行動分析学研究
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研究報告
  • 青木 康彦, 野呂 文行
    2020 年 35 巻 1 号 p. 2-10
    発行日: 2020/08/20
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル フリー

    研究の目的 本研究では、発達障害児2名を対象に80回の随伴ペアリングを実施し、称賛が条件性強化子として成立し、維持するかを検討した。場面 大学のプレイルームで行った。対象児 発達障害のある幼児2名であった。行動の指標 “両手合わせ”、“ハイファイブ”の生起頻度であった。研究計画 “両手合わせ”にABCBデザイン、その後、コメントの条件性強化子成立、維持を検討するため、“ハイファイブ”にABデザインを用いた。介入 標的行動に随伴させて日常生活で聞くことが少ないコメント(中性刺激)を称賛として与え、同時にお菓子(強化子)を対提示した。結果 2名中2名で随伴ペアリング前の称賛期よりも随伴ペアリング後の称賛期において“両手合わせ”の生起頻度が多かった。また、2名中1名において随伴ペアリング期後の称賛期において“両手合わせ”の生起頻度は高頻度で6ブロック維持し、随伴ペアリングを行っていない“ハイファイブ”においても、消去期よりも称賛期において生起頻度が多かった。結論 80回の随伴ペアリングにより2名中2名で称賛コメントが条件性強化子として成立し、2名中1名で称賛コメントの条件性強化子の強化価が維持するものであった。

  • 青木 康彦, 野呂 文行
    2020 年 35 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2020/08/20
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル フリー

    研究の目的 本研究は自己刺激行動を活用した玩具の好み(研究Ⅰ)、および、食べ物と比較した場合の玩具使用の強化価(研究Ⅱ)を検討した。研究計画 研究Ⅰでは、自己刺激行動と同様の感覚刺激を産出すると推測される玩具の好みのアセスメントを実施した。研究Ⅱでは、ボタン押し行動の強化子として、研究Ⅰで選定した自己刺激行動を活用した玩具を用いる条件と食べ物を用いる条件を比較した。場面 大学の遊戯室で行った。参加児 自閉スペクトラム症児3名とCARSにおいて“重度自閉症”の得点の範囲にあった1名であった。独立変数の操作 自己刺激行動で同定された感覚刺激(研究Ⅰ)、自己刺激行動を活用した玩具の強化子と食べ物の強化子の提示(研究Ⅱ)であった。指標 質問紙得点と玩具の選択数(研究Ⅰ)、ボタン押しの回数と比率累進スケジュールのブレイクポイント(研究Ⅱ)であった。結果 研究Ⅰでは、4名中3名の参加児において、選択数が最も多かった玩具の質問紙得点は最大値をとるという結果になった。研究Ⅱでは、研究Ⅰに参加した2名において、自己刺激行動を活用した玩具使用よりも食べ物でボタン押しの回数、ブレイクポイントが多いという結果になった。結論 強化価がお菓子より低いと推測されるものの、自己刺激行動を活用した玩具使用は強化子として利用できる可能性が示唆された。今後は、自己刺激行動を活用した玩具使用を強化子として設定し、課題中の自己刺激行動の生起に与える影響を検討する必要がある。

  • 若松 克則, 島宗 理
    2020 年 35 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 2020/08/20
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル フリー

    研究の目的 会計事務所の顧客が領収書を整理して提出する行動を、少ない手間、短い時間で作業できる領収書綴りを提供することで増やすことができるかどうかを検討した。研究計画 対象顧客を5群に分け、顧客群間の多層ベースライン法を用いた。場面と参加者 口頭で依頼しても領収書を整理して提出してくれなかった顧客24社を対象とした。介入 ひと月1冊とし、日付ごとに見開き1頁を用意して日付をあらかじめ印刷し、発行日の頁に領収書を貼り付けるだけで済むようにした日記型領収書綴りを開発し、顧客に提供した。行動の指標 実験協力者として参加した仕訳スタッフが担当する対象顧客それぞれについて、領収書を整理して提出していたかどうかを毎月記録した。結果 17社が領収書綴りを使い、14社が継続して領収書を整理して提出するようになった。損益分析により、顧客・月あたり3,238円の利益を得たこと、仕訳担当スタッフもその結果に満足していたこと、実験終了後6年後も顧客による標的行動が維持されていたことがわかった。結論 領収書整理に関わる反応エフォートを低減することで顧客の協力的な行動を喚起し、維持できる可能性が示唆された。

  • 吉岡 昌子, 藤 健一, 佐藤 敬子
    2020 年 35 巻 1 号 p. 30-41
    発行日: 2020/08/20
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル フリー

