行動分析学研究
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一般論文
  • 石井 拓, 久留宮 由貴江, 松田 幸都枝, ネッポ 香織, 杉山 尚子, 竹島 浩司
    2026 年40 巻2 号 p. 82-98
    発行日: 2026/07/31
    公開日: 2026/04/07
    ジャーナル フリー

    研究の目的 日本における応用行動分析学(applied behavior analysis: ABA)に基づく実践、特に質保証の実態を明らかにすることを目的とした。調査対象者 ABAに基づくサービス提供に関わる実践家であった。調査方法 実践家123名、ならびに373の団体で働く不特定の実践家に、オンライン質問紙への回答を依頼した。調査項目 回答者の属性に関する10項目(職場の種類、職種、立場、分野、対象者の年齢層、最終学歴、受けたABA教育、所属学会、所持資格、経験年数)、実践に関する6項目(アセスメント実施の有無と種類、個別支援計画作成の有無、データ収集の有無と種類、スーパービジョン、明文化された倫理規定への準拠、ABAに関して受けた研修の有無と種類)、および実践における日常的な問題に関する自由記述であった。結果と結論 246名の回答を分析した結果、クライアントに直接かかわるセラピストが76.8%で最も多く、全体の58.1%が早期介入にかかわっていた。また、独学または職場内外の研修のみでABAを学んだ者が32.5%、いずれの学会にも所属していない者が47.2%いた。実践に関しては、スーパービジョンを定期的に受けている者は12.6%、明文化された倫理規定に準拠する者は56.1%、行動のアセスメントや行動データの収集を行っている者は約60%にとどまり、質保証への課題が指摘できる。

実践報告
  • 松下 浩之
    2026 年40 巻2 号 p. 99-110
    発行日: 2026/07/31
    公開日: 2026/04/07
    ジャーナル フリー

    研究の目的 本研究は小学校通常学級6年生児童を対象に、漢字の読み書き指導における継次的刺激ペアリング(SSP)手続きの有効性および社会的妥当性について検討した。研究計画 SSP手続きおよび通常指導手続きのそれぞれについて、事前テスト、事後テストおよび1ヶ月後のフォローアップテストの結果を比較した。場面 公立小学校6学年2学級の教室において各担任教師が実施した。参加者 62名(男子22名、女子40名)の児童が参加した。介入 SSP手続きでは、教室前方の大型モニタに漢字が1画ずつ順に提示され、その後、漢字とその読み仮名の音声が3秒間、その漢字が含まれる熟語と音声が2秒間、熟語の意味を表すイラストが1.5秒間提示された。通常指導手続きでは、主に宿題として書き取りが課された。行動の指標 各週月曜日と金曜日に実施した5問ずつの読みテストおよび書きテストの正答数を5週分合計し、中央値を比較した。結果 全児童のうち、60%以上出席していた児童49名を分析対象とした。いずれの条件においても読みおよび書きの正答数が増加した。社会的妥当性調査の結果から、SSP手続きによる学習は負担感なく、受け入れやすいものであることが示された。結論 SSP手続きは学級規模介入の第1層支援としても有効な指導法になる可能性があり、特に書字の反復学習などが苦手な児童に対する指導手続きの選択肢の1つとしても活用できる可能性が示唆された。

  • 岩橋 瞳, 宮 裕昭, 桒原 康通
    2026 年40 巻2 号 p. 111-122
    発行日: 2026/07/31
    公開日: 2026/04/07
    ジャーナル フリー

    研究の目的 疼痛を理由に、日常生活上の歩行および登校の困難を訴えていた小児に対し、歩行行動に非両立行動分化強化(DRI)、登校行動にトークン・エコノミー法を適用し、その効果を検討した。研究計画 介入1「歩行行動への介入」は現場の状況に応じて条件を導入、介入2「登校行動への介入」は基準変更デザインを用いた。場面 介入実施機関である病院、および家庭と学校であった。対象児 9歳女児であった。若年性特発性関節炎と診断され、薬物療法を受けたが改善しなかった。身体所見からは十分に説明できない強い疼痛を訴え、日常生活上の自立動作が困難であった。介入 歩行範囲や場面を拡大すべく、段階的に歩行練習を実施した。児が歩行に応じればセラピストや母が誉めたり遊んだりした。次に登校行動への介入を実施し、予め設定した学校参加率の基準を児が満たせば、帰宅後に母が賞賛し好みのシールを与えた。行動指標 「歩行行動への介入」は歩行距離および家庭の歩行練習の状況、「登校行動への介入」は学校参加率であった。結果 歩行行動は院内での練習の3セッション目で目標を達成し、家庭においても概ね自立移動が維持された。登校行動は介入開始後の4セッション目で目標を達成し、その後は炎症所見の悪化時期を除いて維持された。結論 本症例において、歩行行動にDRI、登校行動にトークン・エコノミー法を適応した介入が疼痛を理由とした歩行、登校行動の改善に有効であった。

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