日本外傷学会雑誌
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最新号
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臨床検討
  • 伊藤 裕介, 松岡 信子, 尾北 賢治, 五十嵐 佑子, 小濱 圭佑, 佐藤 秀峰, 澤野 宏隆, 林 靖之
    原稿種別: 臨床検討
    2019 年 33 巻 4 号 p. 366-372
    発行日: 2019/10/20
    公開日: 2019/10/20
    ジャーナル フリー

     近年, 重症呼吸不全においてvenovenous extracorporeal membrane oxygenation (以下VV-ECMO) の使用の有用性が指摘されている. しかし, 外傷症例については出血リスク等により敬遠されてきた. 今回2007年4月から2018年3月までに当院へ搬送された外傷症例のうちVV-ECMOを使用した9例を後方視的に検討した. 9例中5例 (55.6%) が生存し, 導入によりpH, PaCO2の改善をもたらした. 死亡例2例にECMO導入により循環動態の増悪を来たした可能性が考えられた. 本治療法は重症外傷に対しても有用である可能性があるが, 導入時の循環血液量の確保と, 損傷部位に応じた返血部位の検討が必要であると考える.

  • 橘高 弘忠, 大野 兼弥, 渡辺 博也, 秋元 寛
    原稿種別: 臨床検討
    2019 年 33 巻 4 号 p. 373-379
    発行日: 2019/10/20
    公開日: 2019/10/20
    ジャーナル フリー

     【目的】遅発性外傷性気胸症例を検証する. 【方法】 "初診時CTで認められず, 入院後の画像検査で初めて判明した外傷性気胸" を "遅発性外傷性気胸" と定義し, 入院加療を行った胸部外傷475例を後方視的に検証した. 【結果】外傷性気胸159例中5例が遅発性外傷性気胸に該当した. 全例が気胸側に上中位肋骨の複数骨折を合併し, 鎖骨骨折は3例 (60%) に認めた. 遅発性外傷性気胸の診断日は第2病日が4例 (80%), 第3病日が1例 (20%) で, 診断後, 緊急ドレナージを3例に施行, 残り2例中1例は待機的手術に際してドレナージを行った. ドレーン留置期間は6 (3-11) 日で, 非ドレナージ症例も増悪なく経過し, 全例が生存退院した. 【考察】遅発性外傷性気胸の頻度は低いが, 緊急ドレナージを要することもあるため, 複数本の上中位肋骨骨折や鎖骨骨折合併例では注意深く経過観察する必要がある.

症例報告
  • 田村 竜, 時岡 孝光, 松本 俊之, 林 隆宏, 多田 圭太朗, 枦元 佑大朗
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 33 巻 4 号 p. 380-384
    発行日: 2019/10/20
    公開日: 2019/10/20
    ジャーナル フリー

     脊椎骨折に胸部・腹部・骨盤外傷を合併しているため, 受傷後早期の腹臥位が躊躇された症例に対し, 側臥位で経皮的椎弓根スクリュー (以下PPS) 固定を行った4症例を報告する. 対象は多発外傷例で胸部外傷合併が4例, 腸管損傷に伴う緊急開腹術後が2例, 骨盤骨折合併が4例, 骨盤創外固定装着状態が1例で, Injury Severity Score平均46.2であった. 全例右下側臥位にてナビゲーションシステムを用いてPPS固定を行うことで, 低侵襲に脊椎後方固定を施行した. PPS挿入精度は94.4%で神経合併症は認めなかった. 術翌日より呼吸器リハビリが可能となった. 本法は重度の多部位損傷によって早期腹臥位が躊躇される症例であっても脊椎安定化を可能とする.

  • 八木橋 祐亮, 村上 隆啓, 今泉 督, 本竹 秀光
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 33 巻 4 号 p. 385-388
    発行日: 2019/10/20
    公開日: 2019/10/20
    ジャーナル フリー

     外傷性の腹膜内膀胱破裂 (Intraperitoneal Bladder Rupture : IBR) に対する保存的療法 (Non-operative management : NOM) の報告が散見されている. 我々はIBRに対してNOMにより自然治癒した以降, 飲酒に伴い尿閉を繰り返し約2年後に膀胱自然破裂を来たし, 腹腔鏡下に修復した症例を経験した. IBRにおいて, NOMが可能な症例は存在するが, 排尿状態も含めた慎重な経過観察が必要と考えられた.

  • 尾上 敦規, 高橋 弘毅, 中村 佳裕, 村津 有紗, 中村 文子, 中嶋 麻里, 由井 倫太郎, 櫻本 和人, 室谷 卓, 梶野 健太郎, ...
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 33 巻 4 号 p. 389-393
    発行日: 2019/10/20
    公開日: 2019/10/20
    ジャーナル フリー

     20代, 男性. 交通外傷による胸部外傷, 骨盤骨折, 四肢の骨折および, ショックを伴う脾損傷で当院に救急搬送された. 同日, 脾臓摘除術を施行し, 第6病日に観血的骨折整復術を行い術後経過は良好であった. 第14病日に突然, 高熱と意識障害をきたし, 耳介と手指の水疱から単純ヘルペスウイルスを検出した. 頭部MRIでは拡散強調像で信号異常が認められた. 意識障害を伴う単純ヘルペスウイルス感染症・急性散在性脳脊髄炎と診断しアシクロビルの点滴投与を行い, その後は速やかに症状の改善を認めた. 脾摘後や重症外傷治療中の患者に原因不明の発熱をきたした場合, 細菌感染だけでなくヘルペスなどのウイルス感染も念頭におく必要がある.

