行動分析学研究
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31 巻 , 2 号
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研究報告
  • 高橋 彩, 大竹 喜久
    2017 年 31 巻 2 号 p. 132-143
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    研究の目的 対象児が強い興味を示す対象(以下、ヒーロー)をモデルとして利用した方略であるビデオヒーローモデリング(VHM)とビデオセルフヒーローモデリング(VSHM)の効果を検討した。研究計画 行動間多層ベースラインデザインを用いた。参加者 知的障害特別支援学校小学部1年に在籍する自閉スペクトラム症(ASD)男児1名に対して介入を行った。場面 学校の運動場で実施される、朝運動の4つの下位活動(パラバルーン、ウォーキング、ランニング、体操)に対して介入が行われた。介入 標的行動が期待される朝運動場面の直前、対象児にとってのヒーローが標的行動のモデルを提示するビデオ(VHM)を視聴する機会を設定した。さらに、VHM期の後にはASD児がヒーローとともに望ましい行動に従事し、ヒーローがそれを賞賛するビデオ(VSHM)を導入した。行動の指標 各下位活動への参加を評価した。パラバルーンに関しては4段階のレベルを設定し評価した。それ以外の行動については10秒間の部分インターバル記録法を用いて評価した。結果 パラバルーンとウォーキングは、VHM導入後に行動が生起し始め、VSHM導入後に行動が安定した。ランニングはVSHM導入により、安定的に行動が生起するようになった。体操は介入なしに行動が安定して生起するようになった。結論 VHM及びVSHMに一定の効果が示された。今後、VHMやVSHMの追試をするとともに、どのような児童・行動に有効であるのかを検討していく必要がある。

実践報告
  • 永冨 大舗, 上村 裕章
    2017 年 31 巻 2 号 p. 144-152
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    研究の目的 家庭場面で学習課題の課題従事時間の割合が低い自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害のある小学生男児に対し、家庭場面で自己記録を行うことで課題従事時間の割合と非課題従事行動生起率に影響を与えることができるか検討した。また、対象児のみの場面で自己記録を正確に行い、課題従事時間の割合と非課題従事行動生起率に影響を与えることができるか検討した。研究計画 チェインジング・コンディション・デザインを用いた。場面 対象児の家庭で実施した。参加者 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害のある小学校2年生男児が対象であった。介入 教示期では、対象児が課題に取り組む直前に、ベースライン期で見られていた非課題従事行動と望ましい課題従事行動を示し、課題従事行動を行うように教示した。自己記録とトークンエコノミーシステム期では、3分間ごと、課題従事行動の生起・非生起を記録し、対象児と指導者の記録が等しい数のトークンを対象児に与えた。対象児のみの自己記録期では、対象児に3分間ごと、自己記録をするように伝えた。行動の指標 教示、自己記録とトークンエコノミーシステム、対象児のみの場面における自己記録による課題従事時間の割合と非課題従事行動生起率を従属変数とした。結果 自己記録とトークンエコノミーシステムを導入することで、非課題従事行動生起率が減少し、課題従事時間の割合が増加した。トークンエコノミーシステムを除去した対象児のみの自己記録期においても効果が維持した。考察 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害のある小学校2年生の児童が自己記録を習得し、対象児のみの場面においても正確に実施できることが確認できた。

  • 野田 航, 豊永 博子
    2017 年 31 巻 2 号 p. 153-162
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    研究の目的 本研究では知的障害のある児童2名の漢字熟語の読みを対象に、刺激ペアリング手続きの効果と般化および社会的妥当性を検討した。研究計画 教材間多層プローブデザインを用いて指導効果を検証した。場面 公立小学校特別支援学級の教室内で担任である第二著者が実施した。参加児 特別支援学級に在籍する知的障害のある児童2名が参加した。介入 刺激ペアリング手続きでは、ディスプレイ上に、漢字熟語とその読み方の音声刺激が同時に2秒間呈示され、その後、漢字熟語の意味を表すイラストを2秒間呈示した。児童は、音声刺激が聞こえたら直後に復唱することが求められた。行動の指標 正しく読めた漢字熟語の割合 (正答率) を指標とした。結果 参加児2名ともに、刺激ペアリング手続きによって漢字熟語の読みの正答率が増加し、その効果は10日間維持されていた。また、獲得した漢字熟語の読みは、文章中の漢字熟語の読みへと般化したことが確認された。さらに、個人差はあるものの、刺激ペアリング手続きは特別支援学級教員にとっておおむね受け入れやすいと評価された。結論 刺激ペアリング手続きによる漢字の読みに対する効果が示され、この指導法は学校現場においても実行可能性が高いことが示唆された。

解  説
  • 眞邉 一近
    2017 年 31 巻 2 号 p. 163-180
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    スキナーが20世紀初頭に実験箱を開発した。このスキナーボックスの発明と改良により、スキナーとその共同研究者等は、ラットとハトを使って強化スケジュールを確固としたものにしてきた。一方、強化スケジュールを実現できるスキナーボックスは、行動の一般法則とラットやハトを含む動物の種に特有な現象を明らかにしてきている。有機体の一般的なあるいは種に特有な現象を見いだすために、研究者達はこれまで用いられたことがなかった種の使用を試みてきている。そのような新たな種を使った実験を行うためには、その種にあった適切な装置と手続きの開発が必須である。この論文では、セキセイインコ、ペンギン、トビ、海ワシ、そしてゼブラフィッシュを使用した実験における成功と失敗のいくつかの開発史を紹介する。この中で、その種に特有な基本的な以下の手続きを紹介する。遮断化の方法、反応の選択、反応形成の手順、操作体(manipulanda)の開発、強化子の選択と給餌器の開発である。この解説では、動物実験を行う上で必要な小さな工夫を示し、そうした工夫で問題は解決できることを示す。

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