研究目的重度の認知障害と重度の右片麻痺を呈した対象者に対する身体的ガイド法を用いた日常生活動作訓練の効果を明らかにすることを目的とした。研究計画ABAB法を用いた。場面病院のリハビリテーション施設にて実施した。対象脳梗塞を発症した70歳男性を対象とした。介入Phase Aでは賞賛を用いた日常生活動作訓練を行った。Phase Bでは、賞賛に加えて身体的ガイド法を用いた訓練を実施した。すなわち、手掛かり刺激提示後に10秒間待っても動作を遂行しない場合、あるいは課題とした動作に適応的でない動作を行なった場合に、介助者が対象者に手を添えて動作を誘導し、課題を完遂させるという方法を用いた。行動の指標日常生活における介助負担を軽減することを目的として、日常において介助頻度の高い12項目の動作を訓練のターゲットとした。結果身体的ガイド法を用いた訓練の期間中、自力で遂行し得た動作項目数は増加したが(slope=3.0)、訓練を中止すると動作項目数は減少した(slope=-1.1)。ただし、病棟で常に実施できている5項目の動作については維持された。結論身体的ガイド法を用いた日常生活動作訓練は本対象者に対して有効であったが、動作内容の維持については今後の検討が必要であると考えられた。
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