  • 小川 克大, 松村 和季, 東 孝暁, 清水 健次, 新田 英利, 増田 稔郎, 赤星 慎一, 松本 克孝, 生田 義明, 沖野 哲也, 高 ...
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 33 巻 4 号 p. 394-397
    発行日: 2019/10/20
    公開日: 2019/10/20
    ジャーナル フリー

     外傷性膵損傷では内視鏡的逆行性膵管造影 (ERP) にて主膵管損傷の確認を行うことが推奨されている. 今回, 穿通性外傷による主膵管損傷がERPにて見逃された症例を経験した. 症例は75歳女性. 腹部刺創にて当院搬送された. CTにて膵損傷を認めたがERPでは主膵管損傷は認めなかった. 術中所見では胃損傷と膵頭部損傷を認め胃壁修復と膵周囲ドレナージを施行した. 術後胆汁漏と膵液漏を認め, 内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (ERCP) を再施行した. 再検では主膵管損傷と胆管損傷を認め膵管ステントを挿入後, 再手術を施行した. 膵周囲ドレナージ, 胆管離断と胆管空腸吻合術を施行し術後経過良好であった. 穿通性主膵管損傷ではERPで同定不可能な場合がある. また, 膵頭部の III b型膵損傷でも内視鏡的膵管ステント挿入により切除が回避できることがある.

  • 中江 竜太, 佐々木 和馬, 金谷 貴大, 富永 直樹, 瀧口 徹, 五十嵐 豊, 萩原 純, 金 史英, 横堀 將司, 布施 明, 横田 ...
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 33 巻 4 号 p. 398-402
    発行日: 2019/10/20
    公開日: 2019/10/20
    ジャーナル フリー

     カイロプラクティックという軽微な外力により両側頸部内頸動脈解離を来したと考えられた1例を経験したので報告する. 症例は41歳の女性, 痙攣を主訴に救急搬送された. 頭部CTでくも膜下出血を, 脳血管撮影でくも膜下出血の原因と考えられる左内頸動脈瘤を認めた. また両側頸部内頸動脈解離を認めた. 同日脳動脈瘤クリッピング術を行ったが, 翌日脳梗塞が出現した. その後の病歴聴取で27日前からのカイロプラクティックへの通院歴が判明し, 両側頸部内頸動脈解離の原因であると考え, 脳梗塞の原因も左頸部内頸動脈解離からの血栓塞栓症と考えた. 抗血小板薬で治療を行い第29病日にリハビリ病院に転院した. 発症3ヵ月後のMRAでは両側頸部内頸動脈解離は軽快した.

  • 高岡 諒, 多河 慶泰, 田口 裕司, 谷口 智哉, 南 和伸
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 33 巻 4 号 p. 403-408
    発行日: 2019/10/20
    公開日: 2019/10/20
    ジャーナル フリー

     肝コンパートメント症候群 (hepatic compartment syndrome, 以下HCS) は肝被膜下血腫のまれな合併症であり, 肝循環障害を来すため血腫の減圧処置が推奨されている. 鈍的外傷に合併し被膜破裂により軽快したHCS2例を報告する. 19歳女性と52歳男性は各々交通事故と墜落により肝被膜下血腫を発症した. 肝機能は数日後に著しく悪化し, 血管造影における右門脈の逆流所見, 肝実質CT値の低下, および血中LDH高値はHCSを示唆した. 肝動脈塞栓術 (transcatheter arterial embolization, 以下TAE) を施行後, 腹腔内出血の増量に続いて肝機能は改善し, 血腫の自然破裂と判断した. TAEは血腫増大の抑制と破裂後の再出血予防に有効と考えられた. また血腫が自然破裂した場合, 減圧処置は不要であることが示された.

  • 佐藤 啓太, 浦城 淳二, 楠田 司
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 33 巻 4 号 p. 409-412
    発行日: 2019/10/20
    公開日: 2019/10/20
    ジャーナル フリー

     Gerota筋膜に包まれて後腹膜腔に存在する副腎は, パッキング効果が働きやすいため, 外傷性副腎損傷例の多くは自然止血が得られる. 症例は85歳男性. 鈍的外傷による十二指腸損傷疑い, 右副腎損傷, 第1–4腰椎右横突起骨折で入院となった. 保存的加療としたが, 入院20日目に突然発症の右側腹部痛と血圧低下を認めた. 造影CT検査で遅発性副腎破裂に伴う出血性ショックと診断し, 緊急経カテーテル的動脈塞栓術を行った. 副腎の遅発性破裂は過去に報告例がなく, まれな経過であるが, 迅速な診断と止血治療が必要である.

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