

     結論 : 高齢患者における一時的創外固定では近位型創外固定が多く適用されていた. EF中に離床ができなかった患者の割合, EF期間については年齢の若い患者群と比して明らかな違いはなかった.

症例報告
  • 矢形 幸久, 多田 圭太郎, 山内 久翔, 森山 太揮, 西村 健, 伊集院 真一, 菊田 正太, 井上 明彦, 松山 重成, 石原 諭
    原稿種別: 症例報告
    2026 年40 巻3 号 p. 304-308
    発行日: 2026/07/20
    公開日: 2026/07/20
    [早期公開] 公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー
     フレイルチェストは従来保存的治療が主体だったが, 人工呼吸管理の長期化や合併症により予後不良となる症例も少なくない. 今回, 重機事故により胸骨開大型骨折, フレイルチェスト, 肺損傷, 胸椎骨折を呈した61歳男性に対し, 受傷3日目に胸骨および肋骨骨接合ならびに肺部分切除を含む外科的治療を施行した. 術後5日目に抜管可能となり, 12日目には車椅子移乗を開始した. 最終的に格闘技やパワーリフティングにも復帰した. 早期の包括的外科的介入は, 人工呼吸器離脱と早期離床を促進し, 機能回復に有効である可能性が示唆された.
  • 小西 赳広, 櫻井 敦志
    原稿種別: 症例報告
    2026 年40 巻3 号 p. 309-314
    発行日: 2026/07/20
    公開日: 2026/07/20
    [早期公開] 公開日: 2026/03/05
    ジャーナル フリー
     Lisfranc・Chopart関節同時脱臼骨折は極めて稀であり, 高エネルギー外傷により発生しやすく, 足部コンパートメント症候群や感染を合併することが少なくない. 今回我々は, 重量物落下によるLisfranc・Chopart関節脱臼骨折に足部コンパートメント症候群と深部感染を合併した1例を経験した. 足部コンパートメント症候群に対して, 筋膜切開を行ったが, 感染合併を認め, 感染の鎮静化に難渋した. 予後不良とされるLisfranc・Chopart関節同時脱臼骨折に対して観血的整復固定術を行い, 解剖学的な整復位を得ることで, 最終的には歩行機能を温存し得た.
  • 碓井 太雄, 自閑 昌彦, 角田 海斗, 我如古 理規, 增永 直久, 中村 公次郎
    原稿種別: 症例報告
    2026 年40 巻3 号 p. 315-320
    発行日: 2026/07/20
    公開日: 2026/07/20
    [早期公開] 公開日: 2026/03/05
    ジャーナル フリー
     72歳の女性, 交通外傷後に直近3次救急病院に救急搬送された. 肝損傷, 脾損傷, 骨盤骨折, 血気胸を伴った多発外傷の診断に至った. Damage control surgery (DCS) に従った, 腹部ガーゼパッキングによる止血術と一時的閉腹法を用いたopen abdominal management (OAM) による蘇生的手術, damage control resuscitation (DCR) に従った蘇生戦略を同時に実施した. その後, 経カテーテル動脈塞栓術 (transcatheter arterial embolization : TAE) による追加止血術が必要と考えられたが, 施行医師不在であった. そのため, resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (REBOA) 留置状態で, 当院へ転送とし, 緊急止血術を施行し, 救命した. 多発外傷患者に対して, OAM下においても, 循環動態の悪化を来すことなく, 複数病院に渡ってダメージコントロール戦略を実践出来る可能性が示唆された.
  • 舩越 拓, 澤田 佳奈, 白根 翔悟, 伊丹 和喜, 三枝 邦康
    原稿種別: 症例報告
    2026 年40 巻3 号 p. 321-326
    発行日: 2026/07/20
    公開日: 2026/07/20
    [早期公開] 公開日: 2026/06/10
    ジャーナル フリー
     【背景】鈍的頸部血管損傷は未治療では脳梗塞発症率が高く適切な治療介入が予後改善に重要である. 【症例】バイク事故で搬送された70代男性. 造影CTで左総頸動脈および左椎骨動脈が描出されず周囲に造影剤漏出を認めた. 血管造影では左総頸動脈解離を認め, 自己拡張型ベアメタルステントを留置した. 左椎骨動脈起始部は閉塞し出血および再開通時の塞栓予防目的に鎖骨下動脈へステントグラフトを留置した. 左中大脳動脈末梢に脳梗塞を生じたがmodified Rankin Scale 2で回復期病院へ転院した. 【結語】多発外傷に合併した鈍的頸部血管損傷は, 出血制御と脳梗塞予防を両立させる必要がある. そのため病変の解剖と全身出血リスクを踏まえたデバイス選択と治療タイミングの最適化が重要である.
その他
  • 澤村 直輝, 梅木 諒二, 水流 慎一郎, 倉田 修治, 大野 裕文, 内山 真, 髙田 直和, 角山 泰一朗, 伊藤 香, 髙力 俊策
    原稿種別: その他
    2026 年40 巻3 号 p. 327-331
    発行日: 2026/07/20
    公開日: 2026/07/20
    [早期公開] 公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー
     日本では外傷症例数が減少しており, 二次救急病院の外科医が自院のみで十分な外傷経験を積むことは困難である. 筆者は2019年に南アフリカ共和国Chris Hani Baragwanath Academic Hospitalで1ヵ月間, 2024年に国内の都市部高度救命救急センターである帝京大学医学部外科学講座Acute Care Surgery (ACS) 部門へ6ヵ月間の研修を行い, 国内外の両者を比較した. 南アフリカでは銃創や刺創に代表される穿通性外傷を短期間で多数経験できたが, 画像検査や血管内治療, 輸血体制は十分ではなく, 日本の現状への応用には限界を感じた. 国内研修では多発鈍的外傷や高齢者外傷を多く経験し, Damage Control Resuscitation (DCR) を基盤とした外傷戦略を体系的に学ぶことが可能であった. さらに内因性救急外科の幅広い症例にも関与し, 外科医としての成長に寄与した. 国内での短期研修の普及は日本の外傷外科診療の向上に重要である.
国内外傷診療研修制度委員会報告
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