日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
Print ISSN : 1340-6264
ISSN-L : 1340-6264
最新号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
第39回日本外傷学会総会・学術集会 代表理事講演
特集:第39回日本外傷学会総会・学術集会 日本外傷学会トラウマレジストリー検討委員会企画セッション「JTDBの更なる発展へ向けて」
  • 青木 誠, 東平 日出夫, 阿部 智一, 遠藤 彰, 岡田 遥平, 柴橋 慶多, 白石 淳, 田中 啓司, 中尾 俊一郎, 西村 健, 松本 ...
    原稿種別: 特集:第39回日本外傷学会総会・学術集会 日本外傷学会トラウマレジストリー検討委員会企画セッション「JTDBの更なる発展へ向けて」
    2025 年39 巻4 号 p. 313-316
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー
     Japan Trauma Data Bank (JTDB) は, 日本救急医学会の診療の質評価指標に関する委員会と, 日本外傷学会のトラウマレジストリー検討委員会を中心に構築された全国規模のデータベースである. 2019年より新たなデータシステムへと移行し, 日本外傷学会会員による研究目的でのJTDBの利活用は, ますます普及していると考えられる. 今回, トラウマレジストリー検討委員会では所属委員を新たに迎えるとともに, さらなるJTDBの普及に向けていくつかのプロジェクトを実施した. 第39回日本外傷学会総会・学術集会では, その進捗状況を会員と共有することを目的に, 委員会企画セッションを開催させていただいた. 本特集では, 当日のセッションの概要とともに, 現在進行中のプロジェクトの一つである国際レジストリ研究に向けた取り組みを紹介する.
  • 山元 良, 遠藤 彰, 松本 松圭, 田中 啓司, 青木 誠, 阪本 雄一郎
    原稿種別: 特集:第39回日本外傷学会総会・学術集会 日本外傷学会トラウマレジストリー検討委員会企画セッション「JTDBの更なる発展へ向けて」
    2025 年39 巻4 号 p. 317-321
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー
     Japan Trauma Data Bank (JTDB) は, 日本救急医学会の診療の質評価指標に関する委員会と日本外傷学会のトラウマレジストリー検討委員会が中心となり構築した全国規模のデータベースである. JTDBを使用した研究報告は200以上にのぼり, 本邦のみならず世界の外傷診療の質の向上に寄与している. 今回, 日本外傷学会トラウマレジストリー検討委員会は, JTDBデータの正確性を確認するための作業の第一歩として, JTDB現版の登録項目における「定義の揺らぎ」に注目し, 今後JTDBを利用する研究者がデータを正しく解釈できるように, 各登録項目がリアルワールドデータをどのように反映しているかを調査した. これは, ①入力者によって定義が異なると予想される登録項目の洗い出し, ②挙がった登録項目に対する具体的な定義候補の提示, ③それらを基にしたJTDB参加施設へのアンケート, の3つのステップで行い, 現在アンケート収集中である.
  • 生駒 岳太郎, 後藤 匡啓, 青木 誠, 阿部 智一, 案野 高志, 池上 徹則, 植村 樹, 木口 雄之, 阪本 雄一郎, 園生 智弘, ...
    原稿種別: 特集:第39回日本外傷学会総会・学術集会 日本外傷学会トラウマレジストリー検討委員会企画セッション「JTDBの更なる発展へ向けて」
    2025 年39 巻4 号 p. 322-334
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー
     本研究は, 生成AI技術を活用し, 日本外傷データバンク (JTDB) へのデータ登録を自動化するシステムの構築を試みた記述研究である. 2024年1月から11月に自治医科大学附属病院に搬送された重症外傷を対象とした. 同院で用いられている救急外来の診療記録を構造化するシステムから, 患者記録をテキストデータとして抽出し, QRコード経由で生成AI (GPT-4) を用いることで, 必要項目のみを抽出しJTDBへの登録を行う仕組みを構築した. 対象項目はJTDB 198項目中148項目とし, 人による登録を正答とした場合の正答率を評価した. また, 項目を7カテゴリに分類して平均正答率を算出した. 55症例の試験的評価では, 148項目の平均85% (±5.9%) と高い正答率を示した. カテゴリでは年齢・性別 (100%) や外傷の種類 (98.5%±2.8%) などが高い一方, バイタルサイン (75.7%±25.6%) 等では課題が残った. 今後, プロンプトエンジニアリングの改善や人間による確認プロセスの導入により, 精度向上が期待される.
  • 西村 健, 青木 誠, 柴橋 慶多, 岡田 遥平, 阪本 雄一郎
    原稿種別: 特集:第39回日本外傷学会総会・学術集会 日本外傷学会トラウマレジストリー検討委員会企画セッション「JTDBの更なる発展へ向けて」
    2025 年39 巻4 号 p. 335-338
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー
     日本外傷学会トラウマレジストリー検討委員会を中心に, 2003年に設立・登録が開始されたJapan Trauma Data Bank (JTDB) は, 2019年に新たなデータシステムに移行し, 2023年現在ではおよそ300を超える施設が参加している. 2003年から現在までに20万例以上の症例が集積され, 約200編の英語論文が報告されている. 一方で, トラウマレジストリーの当初の目的の一つは, JTDB登録症例の解析結果を各医療機関にフィードバックし, 外傷診療の質の向上を図ることであったが, その目的は現在も十分には達成されていない. 今回, トラウマレジストリー検討委員会では「日本外傷データバンクデータを用いた外傷診療施設評価体制を構築する為の小委員会」を新たに設置し, 日本全体の外傷診療の底上げを目指して, JTDBを活用した各医療機関へのフィードバック体制の構築を検討している. 本稿では, 第39回日本外傷学会総会・学術集会で発表した内容を中心に, 我々の取り組みを紹介する.
