血行動態不安定な骨盤骨折に対する止血手技の成績や合併症について, 過去10年間の報告を紹介する. Transcatheter arterial embolization (TAE) では良好な成績が報告されている反面, 手技までに時間を要する場合は予後不良となることが報告されており, そのような施設を中心にPreperitoneal Pelvic Packing (PPP) が普及している. Resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (REBOA) は止血手技ではないため, その後どのように止血手技につなげるかが課題である.
外傷は, 世界の疾病負担の第3位になると予測されている. これに対応するために, 臨床現場で外傷医を効率的に養成することが不可欠である.
AIIMS (全インド医科大学) と日本救急医学会 (JAAM), 日本外傷学会 (JAST) 間の外傷治療の状況について相互協力を深めることを前提として2019年からAIIMSに医師と関連スタッフを派遣し, 逆にAIIMSは日本に医師と看護師を派遣した.
本事業によって, 日本の外傷外科医は手術経験を積み重ね, インドで実際の外傷症例を医療現場で体験することができた. インド側のチームは, 災害及び外傷トレーニングシステムを日本側で体験習得し, これをインド側に持ち帰り独自コースを催行することができた.
今後はさらに, インド側で一般的ではない低侵襲治療手技の導入を軸として, これらをAIIMSに導入する手助けができると考える.