研究の目的 小型機器を用いたプロンプトとフィードバックによって、自閉症スペクトラム障害のある児童に対する教師の注目が増加するか検討し、さらにこれが通常学級における対象児の離席行動と授業参加行動に及ぼす効果を検証した。研究計画 ABABデザインを用いた。場面 小学1年生の通常学級教室で行った。対象者 小学1年生の担任教師と、自閉症スペクトラム障害のある小学1年生女児。行動の指標 教師の対象児への注目 (言語賞賛または個別指示)、対象児の離席行動、授業参加行動を標的とした。介入 対象児の機能的アセスメントを介入前に行った結果、対象児の離席行動は教師の注目によって強化されていることが推定された。そこで対象児の着席行動に対する教師の注目を増やすために、小型機器による5分間隔の振動をプロンプトとして教師に導入した。さらに、着席中の対象児への注目が増えていることについて、フィードバックも行った。教師には、対象児が離席し不適切な行動をしているときには、授業進行に支障がない限り注目しないよう教示した。結果 介入期では、教師の着席中の対象児への注目が増加し、これとともに対象児の離席率が減少し、授業参加率は増加した。結論 プロンプトとフィードバックによって、機能的アセスメントに基づく対象児への支援 (着席中の注目) を教師が行う回数が増え、さらにこれによって対象児の離席行動は減少し、授業参加行動は増加することが示された。
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