行動分析学研究
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30 巻, 2 号
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追悼
研究報告
  • 上野 糧正, 谷内 通
    2016 年 30 巻 2 号 p. 127-136
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2017/06/22
    ジャーナル フリー

    研究の目的 オペラント条件づけの反応形成によってブタのノーズポーク反応を一定時間持続させることが可能であるか検討した。研究計画 逐次的接近法を用いて、ノーズポーク反応を一定時間持続させるよう形成した。場面 向かい合う2つの壁面に反応枠を1個ずつ設置した実験豚房において行った。被験体 74ヶ月齢の2頭のブタを使用した。独立変数の操作 音による条件性強化子と強化子を用いた逐次的接近法によって、一定時間持続するノーズポーク反応を形成した。反応持続の基準を0.1秒から20秒まで段階的に延長した。反応装置1に対するノーズポーク反応が基準まで持続したら直ちに条件性強化子を提示し、続く反応装置2に対する反応に強化子を提示した。行動の指標 1セッションにおいて50回の強化を得るまでに要した持続反応回数を算出した。結果 ノーズポーク反応を20秒間安定して持続させることが可能であった。結論 オペラント条件づけによって一定時間持続するノーズポーク反応を形成可能であった。この手続きは、畜産業の飼育管理においてブタを静止させる場面に応用できる可能性が考えられる。

実践報告
  • 佐々木 祥太郎, 大森 圭貢, 杉村 誠一郎, 最上 谷拓磨, 多田 実加, 中村 恵理, 大宮 一人
    2016 年 30 巻 2 号 p. 137-144
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2017/06/22
    ジャーナル フリー

    研究目的 重度運動麻痺と認知機能障害を併発した脳卒中患者1例を対象に車椅子駆動練習における身体的ガイドの有効性を明らかにすることを目的とした。研究計画 シングルケースデザイン(ABABB′法)を用いた。場面 A病院にて実施した。対象 44歳のくも膜下出血患者1名を対象とした。介入 標的行動は車椅子駆動動作とした。ABABB′の条件は、車椅子駆動動作をセラピストが教示しながらモデリングして提示する条件(ベースライン)と対象者の左手にセラピストが手を添えて5回車椅子駆動動作を実施する条件(身体的ガイド介入期)、身体的ガイドの回数を1セッションにつき1回ずつ減らして介入する条件(フェイドアウト期)とした。結果 身体的ガイドを用いた練習では、教示とモデリングのみの介入に比べて、車椅子駆動の回数は有意に多かった。また、駆動回数の推移は教示とモデリングの介入では、増加傾向を認めなかったが、身体的ガイドを用いた練習では、駆動回数は増加傾向であった。身体的ガイドを除去した消去期には、車椅子駆動回数は急速に減少した。一方、徐々に身体的ガイドをフェイドアウトした場合には、駆動回数は減少しなかった。結論 重度の運動麻痺と認知機能障害を併発した患者においては、練習方法の違いによって標的行動の出現の相違があり、身体的ガイドを用いた練習により、生起した運動の持ち越し効果が得られる可能性がある。

  • 若林 上総, 中野 聡, 加藤 哲文
    2016 年 30 巻 2 号 p. 145-156
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2017/06/22
    ジャーナル フリー

    研究の目的 定時制課程の高等学校において、生徒の課題遂行を高めることを目的とした行動コンサルテーションを実施し、介入厳密性(treatment integrity)を保つのに必要となる支援の検討を行った。研究計画 2学級を対象としてA-B-C-CD-CDEデザインで実施した。場面 定時制高等学校の数学Iの授業に介入した。参加者 コンサルタントとして特別支援教育コーディネーター、コンサルティとして教職経験4年目の数学Iの教科担当、クライエントとして教科担当が指導する2つの学級に在籍する生徒35名が参加した。介入 教科担当の介入厳密性を高めるために、2度の打ち合わせ、遂行する教授行動の毎朝の確認、パフォーマンス・フィードバック、台本の提示を行った。行動の指標 授業ごとの生徒の課題遂行率および教師の教授行動の遂行率を測定した。結果 介入とともに発達障害の生徒を含む各学級の生徒の期間ごとの課題遂行率が上昇の傾向を示した。それに応じて教師の介入厳密性も高まった。結論 コーディネーターの働きかけが教師の教授行動に与えた影響が示唆された。考察 コンサルテーションで生じた教師の教授行動の変容の要因、生徒の課題遂行率の上昇との関連を議論した。研究の限界として厳密な場面の統制ができなかった。

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会報
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