臨床検討
  • 松垣 亨, 後藤 雅史, 鍋田 雅和, 平湯 恒久, 山下 典雄, 高須 修
    原稿種別: 臨床検討
    2025 年39 巻4 号 p. 339-344
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    [早期公開] 公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー
     【目的】簡易型骨盤固定器具 (サムスリング, 以下骨盤固定具) を装着されて当センターへ搬送された症例の骨折型とその装着による骨折部の転位の変化を調査すること.
     【方法】搬入時の画像で骨折型を分類し, 骨盤固定具の装着時と非装着時の画像がある症例では, その骨折部の転位の変化を調査した.
     【結果】症例数は47例 (男性32例, 女性15例) で, 平均年齢は54.0±24.3 (15-101) 歳であった. 骨折型は骨折なし24例, 安定型骨盤輪骨折3例, 前方圧迫型 (APC) 5例, 側方圧迫型 (LC) 7例, 垂直剪断型 (VS) 1例, 寛骨臼骨折6例, 寛骨臼+骨盤輪骨折1例であった. 装着による転位の比較が出来た19例において, 装着によって骨折部の転位が減少したのが3例, 逆に増大したのが6例, 不変であったのが10例であった.
     【結語】当センターへ搬送された症例は, 骨盤固定具の装着によって骨折部の転位を増大させる症例が多かった.
症例報告
  • 荻野 優, 横野 良典, 西山 和孝, 蛯原 健, 舘野 丈太郎, 竹川 良介, 片山 祐介, 島崎 淳也, 小倉 裕司, 織田 順
    原稿種別: 症例報告
    2025 年39 巻4 号 p. 345-351
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    [早期公開] 公開日: 2025/08/05
    ジャーナル フリー
     86歳女性. 肛門直腸異物に対する加療目的に当院へ転送となった. 診察時, 肛門から園芸用パイプが露見され, CTでは異物が直腸前面から腹腔内を経て仙骨を貫通し髄腔内に達していた. 緊急で開腹術を行い, 異物を経肛門的に引き抜き, 明らかな髄液漏出や仙骨静脈叢からの出血は認めなかった. 直腸・腸間膜の修復, 髄腔との交通部にドレーンを留置後に, 便流遮断のため人工肛門を造設した. 術後は髄膜炎を考慮した抗菌薬を投与し, 外科的処置が必要となる合併症を認めず第28病日に転院となった. 仙骨・髄腔内に達する直腸杙創では徹底した損傷部の洗浄・ドレナージ, 便流遮断と早期からの広域抗菌薬投与は感染合併症を予防する一助となると考えられた.
  • 神戸 勝世, 岡 和幸, 恩田 禎子, 室野井 智博, 下条 芳秀, 比良 英司, 渡部 広明
    原稿種別: 症例報告
    2025 年39 巻4 号 p. 352-357
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    [早期公開] 公開日: 2025/08/05
    ジャーナル フリー
     症例は70歳台の男性. 約5mの高さから墜落しASIA impairment scale Aの頸髄損傷を認めた. CTでは環椎骨折, 第7頸椎脱臼骨折が認められた. CTA/MRAで左内頸動脈と右椎骨動脈の閉塞が確認され, Denver Grading Scale IVと診断したが, 意識清明で片麻痺や失語は認めなかった. 受傷10時間後に頸椎後方固定術と椎弓形成術を施行. 術後第3病日に意識障害と右上肢麻痺を発症し, MRIで左中大脳動脈領域に脳梗塞を認めた. 術後早期のため抗血栓療法は施行せず経過観察とした. 麻痺は持続したが意識レベルは改善し, 第25病日に転院した. 外傷性内頸動脈閉塞は脳梗塞発症率や死亡率が高い病態であり, 抗血栓療法が実施困難な場合, 血管造影による虚血耐性評価や血管内治療を検討する必要がある.
  • 宮﨑 誠司, 常俊 雄介, 木村 弘太郎, 松澤 暁子, 諏佐 悠多, 浅井 佑介, 山本 寛之, 阿部 大, 加藤 弘明, 加藤 健太郎, ...
    原稿種別: 症例報告
    2025 年39 巻4 号 p. 358-363
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    [早期公開] 公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー
     生来健康な14歳男児. ガラス戸に衝突し前医に搬送され入院. 腹痛増悪を認めたため当院に緊急搬送され, 肝損傷の診断でinterventional radiology (IVR) を施行し循環動態は安定した. 画像上右横隔膜損傷が疑われたが確証が得られず, 胸腹水穿刺してその生化学検査を比較した. 両者の性状が類似していたことから, 横隔膜損傷の可能性が高いと判断し, 診断的胸腔鏡を施行した. その結果, 右横隔膜頂部に4cmの裂創を認め, そのまま胸腔アプローチで縫合修復した. ヘルニアを伴わない右横隔膜損傷は診断が難しいが, 本症例では複数の検査を組み合わせることで診断精度を上げ, 確実に診断治療することが可能であった.
feedback
Top