    研究の目的 第1に、大学生による講義のノートテイキングを吉岡・藤(2019)が製作したペン装置により測定し、その実用性を評価することであった。第2に、講義で扱う材料を視覚的に提示する方法として、実験1では資料の配布、実験2では板書とスライドの使用が、講義者の発話や板書の行動、および、これらの教授行動とノートテイキング行動の相互的な関係に及ぼす影響を探索的に調べることであった。研究計画 実験1、2とも群間比較デザインを用いた。場面 大学の中教室を使用した模擬の講義場面とした。参加者 実験1は大学生26名(男性10名、女性16名)、実験2は大学生24名(男性6名、女性18名)であった。独立変数の操作 実験1は配布資料の有無、実験2は板書とスライドの使用であった。行動の指標 ペン装置によって記録された筆記反応数、講義者の板書量、発話量、板書とノートテイキングの相互相関係数などであった。結果 実験1の1名を除き、ペン装置により講義中の多様な筆記反応を継続的に測定できた。実験1では、板書とノートテイキングに60秒以内の遅れで追従性がみられた参加者が18名いた。一方で、配布資料の有無による板書量やノートの筆記量の変化はみられなかった。実験2では講義者が板書やスライドを提示するペースの変化にノート筆記のそれが連動した。結論 ペン装置が講義場面のノートテイキング行動の測定に求められる実用性をもつことが示された。また、これまで明らかでなかった講義中の発話や板書、スライド使用という教授行動とノートテイキング行動の相互的な関係を相互相関係数や筆記の周波数の変化によって定量化することができた。

実践報告
  • 宮田 賢吾, 村中 智彦
    2020 年 35 巻 1 号 p. 42-51
    発行日: 2020/08/20
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル フリー

    研究の目的 給食場面で不適切な拒否行動を示す自閉症スペクトラム障害児童を対象に、機能的アセスメント(FA)にもとづく適切な拒否行動の形成について検討した。研究計画 チェインジング・コンディション・デザインを適用し、不適切な拒否行動へのFAを実施するアセスメント(BL)期、介入1期、2期、3期で構成した。場面 特別支援学校の教室で実施し給食場面であった。参加児 6歳の知的障害を伴うASD男児1名であった。介入 不適切行動に対するFAの結果より、嫌いな献立からの逃避・回避と担任の注目によって強化されていることが推定された。介入1期では参加児の好みの献立のみを小皿に分けて提示した。2期では身体ガイドにより、介入以前に行動レパートリーにあった担任に皿を手渡す適切な拒否行動を指導した。3期では2期に行なっていた身体ガイドを除去した。行動の指標 不適切な拒否行動と適切な拒否行動の出現回数を記録した。結果 介入2、3期において、不適切な拒否行動の出現回数は低下し、適切な拒否行動の生起が高まった。結論 FAにもとづく代替行動の選定では既存の行動レパートリーにある行動を標的とすることが代替行動の形成において重要であり、代替行動が形成されることで参加児と教師との適切なやりとりが生じることが示唆された。また、学校現場で参加児や教師が無理なく実行できる代替行動の選定や介入手続きの展開について考察した。

  • 瀬口 篤史
    2020 年 35 巻 1 号 p. 52-60
    発行日: 2020/08/20
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル フリー

    研究の目的 本研究は、加害恐怖を主訴として来院した高齢のクライエントに対して、買い物に関連する行動の生起頻度等を指標として、曝露反応妨害法による介入を行い、その効果を検討することを目的とした。研究計画 行動間マルチベースラインデザインを用いた。場面 精神科クリニックにおけるカウンセリングルームと近隣の店で実施した。参加者 介入開始時72歳の女性で、強迫性障害と診断されていた。介入 セッション中に、コンビニや薬局に入店し、素手で商品を手に取るよう求めた。その後、セッション中に、駐車されてある車のすぐ傍を一人で通るよう求めた。行動の指標 スーパーやコンビニ、薬局等に入店した累積頻度、店内で購入した商品数、新聞を読んだページ数、一人で自宅から店まで徒歩で行った累積頻度、確認の電話をかけた頻度を指標とした。結果 スーパー等に入店した累積頻度、購入した商品の数、新聞を読んだページ数、一人で自宅から店まで徒歩で行った累積頻度はいずれも増加した。また、確認の電話をかけた頻度は減少した。結論 本事例で行った介入が、加害恐怖を訴えるクライエントの行動レパートリーを増やすために有効であることが示された。

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